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ジュリアード弦楽四重奏団を京都で

2016-06-10 12:34:50 | 音楽
ブラボー、JSQ(ジュリアード弦楽四重奏団)
言いようのない素晴らしいアンサンブルでした。
初めから最後まで
メンバー
1st.violinジョセフ・リン(Joseph Lin)
2nd.violinロナルド・コープス(Ronald Copes)
viola. ロジャー・タッピング(Roger Tapping)
celo. ジョエル・クロスニック(Joel Krosnick)

でもチェロのジョエル・クロスニックさん、最後の日本ツアー 
1974年から42年間、ご苦労さまでした。
アンコール曲も、ベートーベンが亡くなる5か月前に作曲された
最後の弦楽四重奏曲16番で、最後が泣けますよ
余計に寂しさが増しました。(その話は後ほど)
でも、秋のシーズンからは4代目チェロ奏者として
JSQ初めての女性奏者アストリッド・シュウィーンさんです。
ますます発展進化して行くのでしょうね。
JSQの70年史
「完全無欠のアンサンブル」と称されるJSQも70年、
1946年ジュリアード音楽院の教授らによって結成され、
緻密で明快な音楽解釈が、高度な統一感のある音楽表現と
重なり合い現代屈指の弦楽四重奏団ですが、
演奏の合間でもマスタークラスや公開リハまでこなされており、
この日本ツアーは9日:京都、10日は東京、12日:兵庫(西宮)
そして台湾(13日.14日.15日)、韓国(18)と強硬日程ですね。

演奏会場は、梅雨の雨上がりのいつもの京都コンサートホール

プログラムによると
 
モーツアルト
弦楽四重奏曲第19番ハ長調 K. 465 不協和音(1785)
ハイドンに献呈したハイドン・セット全6曲中の最終曲で、
第一楽章の冒頭22小節、半音階を多用したきわめて大胆な
和声効果のある序奏から『不協和音』と言われる由縁で、
彼らに掛ると、チェロの低音の出だしから始まり、
ヴィオラ、2nd.ヴィオリン、1st.ヴィオリンと遅れて
半音違いの濁った響き、・・・(違う違う)・・・
そしてハ長調に、いつもののモーツアルトで、
爽快な音の風が吹き抜けました。

ワーニック
弦楽四重奏曲 第9番(2015)日本初演
2楽章からなるワーニックの新作(2015)、
JSQとのコラボ4作品目だそうで、やっと日本でも。
上下に跳躍するグリッサンドとささやくような16分音符
から始まり、二楽章は静かな恋歌とも称されており、
ダンテの「神曲」の3を意識し、ベースは3/4拍子で、
3連符も絡み、「モアレ」混沌とした中、
最後はラ♭・ラ・シ♭に収束するのだそうで、、
「神曲」同様それが希望の光を示しているのでしょうか?
現代音楽は、難しい
でも彼らに掛ると難なくこなされておりました。

ドビュッシー:弦楽四重奏曲(1893)ト短調Op.10
ドビュッシーの唯一にして孤高の名作の弦楽四重奏曲で、
ヴァイオリンの旋律とリズムが主となっており、
1stのリンが素晴らしさが、今まで以上に引き出され、
添えるようなヴィオラの演奏も聴きごたえが、そして
そっと鳴る合いの手が5度の重音の響きが、子守唄のように
ずっと耳に残っておりました。

アンコールは、ベートーベン
弦楽四重奏曲(1826)第16番 ヘ長調 作品135 から第3楽章と
上手な日本語で、リンが紹介してくれました。
ベートーベン亡くなる5か月前に作曲された最後の弦楽四重奏曲
静かな部分は徹底的に静かな曲で、暗くなりがちですが、
明るい深淵な曲で、人生の最後を感じ取ったベートーベンの
最後の曲が、人生を振り返れるそんな楽章なのかもしれませんね。
それをJSQのメンバーは言いたかったかもしれません。
本当に終わりが、リンの1st violinの音がだんだん小さくなり
リンの気持ちがよく解かりました。
消えてしまっても、その余韻があるかのような脳が錯覚
もっと聴いていたいという思いが湧き上がります。
でも会場からは、拍手とブラボーの声が次々に湧き起こりました。

最終楽章に書き込まれている
「ようやくついた決心(Der schwergefasste Entschluss)」
「そうでなければならないか?(Muss es sein?)」
「そうでなければならない!(Es muss sein!)」という言葉が
何を物語っているのでしょう。
 陶板館