一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ関東交流会(3)

2024-06-28 22:53:33 | 将棋ペンクラブ

第8図以下の指し手。▲5三銀(途中図)

△4一玉▲6三飛成△6七歩▲4二銀打△同金▲同銀成△同玉▲3三歩成(投了図)
まで、131手で一公の勝ち。

私は中空に▲5三銀と打った。これが起死回生の好手で、こちらを見た堀彩乃女流初段の視線が止まった。「なにこれは?」という顔だった。
▲5三銀を△同玉は▲4三歩成(両王手)△同玉▲6三飛成△4二玉▲5三角成△4一玉▲5二竜(参考図)まで詰み。よって堀女流初段は△4一玉と逃げたが、私は▲6三飛成として、たちまち必勝形になった。

なお蛇足だが、▲5三銀で▲4三銀は、△6二玉と逃げられる。
本譜▲6三飛成に△3一玉の早逃げは、▲3三歩成△同金▲4二銀打で寄り。よって堀女流初段は△6七歩と形を作った。以下は▲4二銀打~▲3三歩成まで、堀女流初段の投了となった。

投了以下は、△3一玉に▲3二歩が利いて詰みである。
「ああそうか、次の一手みたいな手がありましたね」
と堀女流初段。私は「はあ」とそっけないが、内心はうれしい。
「でも棒銀で来るかと思ったら銀を引かれて、意表を衝かれました」
私は苦肉の策だったが、上手の目にそう映ったことは意外だった。
私はだいぶつらい将棋だったが、何とか勝てて安堵した。私の灰色の人生で、将棋に勝つことだけが、唯一の光明だ。下手が気づかないくらい、適当に緩めてくれた堀女流初段には、心から御礼を申し上げたい。
加藤結李愛女流初段のところは、まだ山本氏だけなので、加藤女流初段にも指導対局をお願いした。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△4二銀▲2六歩△3二金▲4八銀△6二銀▲7八金△5四歩▲5六歩△8五歩▲6九玉△3三銀▲5八金(第1図)

加藤女流初段に指導対局を受けるのは初めて。加藤女流初段は勉強熱心というで、古今の将棋を研究しているイメージがある。
畏れ多くも本局も平手で、私はやはり矢倉を志向した。問題は上手がどこで変化してくるかで、急戦矢倉や例の△5二玉型まで、どこででも変化の可能性がある。

第1図からの指し手。△3一角▲6六歩△7四歩▲7九角△5二金▲3六歩△4四歩▲6七金右(第2図)

現在加藤女流初段は二面指しだから一局に集中できないが、それにしてもそっぽを見ていて、この将棋を考えているようには見えない。
それでもふっと思い出したように指す。これが加藤女流初段の考慮スタイルなのだろう。
アレッ?と思ったのだが第1図からの△3一角で、急戦矢倉は居角が常道だから、これは正調相矢倉になるということである。さすがに加藤女流初段、下手の指したい手に追随してくれるのである。

第2図以下の指し手。△6四角▲3七銀△4一玉▲6八角△3一玉▲7九玉△5三銀▲8八玉△2二玉▲1六歩(第3図)

△6四角もなつかしき昭和の手で、こう覗くことにより、先手の作戦を見るわけだ。私は銀を上がり、またも棒銀の構え。ただしこれは、▲4六銀と上がる手も見ている。
▲1六歩の打診に、次の手は意外だった。

第3図以下の指し手。△4二銀右▲1五歩△4三銀▲3八飛△9四歩▲9六歩△7三角▲1七香△6四歩▲4六銀△8四角▲3七桂△4二金右(第4図)

加藤女流初段は△4二銀右と引いた。下手の攻めを待っているのだろうが、受けすぎの気もした。▲1五歩に△4三銀。なるほどそれで、△4三金右を保留していたわけだ。ただ、ほかに有効な指し手があったのではないだろうか。
私は▲4六銀と出て、▲3七桂と跳ねる。同じ加藤でも加藤一二三九段が得意にしていた戦法で、これが名人や十段獲得の原動力になった。
△4二金右に、いよいよ仕掛ける。

