三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

馬鹿の番付

2007年11月14日 09時04分41秒 | くらし

  昨日、11月13日付毎日新聞』のコラム「発信箱」、
  論説室、玉木研二氏。
  
  「番付
 九州場所で東京の両国かいわいに今力士たちの姿はなく、少々寂しい。相撲博物館で「番付の250年」展を見た。
 力士の番付のほか、人気商品などのランク付けをする「見立(みたて)番付」が古くからある。時代の空気を伝える貴重な史料だ。「馬鹿(ばか)の番付」といういささか異様な、興味深い番付を見た。明治初めごろ、佐田介石が編集したという。熊本の人、舶来の思想と品を徹底排撃した僧侶である。
 現代仮名遣いにして一部を紹介すると--。
 東の大関は「米穀を食わずしてパンを好む日本の人」。小結に「輸出入の不平均を論じて西洋料亭に懇会を開く議員」。前頭には「馬の小便でも舶来の瓶にさえ入れたれば、結構な薬だと思う人」とか「国産の凧(たこ)を捨て、ふくれ玉を弄(もてあそ)ぶ日本の童」……。
 ふくれ玉とはゴム風船のことか。子供にまで容赦ない。西の前頭には「ペロペロと洋語で国家の経済を論じて、我が一身を修めかねる演説先生」。今の世にも痛烈な皮肉の矢に使えそうだ。
 時津風部屋の騒動で急ぎ前頭時津海が親方を継いだため九州場所番付表は1行空白に。相撲字は押し合う力士の姿と客の大入りの願いを込める。空白は目に染み、今日の角界の危機を無言で語る。
 「馬鹿の番付」が作られた明治の初めころ、鹿鳴館の猿まね舞踏にうつつを抜かす欧化主義者たちは、伝統の相撲興行を「野蛮な裸踊り」と排撃したがった。近代相撲界最初の危機だった。
 その後何度も危機を乗り越えた。今度もできるはず
、と異形の「空白番付」は気合を入れていると思いたい。

 相撲のことはとりあえずおいといて、似たような馬鹿の番付作れそうだ。
 喰う馬鹿、しゃべる馬鹿、脱ぐ馬鹿、何かにかぶれる馬鹿、本当の馬鹿、馬鹿と気づいていない馬鹿、勉強のよくできる馬鹿など。


許せぬ!「後期高齢者医療制度」

2007年11月02日 17時22分12秒 | くらし
   「後期高齢者」
 「すべての辞書検索で該当する情報は見つかりませんでした」
 Yahoo! の辞書検索の結果です。
 「後期高齢者」 辞書にもない言葉です。おそらく厚労省の役人の造語です。   この言葉自体に腹がたちます。
 いよいよ75歳を超えた人は抹殺する気らしい。

 「後期高齢者医療制度」とはどんな制度

1 後期高齢者とは
 75歳以上の人1300万人を対象とした制度です。今、子供などの健康保険の扶養家族になっている人200万人もこの制度で保険料を払います。与党は国民の批判に押され、この200万人については徴収延期で合意。ただし半年だけ。保険料は年金が月1万5千円以上の場合は、年金から天引きされます。天引きでない低・無年金の人が滞納すると保険証をとりあげます。これに便乗して65~74歳で国民健康保険の人も天引きされます。

2 保険料は
 厚労省が試算した保険料は、年7万4千4百円、月6200円が平均です。これは平均です。実際には都道府県や所得によって違います。今の国民健康保険より高くなる場合ももちろんあります。2年ごとに改訂され値上げされるのは必至です。

3 窓口負担は
 原則は1割負担ですが、「現役並み」所得とされた人は3割負担。ただし、それとは別に、70~74歳で窓口負担が「1割」の人は、来年4月から「2割」に増えることが決まっています。しかし実施は1年先送りします。

4 医療の中身は
 後期高齢者に対しては、保険で受けられる医療が差別・制限されようとしています。政府は、後期高齢者の医療に支払う診療報酬に上限を設けようとしています。手厚い医療をする病院は赤字になるため、医療内容を制限せざるを得ません。

5 政府の狙い
 「後期高齢者医療制度」は、医療にかかる国の財政負担を減らすため、国民負担増と給付抑制の仕組みをつくろうということです。今の高齢者はもちろん、これから高齢者になる「団塊の世代」などすべての人を直撃する制度です。
 
