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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ関東交流会・その3

2014-05-23 00:10:15 | 将棋ペンクラブ
上手(角落ち)・渡辺女流初段:1一香、1三歩、2一桂、2四歩、3一銀、3二玉、3三歩、4二金、4三銀、4四歩、5五金、5八歩、6七成銀、9一香、9三歩 持駒:金
下手・Tag氏:1七歩、1九香、2三歩、2八飛、2九桂、3六歩、4七歩、6二銀、6九玉、7一飛、7七桂、8一馬、8六歩、9七歩、9九香 持駒:金、桂、歩6
(△5八歩まで。下手番)

詰将棋解図の名手・Tag氏がどう指すかと見ていると、▲7八金と受けた。
「受けちゃいましたかァ」
私は大仰に叫ぶ。もっともこれで渡辺弥生女流初段の攻めはやや切れ筋である。以下△5九歩成▲7九玉△6六金▲6七金△同金▲3一飛成△同玉▲2二銀△4一玉▲6三馬まで、Tag氏が鮮やかに寄せた。しかし…。
「ちょっとちょっと、その前…詰んでませんでした?」
私は口を挟み、前の局面に戻してしまう。「▲2二金△同銀▲同歩成△同玉…。ここまでは必然手ですよねえ。そこで▲2三銀。△同玉▲2一飛成。受けは何でもいいですが、仮に△2二金として…▲1五桂△1四玉▲2六桂△2五玉▲3七桂(△1五玉▲1六歩)。ピッタリ詰みじゃないですか」
「あ!!」
Tag氏が叫ぶ。「▲3七桂をうっかりしていました」
渡辺女流初段は
「さすがですね」
と苦笑いした。
本来この詰め筋は渡辺女流初段が指摘するもの。それを一アマチュアが横から口出しするなど言語道断だが、詰みの有無にかかわることなので、口を出さずにおれなかった。と同時に、渡辺女流初段へ売り込む気持ちがあったことも白状する。
さて、ヒトの将棋より我が将棋である。渡辺女流初段は△6五歩から△8六歩ときた。これを▲同歩なら△6六歩以下攻められるので、▲同角と変化してみた。
渡辺女流初段は▲8六同歩を読んでいたのか、「お」と驚き、数手後△5五歩▲同歩△同銀ときた。この局面が下である。

上手・渡辺女流初段:1一香、1四歩、2一桂、2二角、2三歩、3二玉、3四歩、4二金、4三歩、5二金、5五銀、6三銀、6五歩、7三桂、7四歩、8二飛、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1六歩、1九香、2六歩、2八玉、3六歩、3七桂、3八銀、4六歩、4七金、4九金、6八飛、7六歩、7七銀、8六角、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:歩3
(△5五同銀まで)

以下の指し手。▲5八飛△6六歩▲6八歩△6五桂▲5五飛△同角▲5六銀△2二角▲6五銀△7九飛▲5三歩△同金直▲4五桂△5二金引▲5三歩△5一金▲6四銀

私は▲5八飛と銀取りに回る。が、角のヒモが付いていたことをうっかりした。渡辺女流初段は涼しい顔で△6六歩。私は泣きの涙で▲6八歩の辛抱だが、ここで戦意が喪失した。
感想戦で教わったのだが、そもそも△5五歩に▲同歩と取ったのが素直すぎで、ここは▲6六歩と合わせるところだったらしい。以下△5六歩なら▲同金が力強い。
本譜△6五桂に▲5五飛は暴発だが、ほかにやる手もない。▲5六銀に渡辺女流初段は局後、「△7七桂成▲5五銀△8七成桂だったか」と悔やんだが、本譜でも上手十分なのだろう。
▲5三歩以下の攻めは指してみただけ。▲6四銀の突撃に、渡辺女流初段の応手は。

△8六飛▲6三銀成△8七飛成▲5二銀△8九竜▲5一銀不成△5五角

▲6四銀に△同銀は▲同角で捌かれると見て、渡辺女流初段は△8六飛と根元の角を取ってきた。が、私は構わず▲6三銀成と銀を取り、勝負になったと思った。
△8六飛では△5四銀と躱されたら私に二の矢がなく、ホントに投了していたかもしれない。
私は▲5二銀と食いつくが、ギリギリの攻めだ。渡辺女流初段は私が指すたびに「ああ…うん…」と妙に苦しげな声を漏らす。しかし局面はまだ渡辺女流初段のほうがいいはずだ。
事実▲5一銀不成には△2四歩と懐を拡げられたら下手は切れていたと思うのだが、渡辺女流初段は△5五角。これも逃げ道を作った手だが…。

▲4二銀成△同玉▲2二金 まで、一公の勝ち。

私は▲4二銀成と金を取る。以下△同玉(△2二玉は▲2五桂で下手勝てそう)に▲2二金と放り込んで、渡辺女流初段の投了となった。
と、横で指導をしていた櫛田陽一六段が
「(大沢さん)勝ったんですか!?」
と頓狂な声を挙げる。これは私が平手で女流棋士に勝った驚きと言うより、あの酷い将棋を逆転したんですか、の意味だったと思う。
女流棋士に平手で勝てたのだからうれしいには違いないが、丸負けの将棋を拾ったので、喜びも半分というところ。感想戦でも、自虐ネタしか出なかった。
改めて本局を振り返ってみて、渡辺女流初段はごくふつうの手を指しているのに、気がついたら下手が劣勢になっていて、さすがに女流棋士は懐が深いと思った。
終盤も渡辺女流初段がちょっと読みを入れれば正着を指していたはずだが、ここは将棋ペンクラブの指導対局であり、渡辺女流初段も、そこまで力を注いでいなかった。
いつも書いていることだが、指導対局は上手の勝ち負けは関係ないが、下手は勝てばいい記念になる。渡辺女流初段にはそこをご配慮いただき、とてもありがたく思った。
渡辺女流初段には、来月再会できることを楽しみにしている。
(つづく)
コメント (3)
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