一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

姉妹対決、兄弟対決

2021-09-28 23:29:47 | 将棋雑記
27日、第15期マイナビ女子オープン本戦1回戦で、里見香奈女流四冠VS里見咲紀女流初段の姉妹対決が実現した。
将棋界で姉妹女流棋士は5組あり、ほかの4組は大庭美夏女流初段・美樹女流初段、中倉彰子女流二段・宏美女流二段、和田あき女流初段・はな女流1級、山口仁子梨女流2級・稀良莉女流1級である。私の調べでは、公式戦の姉妹対決はなかったはずなので、これは歴史的一戦といえた。
将棋は3手目に香奈女流四冠が居飛車を明示する余裕を見せ、咲紀女流初段は中飛車に振った。
以下激戦が展開されたが、最終的には香奈女流四冠の貫禄勝ち。とはいえ熱い戦いだった。
さて兄弟棋士に目を転じると、森安秀光九段・正幸七段、畠山成幸八段・鎮八段が挙げられる。ちなみに、正幸七段と畠山兄弟は師弟関係にある。
森安兄弟の対戦成績は、正幸七段4勝、秀光九段8勝である。弟は棋聖1期で、名人戦にも登場したことがある。実力は弟のほうが一枚上なので、兄が健闘していると思う。
その森安兄弟の代表局といえば、1972年11月2日に指された、第16回古豪新鋭戦の決勝戦であろう。
古豪新鋭戦とは1957年から1973年まで行われていた棋戦で、平たく言うと、現在の棋王戦の前身の一部にあたる。C級棋士と奨励会三段が参加した。
決勝戦は、正幸四段の先番で▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩と進み、正幸四段が四間飛車に構えた。対して秀光五段は端に角を覗き、40手目に馬を作ることに成功した(図)。

しかし正幸四段も容易に崩れず、ここから森安兄弟らしいネチャネチャした戦いが展開された。
そして最後は秀光玉が中段に逃げ出し、188手まで、秀光五段の優勝となった。

そして畠山兄弟である。というか、双子棋士で有名である。しかも三段リーグの卒業・四段デビューがまったく同じで、当時は大変な話題になった。
ふたりの対戦成績は5勝5敗の五分。しかも10局中のハイライトは初戦で、初参加の第3期竜王戦ランキング戦6組の決勝で当たった。対局日の読売新聞夕刊には、ふたりが盤上で握手をする写真が掲載されたものだ。
決勝戦は成幸四段の先番で、相矢倉模様となった。が、後手の鎮四段は中飛車に構え、ルーキーらしいキビキビした将棋となった。

そんな中盤、成幸四段が▲6四歩(図)と打ったのが好手だった。これを△同角なら▲同金△同歩に▲5五飛とぶつけ、彼我の陣形の差で先手良し。本譜は△同歩だったがそれでも▲5五飛とぶつけ、飛車交換から▲7一飛と先着した成幸四段が攻め勝ち、うれしい組優勝を飾ったのだった。
ともあれ両者めでたく5組に昇級となった。
さらに翌第4期もふたりは準決勝で当たり、これは鎮四段が雪辱した。この勝ちは大きく、鎮四段は4組に昇級を果たした。成幸四段は昇級者決定戦に回るも昇級できず。ここで1ランクの差がついたのである。ちなみに鎮四段は、のちに1組まで昇級している。
そんな畠山兄弟だが、今期竜王戦はそろって降級してしまい、来期は成幸八段が6組、鎮八段が5組からの出場となる。ちなみに順位戦も、成幸八段がC級1組、鎮八段がB級2組と、ここでも1ランク差がついている。

姉妹や兄弟は1回戦から当たることは滅多にないから、双方がある程度勝たないと、対戦できない。それだけに姉妹(兄弟)対決は価値があるのだ。
現在私がいちばん見たいのは、あき女流初段VSはな女流1級戦である。ふたりがアマチュアのころから成長を見てきただけに、その実現が楽しみでならない。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第30期名人戦と第31期名人戦 | トップ | 倉敷藤花戦雑感 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
姉妹対局 (Tod氏)
2021-09-30 09:04:54
和田あき女流初段VS和田はな女流1級戦は、いつかありそうな気がしますね。
私事ですが、はな1級とはアマチュア時代に2局だけ指した事があります。
LPSA駒込サロンで平手戦で負け(はなちゃんの中飛車)、大野教室で2枚落ち戦で勝たせて頂きました。
返信する
二枚落ち (一公)
2021-09-30 14:36:03
>Tod氏さん
駒込サロンのときに、はな先生はいましたか。
でも、平手戦の次が二枚落ち戦とはこれいかに。子供はすぐ強くなりますね。
返信する

コメントを投稿