 
 大企業や大金持ちを優遇する税制、巨額の軍事費は「聖域」です。 

            (参考『しんぶん赤旗日曜版』 11月4日号)
 
  

失業率の悪化 総務省発表

2007年11月01日 19時46分10秒 | くらし
 総務省が30日発表した完全失業率(季節調整値)は、前月から0.2%上昇し、4.0%になった。
 失業率がが低下傾向から反転し、雇用情勢の悪化は鮮明となった。
 厚生労働省が同日発表した有効求人倍率でも9月は、前月を0.01ポイント下回る1.05倍と2ヶ月連続の悪化となった。
 求職活動をしているのに職に就けない完全失業者数は、8月から20万人増えて269万人。そのうちリストラなど勤め先の都合で離職した人が8月から9万人増えて62万人となっている。
 とくに、35歳から44歳までの年代で増加。
 完全失業者を年齢別に見ると、15歳から24歳までは低い水準を示していた7月の6.5%から、9月は8.7%に上昇。このうち女性は、7月の5.0%から9月には9.6%まで跳ね上がっている。
 全国のハローワークの一般の職業紹介状況での有効求人数は、前月と比べ1.%減少。これで新規求人数の悪化は9ヶ月連続となった。
 ※ (完全失業率は季節調整値で発表されます。季節調整値とは農業など、季節によって労働者数が変わるといった要因を省いた数値)

 これまでの「改革」と称するものが労働者を犠牲にして、大企業のもうけばかりを優先する「改革」にすぎなかったことを裏付けている。
 小規模企業の非自発的失業、自営業者の減少、小企業の倒産、中小零細企業の業況の悪化による雇用の破壊。
 さらに企業は正社員を非正規雇用に置き換える傾向。
  
 今後ますます進むであろう物価の上昇、高齢者医療をはじめとする福祉の切り捨て、格差の拡大を目指す教育制度の改悪、全く展望が見えなくなってきた。

 年内かとも予想される総選挙、世の中を変えなければ。


大根

2007年10月25日 21時34分43秒 | くらし
 薄目の出し汁を、たっぷりと張った鉄鍋の中へ、太兵衛が持ってきた大根を切り入れ、これがふつふつと煮えたぎっていた。
 「さ、おあがんなさい」
 「これは、これは……」
 「その小皿にとって、この粉山椒をふったがよい」
 「こうしたらよいので?」
 「さよう。さ、おあがり」
 ふうふういいながら、大根をほおばった太兵衛が、
 「こりゃあ、うまい」
 嘆声を発したのへ、小兵衛が、
 「そりゃあ平内さん、大根がよいのだ。だから、そのまま、こうして食べるのが、いちばん、うまいのじゃ」

 これで酒。
 出し汁、大根、粉山椒だけである。
 こういうふうに書かれるとのどがなる。という年になったか。

 池波正太郎『剣客商売』「天魔」の中、「約束金二十両」にでてくる。
 大根がうまい季節となった。
 昔の大根がよかったなどと言うのはやめよう。





喰うこと

2007年10月16日 10時03分26秒 | くらし
食べることについて昨日の続き
近ごろテレビの番組では食べ物のことや料理の番組がやたらに多いと思いませんか。
どのチャンネルを見ても食い物の話ばかり。これだけ刺激されれば国民総メタボリックシンドロームも当たり前。
一方世界中では飢えている人もたくさんいるのにね。
大食いを売り物にした若い女のタレントなんてのもいる。喰うことだけが芸というタレント、ばかばかしい限りです。 
これらを芸人、タレントといっていいのでしょうか。
食べタレは馬鹿タレと東海林さだおが何処かで書いていましたが、じつは食べタレ、馬鹿タレは・・・タレでもあった。
彼ら彼女らは大量に食べて大量に排泄する。ビートたけしにいわせると食べる姿を見せるんだったうんこする姿も見せろという。
全くだ。
かつてのアメリカの車みたいに大量にガソリンを食って空気を汚す。環境汚染の元凶だったわけだけど、人間も同じで環境汚染の元だから、少なく食べて少なく排出するということを考えないとね。
地球に優しいくらしなどということをいうけど、人間なんて存在自体が環境を汚染するんだから、人類が消滅することこそ、もっとも良い環境対策ということになる。だからもっと遠慮して地球に住まわせてもらわないとね。

