2 早朝を有効に使う
「急激な変化をしない環境」は、私たちの日常には意外に少ない。やはり、自分自身で意図的に作らなければならない。
一番簡単にできるのが早朝に勉強や仕事の時間を設定することである。
筆者は、朝型である。朝三時に起きて、コーヒー一杯飲んですぐに仕事にかかる。
朝型のよいところはなんといっても、邪魔が入らないことである。見たいテレビの番組もまだないし、電話もかかってこないし、人も訪ねてこない。まさに変化の起きない環境である。自分の思いのままに仕事や勉強ができる。
しかも、早朝に勉強や仕事の時間を設定する利点は、毎朝、一定の時間が確保できるところにある。
ストレスの多い一日を過ごせば、帰宅しての一杯がどうしても二杯になり、三杯になってしまう。疲れて帰れば、今日は寝ようということになってしまう。
夜型の人は、こうして集中できる自分の時間帯を棒に振ってしまうことになる。そして、そんな自分に嫌気がさしてしまう。これは精神衛生上よくない。
ところが、朝型なら、そんな時でも「自分で起きれば」まとまった勉強ができ、仕事ができるのだからもうけものである。そして毎日、一定の時間がとれるというのが、長期間の持続を要する仕事をする時のカになる。まさに「継続は力なり」を支えてくれる。
ただこの場合、「自分で起きれば」というところがむずかしい。むずかしいがしかし、それだからこそ、これができるだけでも自分を自分でコントロールできるという自信がついて、精神衛生の上でも極めて好ましい効果を持つ。
今の日本の社会は全体として「夜型」に向かっているので、深夜が落ち着いた環境であるとは限らなくなっている。TVもかなり遅くまで放映しているし、家族もあまり早くは寝ない。深夜であっても電話がかかってくる。よほどの工夫をしないと、夜、集中できる環境を作るのはむずかしい。
できれば、早朝の時間を、たとえ1時間でも確保するようにしたいものである。朝3時起きは無理だとしても、朝の通勤・通学の時間帯はどうであろうか。
筆者は、大学生のときの通学時間は二時間、しかし、徳島大学に就職してからこれまでは食住近接で通勤時間は30分。
食住近接は助かったが、一番困ったのは、通学しているときは電車で必ず確保できた読書時間60分がきちんととれなくなったことであった。
通勤通学時間は拘束時間ではあるが、考え方によっては、何でも好きなことのできる自由時間でもある。これをうまく利用したらどうであろうか。
ちなみに、2004年のアサヒ飲料が1200人のビジネスマン(20~30代)を対象とした調査によると、睡眠時間5.9時間、起床時間7時1分、通勤時間44..6分とのことである。