企業の新人教育に「自衛隊体験入隊」はおかしい

2013-06-04 14:14:28 | 日記
 やはりおかしい。新人社員の自衛隊体験入隊

 ゆとり教育の世代向けに自衛隊体験入隊が進められていると言う。「気合を入れるという意味らしい」。
北九州小倉駐屯地に、寝泊りしながら訓練などを体験する「隊内生活体験」を新入社員の研修に活用する企業が増えていると報じている。

 隊内の集団生活の中で規律や礼儀、そして社会人としての自覚を身につけることを狙いとしていると言うのだ。自衛隊の側も「自衛隊への理解を深めるきっかけになれば」と積極的に受け入れていると言う。
日程は、2泊3日、午前6時起床、午後11時消灯、腕立て伏せ・懸垂、そして持久力訓練など、指導教官からは「時間を守れ」「声が小さい」などの叱咤が飛ぶ。

 10年前は10数社であったが、ここ数年30社以上に増えている。
企業が企業の方針に基づいて社員教育をするのは良いが、自衛隊への体験入隊が企業の新人教育となると、かつての軍事教練を思い出してしまうのは戦中派であるためだろうか。

 当時は、この教練は決しておかしくなかった。それは国民共通の敵に勝つためには「一糸乱れぬ」意識と行動が求められたからである。「一糸乱れぬ」、これを紐解けば「4字熟語」が生まれる。勝ち抜くためには、「鉄の団結」・「一致団結」・「全者一丸」、そして記憶にもある「挙国一致」・「一億一心」となった。

 スポーツの世界でもそうである。「敵に勝つため」と称した指導がある。その指導を体罰と見るか、正当な指導と見るのか、その受け止めには温度差があるが、これまで通用してきた。しかし、この一糸乱れぬチームづくりに「4字熟語」が附いてまわったところに、個人の存在を否定する事実が生まれた。

 前に戻ろう。「自衛隊は自衛隊であらず軍隊」である。そのことを偽ってはならない。だから「軍隊」と改組すべきとするのが、自民党の改憲草案の一丁目一番地である。
軍隊は、戦争をすることを目的とする集団である。そこには「一糸乱れぬ」が必須条件となる。また、「一丁目一番地」がかかげられたことにより、中枢においては、旧日本国軍の用語を用いる。あるいは幕僚長を天皇の認証官ポスト「陸軍大臣・海軍大臣・空軍大臣ということなる」にするなどが検討されていると言う。

 戦争をするということは、自分の胸に弾丸が当たる前に、相手の胸を打ち抜かなければならない。それが自分の、そして「戦友」の命を守ることである。それが戦争である。そのための「一糸乱れぬ」である。

 このような特殊な環境に、新入社員を「新人教育」として称して送り込むことは、企業の論理を超えるものではないかと言いたい。ましてや、軍隊の鎧を纏おうとしている組織に組み入れ、軍隊の4字熟語を身につけさせようとすることは邪道である。そして今や、民間企業を超えて、新人公務員を体験入隊させる自治体(大阪・柏原市)が現われてきた。

いつの時代でも、どこの国でも「国を守るという正義の名」のもとに戦争が展開されてきた。その歴史を知らなければならない。
今後も増える可能性のある「体験入隊と称する企業教育」については警鐘をならしたい。加えて、その企業の労働組合が、このような企業の方針にどのような回答を示すのか、関心を持つ一人でもある。

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