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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

九州旅行2014・0「一期一会」

2014-05-04 01:41:29 | 旅行記・G.W.編
今年のゴールデン・ウイークも、九州を旅行することにした。「博多どんたく」や「指宿砂むし温泉」、知人との再会その他もろもろ、やることは毎年同じで新味はほとんどないが、それが1年間を元気に過ごせた証ともいえる。ただいよいよ、このG.W九州旅行も、今年でピリオドを打つような気はしている。もう、旅を楽しむ心の余裕がないのだ。
今年の日程は2日夜から7日の午前中まで。2日は空路で大分入りすることになった。これは私が飛行機の予約をグズグズしていたため、安値で残っていたのが大分便しかなかった事情による。
しかし大分が起点なら、それはそれでいくらでも行程の組み立てようはある。出された食材をどう調理するかという料理人のようなもので、いろいろ楽しむのが旅の醍醐味なのだ。
きょう2日は仕事を午後3時半で切り上げ、4時過ぎに家を出た。
オヤジに
「目一杯遊んできやがる…」
と嫌味を言われたがそのとおりで、オヤジが黙々と仕事をしているのに、私は仕事時間を削って遊ぶ。こういうのを人間のクズという。
浜松町に着き、モノレールの切符売り場で「羽割きっぷ」を買う。税込み800円。消費税増税後も値段据え置きとはうれしい措置である。
16時40分発の区間快速に乗ると、HKT48・指原莉乃のアナウンスが聞こえた気がした。
そういえば駅構内で、HKT48のポスターを見たが、現在彼女らはモノレールのキャンペーンをやっているらしい。
車内ではさしこが沿線のビューポイントを知らせてくれている。羽田空港に到着すると、「行ってらっしゃーい!!」と、元気な声で送ってくれた。今回はいい旅になりそうな予感がした。

