知らないことが多すぎる原発基地内。だから恐ろしい

2015-05-08 06:44:29 | 日記

 知らないことが多すぎる原発基地内。だから恐ろしい

  東電第一原発基地内にタンクが林立する。海に直接流すことができない汚染水を保管しているタンクであるが、その数は1000体をはるかに超える。そのタンクも構造的欠陥から汚染水の漏れが生じたり、タンクの屋上での点検作業で転落死亡災害を起こしている。しかも「福島第一原発の今ーNHK特集まるごと」という番組の中で大越キャスターは述べていた。「この巨大なタンクには1000トンの水が入る。今、1日約400トンの汚染水が増えているということなので、この巨大タンクは計算上わずか2日半でいっぱいになってしまう」と報告していた。どうしようもないタンクであるが、実はもう一つ、始末に困るタンクのあることを今回のニュースを見るまで知らなかった。それが5月4日の毎日新聞の「福島原発・汚染水の廃液容器14%で漏れ ガス排出口から」という記事によって知ることになる。

  同原発では地下水が建屋に流入し、溶け落ちた核燃料に触れることによって汚染水が発生している。このことは前にも述べた。そこで東電は、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS」(アルプス)を用いて、高濃度の放射性物質を含む汚染水から、放射性物質を除去し、放射性セシウムを除いた後の汚染水を、活性炭や樹脂などを入れた吸着塔に通し汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、トリチウム以外の62種類の放射性物質を取り除いている。現在、3設備が「試験運転中」であり、その3設備で1日当たり計約1500トンを処理している。処理後に出る汚泥や廃液を入れるタンクがそれである。直径約1.5メートル、高さ約1.9メートルの円筒形で容量は約3トン。東電が、第1原発基地内の容器1354基のうち105基を抜き取り調査したところ、15基(約14%)で漏れや、にじみが見つかった。

(濃度が高い放射性物質を含む廃液が漏れ出たタンクを上から見た写真、東京電力提供)

  漏れた廃液の放射性セシウム濃度は1リットル当たり最大約9000ベクレル、ベータ線を出す放射性物質は同390万ベクレルと、それぞれ高い濃度だった。容器は第1原発敷地内にあるコンクリート製の施設で遮蔽(しゃへい)されており、東電の白井功原子力・立地本部長代理は「廃液が敷地外に漏れることはない」と話す。しかし、容器は使用前に落下試験などは実施していたが、実際の廃液を入れる試験はしていなかったと報告している。そして東電は「ガス抜き用の穴から中身が漏れ出すことは想定外だった」と言うおまけつきの報告をしている。

  アルプスの処理を続ける限り汚泥や廃液が発生する。今後も容器の数は増える。保管場所の確保や耐用年数(約20年間)を超えた後の劣化の問題も懸念される。知らないことが余りにも多過ぎるのが東電原発基地内の実態である。この「アルプス」とて試運転の稼働であることも知らない人が多いだろう。いつストップするかもわからない。だから、すべてが不安であり、恐ろしい。

(下の写真は巨大タンクと、そのタンクが林立する原発基地)