と、糖尿病対策で食事のことばかりが気にかかるおじさんは思っているのです。


ビートたけしの食うことについて

2007年10月15日 16時52分03秒 | くらし
 「おいしいおはなし」(光文社刊)という本がある。文庫本、高峰秀子編、495円+税。
 高峰秀子とは女優の高峰秀子である。
 『おいしいおはなし』は、各界の著名人が、料理や食べ物のことについて気楽にあるいは気取って書いている。
 この中で北野武氏(ビートたけし)が「食べることは排泄と同じ」と題して書いている。一部紹介したい。
 
         ◇          ◇ 
  
 「… ロケの間は食べない時が多かった。一日一食とか。仕出し屋さんが来たり、お弁当を買ってきてくれたりするんだけれど、どうももたれそうでね。
 映画での食事のシーンというのも、おれは好きじゃなくてね。何年か前の『汚れた英雄』という日本映画で、草刈正雄が外人のモデルみたいな女に花をいっぱい贈って食事をする場面があるんだけど、こういうのを貧乏くさいというんだろうなと思った。そういう行為がすばらしいことだとおもっている、その貧相さがたまんないんだよね。
 おれ、排泄行為と、そのもとになる食べ物を口に入れる行為は、ほとんど同じだと思ってるんですよ。なんか下司(げす)なような気がしてね。…
中略…。 
 食べることもそうだけど、人間が生きなきゃいけないためにする行為というのが、どうも好きじゃないんですよ。せめてそうした部分だけでも、人間はほかの動物とは違うんだというところがないとね。食べたいものを食べないとか。セックスしたくてもしないとか、眠りたいのに眠らないとか、そういうふうに自分に課すことで、人間も動物的なところから少しは解放されるんじゃないかな。いろんな宗教に断食があるのも、要するに動物と同じにならないために、食事をやめるということなんだなと思うんですけどね。… 以下略 」

         ◇          ◇

 やはり並みの男ではないですね。
          

インフレ率10万%の国 

2007年09月29日 17時28分29秒 | くらし
 日本という国は豊かな国だと言われ、思わされ生きてきましたが、ほんとにそうなんだろうか。

9月28日付『毎日新聞』のコラム「発信箱」は次のような内容。
「インフレ率10万%」と題して経済部中村秀明記者。
《  世界で最悪の経済状況にある国はどこか?
 自爆テロが続くイラクでも、大量虐殺とあふれる避難民のスーダンでもない。アフリカ南部のジンバブエでる。
 国際通貨基金(IMF)が「年末には年率10万%」と予測する超インフレに見舞われ、失業率は推定70%超。インフレ率10万%とは、今日100円のものが明日は300円、1週間後には2000円になる世界だ。政府も手をこまねいているわけではない。ただし、無謀な対策だ。
 6月に全商品の価格を強制的に半値にする「価格半減命令」を出した。命令が守られていないとみるや、警察が取り締まりに乗り出し、商店主や企業経営者を逮捕した。最近は賃金の値上げを禁止したようだ。
 かつては英連邦の一員で、豊かな土地に恵まれた農業国だった。稼いだ外貨で教育と医療を充実させ、ムガベ大統領は「独立の英雄」と尊敬された。しかし、数年前から白人経営の農場を強引に国家管理にしたり、野党を弾圧するなど強権政治に走った。それが欧米の制裁を招き、経済状況は急変する。
 食糧不足に陥り、国民は飢えた。国の財源も不足したため、紙幣をどんどん刷ってしのごうとした。当然、ものすごいインフレがやってきた。
 4年前、現地を取材した同僚は「独立戦争を知る国民は戦いを望まない」というあきらめを聞いたという。国のリーダーが道を誤り、国民がそれを正そうとする熱意を失うと、どうなるか。超インフレという経済の生きた教材を提供するジンバブエ問題の底流は深い。   》

 まだ日本は国のリーダーが道を誤ろうとした時、別のリーダーを選ぶ権利を制度として持っている。それを行使するか、否かだ。


残暑

2007年09月23日 16時26分13秒 | くらし
秋暑し再び茄子の花ざかり          平松 措大

その後の身にこたえたる残暑かな      清崎 俊郎 

 年々、夏の暑さが厳しく感じられる。
 なかば発狂しつつ、この残暑に耐えている。

《…秋立って、おいおいと涼しくなるべきに返って暑さが退かず、いや猛威をふるって暑さの極みになることがある。夏の暑さよりは人間の身体に悪く、暑気中り(あたり)などはこの残暑による事が多い。裸になるのを戒め、寝相を正されるなど子ども、老人は殊にこの残暑の気候にには健康を損なわれやすいのである。年によると残暑の方が、炎暑より気温が高く人をして息喘ぐ苦しさを味わすことがある。 》
 などと歳時記(『新撰俳句歳時記』明治書院 抜粋) にある。
 夏の季語である。