17時45分発のソラシドエア095便に乗る。機内の客室乗務員は女性が2名、男性2名。
男性の客室乗務員はいらないが、G.W中につき、男性も機内乗務に駆り出されたのかも知れない。
私は「将棋世界」最新号を読む。3月下旬の定期購読の申し込みが1日遅れたため、今月から届くようになったのだ。
しかし旅先にも将棋雑誌を携行するとは、これでは私が将棋好きと言われても否定できない。
大分空港には19時22分に着いた。きょうの宿は中津駅前のビジネスホテルを予約してある。しかし事前の調べでは、そこまで行く連絡バスがない。
空港のインフォメーションセンターで聞くと、別府方面行きのバスに乗り、杵築インターで降りて杵築駅までタクシーで行き、中津までJRで向かうのがいいとのことだった。途中タクシー利用があるのが引っかかるが、杵築インターから杵築駅までは5キロ以上あるらしく、我が「徒歩案」は却下せざるを得なかった。
まったく、旅の初日でタクシーを使うとは随分私も出世したものだが、代替案が決まらない以上、やむを得ない。
ほかには、これを買っていいものかどうかさんざん迷ったが、九州内の全部のバスに乗れる「SUN Qパス」3日間用を、あす3日からの利用として買った。ほかに杵築インターまでのバス代710円を券売機で購入して、私は19時45分発の連絡バスに乗った。
とはいったものの、私は車内でスマホを繰り、節約方法を探す。杵築インターから駅まではタクシーで約1,200円。そんな金は出せないからだ。
と、杵築インターの次に止まる「日出(ひじ)」が、日出駅に近いような気がしてきた。今回っも時刻表を携行していないからスマホで調べると、中津着21時48分の日豊本線普通列車が、杵築発は20時59分、日出発が20時50分だった。これは日出で降りてみる価値はある。
バスは杵築インターに着いたが、私はやり過ごす。その約10分後、バスは日出に着き、私は杵築インターまでの切符と、差額分の390円を払って下車した。
運転手さんは、私が杵築インターで折り損ねたと勘違いしたふうだったが、説明するのも煩わしい。
要はこの差額分と、JR杵築~日出延伸分が臨時出費となるが、タクシー代で1,200円を払うよりはよい。
さて日出バス停で降りたものの、あたりに鉄道が通っている雰囲気はない。私はそばにあったマクドナルドに入り、駅の在り処を聞いてみる。すると、なんとかいうJRの駅があることが分かった。
私は店員さんの教えてくれた道を歩くが、前方は暗く、甚だ心許ない。ホテルがあったからそこで聞き直そうとしたとき、道の反対側にセーラー服の女子が目に入ったので、思い切って聞いてみた。
「かくかくしかじか」
「ああ、それならこの先を行ったところに、ヨーコクという駅があります」
彼女は女子中学生なのか高校生なのか分からぬが、さっぱり系の感じで、とても好感が持てた。「あの先に、白いハコが見えますよね」
「ああ、そうですか。…どこですか?」
ふたりの距離が近くなって、ちょっと鼓動が早くなる。すると彼女が
「ああん、…私が駅までお送りします」
と言った。何となく駅は近くにありそうだが、私はお言葉に甘えることにした。
セーラー服の女子とふたりで歩く。ちょっとドキドキである。これは考えてみれば、人生初の経験である。我が高校の女子はブレザーだったし、そもそもデートすらしたことがなかった。
私は、私がいまここにいる理由を簡潔に説明した。とはいえふつうの旅行者は、ヨーコク駅を利用しない。何でこのオジサンはここにいるのか、彼女も半分合点がいかなかったのではあるまいか。
彼女が手持ちのチョコをくれる。これは私を怪しんでいない証である。
私は彼女との縁が切れるのを恐れ、自分の名前を名乗り、ブログをやっていることを明かした。
「将棋のやつなんですけどね、この中の旅行記が読者に好評でね。今回のことも書くんで、あなたはブログに登場しますから」
「いやだぁー」
彼女は笑いながら手を振った。私は、自分がセーラー服の女子とふつうに話しているのが不思議だった。
駅まで遠ければいいのにな、と思う。しかしやはり駅は近く、もう着いてしまった。ここが「暘谷」駅だ。
「どっちのホームだろ。こっちでいいのかな?」
私たちは駅の時刻表を見る。「こっちですね、次は47分というのがある」
「本当にこっちでいいんですか?」
「はい。日出発50分というのは確かめてましたので。この列車が日出を通るのでしょう」
「そうですね、こっちでいいんですね。でもこれ、特急の時刻かもしれません」
「特急じゃこの駅は通過するから、違うんじゃないですか?」
「特急が止まることもあります」
「そうですか。でも、止まらないんだったら、そもそも(到着)時刻を表示しますか?」
「それもそうですね」
ちょっとバカっぽい会話をしたが、このホームで間違いない。ああ、これでいよいよお別れである。私は離れがたく、ホームにあった無人カード読み取り機に言及する。
「これ、KITAKAでしたっけ、JR東日本はSuicaなんですけど、これも使えましたか?」
「キタカ? 九州ではSUGOCAですけど、分かりません」
「あ、すみません、KITAKAはJR北海道だった」
ダメだ、これで本当にお別れである。もう彼女を引き止める理由がない。
「じゃあ、元気で」
私は右手を差し出すと、彼女も右手を出し、私たちは握手をした。何で私は、彼女に対してこんな積極的になれたのだろう。
今度こそ本当にお別れである。彼女が駅から去る。が、振り返って
「旅行、楽しんできてください!」
と叫んだ。
「ありがとう! あのう、高校生ですか!?」
「はい!」
「じゃあ、大学に受かるよう、がんばって!!」
言った瞬間、彼女が大学を受験するとは限らないことに気づいた。私の話には、思い込みが多すぎる。
彼女が去り、私はホームのベンチに座る。この出会いは何だったのだろう。ほんの数分だったけど、何か心が洗われるような心地よさがあった。人生つらいことばかりじゃないと考え直せる、素敵な出会いだった。
(つづく。つづくが、続編アップ日は未定)
コメント (2)
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