一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第81期名人戦第4局・第2日目

2023-05-23 22:26:26 | 男性棋戦
第81期名人戦第4局(主催:毎日新聞社、朝日新聞社、日本将棋連盟)の第2日目である。藤井聡太竜王の封じ手は、桂を跳ねる手だった。
予想された手だが、桂交換に▲同銀と取った手が玄妙だった。これだと△8九歩成でと金を作られてしまうが、それも読み筋なのだろう。
それで渡辺明名人も別の手を指し、藤井竜王は8八の歩を払った。そして玉が寄ってみるとこの形、藤井竜王の将棋で時々見たではないか。いかにも簡素で固くはないが、妙に弾力性があって、懐が広いのだ。
しかも数手後の形勢バーは、藤井竜王に70%を示していた。事実、藤井竜王には指したい手がいっぱいあって、これは読む作業が愉しいと思われた。
反対に渡辺名人は、どの変化にも光明が見いだせず、イヤになったのではなかろうか。1日目終了時には1時間45分あった持ち時間差も、いまでは30分足らずになっていた。
藤井竜王はじっくり時間を使い局面をよくしたのに対して、渡辺名人は悪くなってから考える。これでは勝敗の帰趨が見えてしまう。
渡辺名人は狙いの△4五歩(飛銀両取り)を敢行したが、藤井竜王は冷静に対処し、飛角交換に留まった。この折衝、藤井竜王も角がほしかったから、むしろ藤井竜王が得をしたのではないか。
渡辺名人は銀桂両取りに飛車を打つが、仮に銀を取っても敵陣から外れてしまうので、それほど得にならない。
反対に藤井竜王は2枚目の角を好所に据えて好調。
……と、渡辺名人がここで投了してしまった。アマ同士だと先手やや指せる、くらいで後手の勝機も十分あるが、プロ的には終わっているのだろう。
終了時間は16時45分、手数は69手。名人戦らしからぬコクのない戦いで、渡辺名人の攻めが不発に終わり、そのまま5回降雨コールドになった感じだった。これじゃあ観戦記も書きにくいだろう。
渡辺名人は「攻めの手順がおかしかった。もうちょっといい将棋を指さないといけないですね」と反省の弁を述べた。なんかこの感想、前も聞かなかったか? もはやお通夜である。
さて、藤井竜王はついに名人に王手。もし名人になったら、20歳で七冠王である。ウソだ。これじゃマンガである。
ヒトはそれを歓迎するだろうが、私の気持ちはちょっと複雑である。名人は20歳で獲れるものではないと思う。将棋はそんなに簡単なものではないと思う。
しかし、それが現実になろうとしている。藤井竜王に20歳七冠を許したら、同業者は猛省するべきだろう。
運命の第5局は、5月31日・6月1日。
コメント (4)
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