7日のLPSAマンデーレッスンは、会員制コースだった。以前も書いたが、マンデーレッスンは、3ヶ月で1期。毎回違う講師が担当する「ゲストコース」と、レギュラー講師が担当する「会員制コース」が交互にある。入会金は10,000円、3ヶ月分(6回)の料金は15,000円である。
ちなみに「ゲストコース」は、日本将棋連盟棋士が2回、LPSA女流棋士が4回担当。「会員制コース」は、藤森奈津子女流四段(塾長)、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段、大庭美樹女流初段が交代で担当している。
私は金曜サロンのレギュラーメンバーだが、船戸女流二段のファンを公言している私が「マンデーレッスン・会員制コース」未体験というのは、マズかった。
むろん金曜サロンでも船戸女流二段の登板はあるし、それで十分なのだが、それでは船戸女流二段の私に対する印象が、ほかの会員と変わらない。この辺りで金曜サロンの会員を出し抜いて、船戸女流二段とお近づきになれればと思った。
4日の金曜サロンで、スタッフ氏に7日の船戸女流二段の出欠を確認すると、出ます、と言う。そこで私は「18番、ヨーコさん」の予約を入れておいた。
指名料込、2時間で4,000円(1回料金)ならまずまずの料金であろう。
7日はやや早めに仕事を切り上げ、午後6時5分に教室へ入った。2部は6時30分からだが、船戸女流二段の指導対局が定員に達して、ほかの女流棋士の担当になったら、レッスンに参加した意味がない。早くお邪魔するに越したことはないのだ。
しかしこれは心配のしすぎで、私が1人目の客だった。
船戸女流二段と大庭女流初段の姿が見える。きょうはこのふたりの担当のようだ。船戸女流二段とは先月の金曜サロンで久しぶりに指導対局を受けたが、マンデーレッスンでお会いするのは初めてで、同じ場所なのに、妙に緊張してしまう。
船戸女流二段のいでたちは、いつものように見事なコーディネートで、詳述したいのだが、私にはその筆力がない。もっともこれは、マンデーレッスンに参加した者のみが鑑賞できる特権であって、言わぬが花であろう。
そのあと何人かの会員が見える。金曜サロンに見えた方もいるが、基本的に月曜日オンリーの方ばかりだ。それでよい。「レッスン」と名がつくだけあって、こちらはより真剣さが漂っていた。
大庭女流初段に、
「このたびはチャレンジマッチ通過、おめでとうございます」
とお祝いを述べておく。「チャレンジマッチ」とは、第4期マイナビ女子オープンの一斉予選対局にエントリーするための予備予選で、5月22日に行われた。これは予選対局で本戦に進出するのと同じくらい、厳しい戦いだったと思う。
実際5名の女流棋士が脱落したわけだが、彼女ら5名を「だらしない」と嗤う女流棋士は皆無であろう。チャレンジマッチはできれば参加したくない、と考える女流棋士が大半ではなかろうか。それほど、現在の女流アマ棋界の層は厚い。
「大沢さん、それだけじゃなくて、(大庭女流初段が)理事になったこともお祝いしてあげないと…」
と船戸女流二段。
「あ、ああ、このたびは理事当選、おめでとうございます」
と、私は慌て気味に付け加える。
スタッフ氏だか誰だか、
「どなたとの対局にしますか?」
と訊かれた。
「もちろん船戸先生です」
と答える。当然すぎる答えである。
予約の会員がほぼそろったようで、定刻より5分早く、レッスンの開始となった。
まずは7月19日(月・祝)に行われる「マンデーカップ」の説明が、船戸女流二段からあった。これは昨年、一昨年も行われたが、昨年は協賛したマンデーレッスンの会員や一般将棋ファンが、設営から参加した。もうひとつ話題になったのが、男性アマチュアの出場枠が1席設けられたことで、昨年は予選で好成績を挙げた「ミスターX」氏が、中倉宏美女流二段相手に善戦した。
今年もその予選会が21日(月)にあるという。私はマンデーレッスンの会員ではないし、マンデーカップにも協賛する気はないので、聞くフリをして聞いていなかった。こういうところは、私は非情なのである。ちなみに船戸女流二段はこの棋戦2連覇中だが、私が関わっていないので、今回もその流れのほうがいいのだ。
ひととおり説明が終わったあと、詰将棋のプリント(6題)が配られる。別にタイムトライアルではないが、こういう類の問題は、つい早解きをしたくなってしまう。分からない問題があると飛ばす。と、解いていくうち、すべての問題が同じ手数で詰むのが分かった。そこで、つっかえた問題に戻り考え直したら、すぐに解けた。詰将棋は、詰手数も大きなヒントになるのである。
船戸女流二段が採点してくださる。ところが、最終問題でその手が止まる。…アッ!! この問題だけ、手数が違う!! 私のすぐあとに全問を解いた強豪氏も、同じ誤りをした。こんな落とし穴があるとは…恐るべし、マンデーレッスンである。
まだ解いている会員もいるが、解けた人から指導対局が始まる。2人講師で少人数なので、私のナナメ前に船戸女流二段が座る。イヤコレ、また緊張してしまう。金曜サロンではだいたい4面指しなので、指導の女流棋士は立って歩きながら指す。
船戸女流二段もほぼそのスタイルなので、いきなり目の前に船戸女流二段の姿があって、ドギマギしてしまったというわけだ。
しかしそれを口にすると変人に思われるので、平静を装い、駒を並べる。
この前の金曜サロンでは、中倉女流二段がひとりの会員、いいカンジでおしゃべりしながら指導対局を行っていたが、私だったらあそこまで談笑できたかどうか。そこが彼と私の違いといえる。
序盤の駒組が終わったあたりで、またひとり会員が入ってきた。
あっ、あなたは…!!