第4図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲2五桂△2四銀▲3五銀△同銀▲同角△8六歩▲同歩△6五歩(第5図)

▲3五歩と開戦する。のちに3筋に歩を打つ意味でもこの手は必須だ。しかしこの手が令和の時代になっても指せるとは思わなかった。
△3五同歩に▲2五桂の跳躍がうれしい。昨今では飛車先の歩を2つ伸ばすが、昭和後期は1つで止めるのが主流だった。それもこの桂を跳ねるためである。
△2四銀に▲3五銀から銀を捌いて好調。△8六歩▲同歩の次、△2四銀の辛抱を考えていたが、加藤女流初段は△6五歩。このまま下手に攻めさせてくれるのかと思ったら、やっぱり反撃された。まあ、そうであろう。
とはいえ私も、攻めを継続するのみである。

第5図以下の指し手。▲3三歩△同桂▲1三桂成△3一玉▲4六角△7三角▲3四歩△3七歩(第6図)

▲3三歩△同桂と取らせて、▲1三桂成とこちらに行くのが筋。これを△同香は▲1四歩で、これが▲1三角成△2一玉▲1二銀までの詰めろになる。
よって加藤女流初段は△3一玉と逃げたが、ひとつは△同香と桂を入手すべきではなかったか。
私は角を引き、▲3四歩の桂取り。そこで△4五桂を考えていたが、加藤女流初段は△3七歩と打った。ここは考えどころである。

第6図以下の指し手。▲3三歩成△同金直▲3七飛△8七歩▲同玉△6六歩▲同金△8五歩▲2三成桂△8六歩▲同銀(第7図)

第6図で▲3七同飛は、△4五桂で後手を引く。米長邦雄永世棋聖の至言「風邪を引いても後手引くな」が思い出される。
▲3三歩成としたとして、△3八歩成のときどうするか。▲3二と△同玉(△同金は▲7三角成△同桂▲6四角)で、持駒に金銀桂歩。それに角が加わり、攻め切れるかどうか。
でも桂得の実利は魅力なので、▲3三歩成と踏み込んだ。すると加藤女流初段は△同金直。この桂得は大きかった。
加藤女流初段は△8五歩の継ぎ歩。これに▲2三成桂としたのが失着で、かなりのリードをフイにした。
ここは▲8五同歩と取り、玉頭をしっかり応接するのだった。△8六歩に▲同銀と露出する形になり、ちょっと気持ち悪くなった。

第7図以下の指し手。△4六角▲同歩△5九角▲3三飛成△同金▲6四角△4二銀(途中図)

▲2二金△4一玉▲8二角成(第8図)

加藤女流初段が素早い動きで△4六角とした。これは意外で、盤上から双方の角がいなくなると、私のほうに王手飛車(▲6四角)の狙いが残る。よってありがたい気もしたのだが、続く△5九角が継続の手で、私の楽観ムードは吹き飛んだ。加藤女流初段、下手に攻めさせるだけ攻めさせて、一瞬のスキに反撃し、もういい勝負になっている。さすがプロだと思った。
もっとも△5九角には▲3三飛成が用意の手で、以下王手飛車が決まった。
ただし△4二銀(途中図)のときが考えどころで、ここ、ふつうに▲8二角成とすると、△2三金と成桂を取られてしまう。そのとき▲3九飛の王手角取りがあるが、△3七飛(参考A図)の逆王手で切り返されてしまう。

それで、甚だ遺憾だが▲2二金で成桂をつなぎ、△4一玉に▲8二角成と飛車を取った。この金を打たなければ、▲8二角成が▲2一飛△同玉▲2二銀までの詰めろになったのだが、やむを得なかった。
というわけで、本譜も難しいことは難しい。私はいっそう気を引き締めた。
ところが……。

(つづく)
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