幸せですか 敬老の日

2007年09月18日 13時55分02秒 | くらし
総務相は敬老の日にちなみ、16日、65歳以上の高齢者の人口の推計を発表した(15日現在)。
以下()内は昨年度。
65歳以上の人口2744万人(2657面人)。
総人口(1億2776万人)に占める割合が21.5%(20.8%)でいずれも過去最高を更新した。
また80歳以上の人口は713万人(674万人)と初めて700万人台を突破した。
男女別では、65歳以上の男性1169万人。 女性は1575万人。 80歳以上では、男性が236万人、女性478万人と女性は約2倍。

営々と働いてきて今は幸せですか。

一方、農水省が8月発表した平成十八年度食糧自給表では、日本の食糧自給率は各国と比べ四十%と群を抜いて低い。輸入食料品の安全性が懸念される中、物価にはね返るのは必致。
医療費抑制、介護保険と介護、年金問題、核家族化、所得格差、庶民への増税など高齢者を取り巻く環境はきびしい。
自助努力によってなんとかせいというのが国の姿勢。

まもなく行われるであろう衆院解散総選挙(どんなことがあっても早期実現を要求しよう)で自分の一票をどう行使するか。我々の武器はそれだけ。


2112年9月3日

2007年09月03日 20時19分50秒 | くらし
今日は9月3日
ところで2112年9月3日は何の日かご存じでしょうか
じつは、この日に「ドラえもん」君が生まれたのです
彼のもつ「どこでもドア」がいちばん好きです

と前置きはこれくらい
1939年9月3日は何の日か知ってる人は数人ですが
私の誕生日です
何歳になったかはともかく ワインを少し飲みました
あと何年生きるかわからないけど
現行の日本国憲法をまもる運動
とくに九条を変えさせない運動にかかわっていきたいと思います











また会おうね

2007年09月01日 20時42分03秒 | くらし
その少女は何かいたずらをしたのだろう。
母親にしかられながら電車に乗ってきた。東京はお盆の時期で、電車はすいていた。5歳くらいの少女は座ってもなお母親にしかられていたが、隣り合わせた私をしばらく見つめ「ネックレスきれいね」と言った。
私は「ありがとう」と答えた、少しどぎまぎした。電車を降りる時、少女は言った。「ばいばい、また会おうね」
冷静に考えれば1200万人の大都会で再会できる確率はゼロに近い。
それでも彼女は私に「また会おうね」というのだった。
深い意味があるわけではない。彼女はどこで会った人にもこういう言葉をかけるのだろう。
「いってきます」と出かけたまま、大切な人が戻ってこないことはありうる。
ありうるが、考えたくないから考えないだけだ。
閉め切った炎暑の車内に置き去りにされ、熱射病で死んだ男の子の家族を思う。
両親は死から1カ月の節目に「(今も息子が現れて)冷蔵庫から飲み物を出すような気がする」と語った。
犯罪サイトで知り合った見ず知らずの男たちに捕まり、7万円を奪われて殺された女性の家族や恋人はどんな気持ちでいるだろうか。
ばいばい、また会おうね。
せめて、また会えると思いながらひとと別れたいと思う。
別れのつらさの中に希望の日を見つけたい。
熊本市の病院が設置した「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもは6人。そのうち一人は、約10日後に両親が引き取りに来たという。