(つづく)
ちなみに「ゲストコース」は、日本将棋連盟棋士が2回、LPSA女流棋士が4回担当。「会員制コース」は、藤森奈津子女流四段(塾長)、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段、大庭美樹女流初段が交代で担当している。
私は金曜サロンのレギュラーメンバーだが、船戸女流二段のファンを公言している私が「マンデーレッスン・会員制コース」未体験というのは、マズかった。
むろん金曜サロンでも船戸女流二段の登板はあるし、それで十分なのだが、それでは船戸女流二段の私に対する印象が、ほかの会員と変わらない。この辺りで金曜サロンの会員を出し抜いて、船戸女流二段とお近づきになれればと思った。
4日の金曜サロンで、スタッフ氏に7日の船戸女流二段の出欠を確認すると、出ます、と言う。そこで私は「18番、ヨーコさん」の予約を入れておいた。
指名料込、2時間で4,000円(1回料金)ならまずまずの料金であろう。
7日はやや早めに仕事を切り上げ、午後6時5分に教室へ入った。2部は6時30分からだが、船戸女流二段の指導対局が定員に達して、ほかの女流棋士の担当になったら、レッスンに参加した意味がない。早くお邪魔するに越したことはないのだ。
しかしこれは心配のしすぎで、私が1人目の客だった。
船戸女流二段と大庭女流初段の姿が見える。きょうはこのふたりの担当のようだ。船戸女流二段とは先月の金曜サロンで久しぶりに指導対局を受けたが、マンデーレッスンでお会いするのは初めてで、同じ場所なのに、妙に緊張してしまう。
船戸女流二段のいでたちは、いつものように見事なコーディネートで、詳述したいのだが、私にはその筆力がない。もっともこれは、マンデーレッスンに参加した者のみが鑑賞できる特権であって、言わぬが花であろう。
そのあと何人かの会員が見える。金曜サロンに見えた方もいるが、基本的に月曜日オンリーの方ばかりだ。それでよい。「レッスン」と名がつくだけあって、こちらはより真剣さが漂っていた。
大庭女流初段に、
「このたびはチャレンジマッチ通過、おめでとうございます」
とお祝いを述べておく。「チャレンジマッチ」とは、第4期マイナビ女子オープンの一斉予選対局にエントリーするための予備予選で、5月22日に行われた。これは予選対局で本戦に進出するのと同じくらい、厳しい戦いだったと思う。
実際5名の女流棋士が脱落したわけだが、彼女ら5名を「だらしない」と嗤う女流棋士は皆無であろう。チャレンジマッチはできれば参加したくない、と考える女流棋士が大半ではなかろうか。それほど、現在の女流アマ棋界の層は厚い。
「大沢さん、それだけじゃなくて、(大庭女流初段が)理事になったこともお祝いしてあげないと…」
と船戸女流二段。
「あ、ああ、このたびは理事当選、おめでとうございます」
と、私は慌て気味に付け加える。
スタッフ氏だか誰だか、
「どなたとの対局にしますか?」
と訊かれた。
「もちろん船戸先生です」
と答える。当然すぎる答えである。
予約の会員がほぼそろったようで、定刻より5分早く、レッスンの開始となった。
まずは7月19日(月・祝)に行われる「マンデーカップ」の説明が、船戸女流二段からあった。これは昨年、一昨年も行われたが、昨年は協賛したマンデーレッスンの会員や一般将棋ファンが、設営から参加した。もうひとつ話題になったのが、男性アマチュアの出場枠が1席設けられたことで、昨年は予選で好成績を挙げた「ミスターX」氏が、中倉宏美女流二段相手に善戦した。
今年もその予選会が21日(月)にあるという。私はマンデーレッスンの会員ではないし、マンデーカップにも協賛する気はないので、聞くフリをして聞いていなかった。こういうところは、私は非情なのである。ちなみに船戸女流二段はこの棋戦2連覇中だが、私が関わっていないので、今回もその流れのほうがいいのだ。
ひととおり説明が終わったあと、詰将棋のプリント(6題)が配られる。別にタイムトライアルではないが、こういう類の問題は、つい早解きをしたくなってしまう。分からない問題があると飛ばす。と、解いていくうち、すべての問題が同じ手数で詰むのが分かった。そこで、つっかえた問題に戻り考え直したら、すぐに解けた。詰将棋は、詰手数も大きなヒントになるのである。
船戸女流二段が採点してくださる。ところが、最終問題でその手が止まる。…アッ!! この問題だけ、手数が違う!! 私のすぐあとに全問を解いた強豪氏も、同じ誤りをした。こんな落とし穴があるとは…恐るべし、マンデーレッスンである。
まだ解いている会員もいるが、解けた人から指導対局が始まる。2人講師で少人数なので、私のナナメ前に船戸女流二段が座る。イヤコレ、また緊張してしまう。金曜サロンではだいたい4面指しなので、指導の女流棋士は立って歩きながら指す。
船戸女流二段もほぼそのスタイルなので、いきなり目の前に船戸女流二段の姿があって、ドギマギしてしまったというわけだ。
しかしそれを口にすると変人に思われるので、平静を装い、駒を並べる。
この前の金曜サロンでは、中倉女流二段がひとりの会員、いいカンジでおしゃべりしながら指導対局を行っていたが、私だったらあそこまで談笑できたかどうか。そこが彼と私の違いといえる。
序盤の駒組が終わったあたりで、またひとり会員が入ってきた。
あっ、あなたは…!!
(つづく)