 『毎日新聞』8月29日付 コラム「発信箱」 科学環境部記者 元村有希子氏

うーむ 「また会えると思いながらひとと別れたい」か。





介護はビジネスか

2007年06月21日 09時00分02秒 | くらし

6月19日『毎日新聞』「経済観測」より

 「介護はビジネスか」
 ビジネスという英語のニュアンスはさまざまだ。成句でメーク・ア・ビジネス・オブ・~は「~を商売にしている」でやや軽んじている。ビジネスライクは「キビキビした、効率的な」で好感だ。
 極めつきは米国大統領クーリッジが就任早々「米国のビジネス(仕事)はビジネスだ」の発言でる。いかにも共和党代表らしい率直さだが、29年恐慌の導火線となった評がある。経済万能主義、成長至上主義者は後をたたぬ。
 資本主義ではあらゆることがビジネスのタネとなる。個々の企業では間尺にあわず「それはお上(かみ)のすること」とワリ切っていた公共部門でさえ聖域ではない。
 国鉄、電信電話、たばこ、郵政、はては刑務所まで民営化される時代である。国立大学も秒読みだ。
 ただし、社名をローマ字に従業員を公務員から外せばすべてOKという保証はない。厚生族小泉小泉純一郎前首相も年金の民営化は唱えなかった。国民は救われた。
 コムスンの問題も「介護をそう簡単にビジネス化してよいのか」である。東証一部上場、経団連理事まで行って何を今更だろうが、永続的にソロバンに乗るのかどうか、ジュリアナや居酒屋チェーンとは違うのだ。
 人間の生命、健康にかかわることを金儲(もう)けの手段としてよいのかという素朴な疑問がある。企業家より為政者の道徳規準である。
 具体的には介護に従事する人間に対する報酬が十分かどうかだ。3Kとまでゆかぬまでも老人・病疾者の介護は技術経験と忍耐力を必要とする。希望者の少なさ、定着率の低さが雄弁に物語る。ボランティア精神に期待するのは大甘である。ビジネスに感傷も夢想もない。                     (三連星)

 今、介護に従事する人たちは、その仕事を天職と心得て従事しているかどうか。
 そこにしか就職口がなかったからという者は少なくない。そして低賃金と過酷な労働を余儀なくされている。
 政府・自民党・財界などのいう「発展」「経済成長」が実現したとき、介護労働者の定着率はもっと悪くなり、人は集まらなくなり、ビジネスとしての介護の仕事は崩壊する。
 次には老人は捨てられる。 
 蟻の如く税金に群がるが、高齢者が幸せに暮らせる仕組みになっているか。      

 

          


「こうのとりのゆりかご」

2007年04月13日 09時28分45秒 | くらし
  子供が生まれる。子供を産む。成長して、長生きをしてやがて死ぬ。中には障害を持って生まれる者もいる。
 良い生育環境に産まれた者は、幸せに、良い老後の生活環境を手に入れた者はより幸せに生涯を送る。
 しかし、国はそれらはすべて自助努力でまかなえといっている。
 国民を幸せにするために国家は存立するのではないか。それなりの努力と与えられた労働を果たせば、国の制度として、幸せに暮らす権利が得られるのではないか。憲法第25条はそのことを保障している。
 子供が生まれて、どう生涯を過ごすかは自助努力にかかっている、といまさら言われる筋合いはない。
 少し違うかも知れないが、生まれ出た生命を誰が、どう育てるのか、という意味で次のコラムを。
 
 『毎日新聞』4月11日付 コラム「発信箱」より 元村有希子氏
「ゆりかごは問う」
 《   育てられなくなった赤ちゃんを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」が始まる。閣僚たちは口々に不快感を表したが、人ごとのような言い方はどうかと思う。
 賛否はあるだろう。しかしわが子を手放す人にも切羽詰まった事情があるのだ。望まない出産の場合、置き去りや虐待などの可能性がある。そんな命を「ゆりかご」は救うかも知れない。
 73年4月、宮城県石巻市で産婦人科医院を開業していた菊田昇医師(故人)が地元紙に小さな広告を載せた「生まれたばかりの男の赤ちゃんをわが子として育てる方を求む」。菊田医師は臨月近くになって「お腹の子を殺して」と来院する女性を多く診た。殺せなかった。女性を説得して出産させ、「実の子」として出生届けを出してくれる養親に預ける。こうした違法行為を公表し、制度と命の重さの相克を社会に問うた。
 この事件が呼び水となって87年、子どもが戸籍上も養親の実子扱いとなる「特別養子制度」ができた。
 女性の「産む性」をめぐる状況は、今もさほど変わらない。未婚なら世間の偏見、生活苦も加わる。「育児放棄」と責める前に、女性の孤独や苦しみを軽くする戸籍制度や育児支援など政治にできることは多い。
 菊田医師は公表当時、自著「私には殺せない」につづった。「最も恐れるのは、現実に迫っている赤ちゃんの生命の危機の問題、暗い過去を背負って歩まねばならない母親の問題を抽象論にすり替えてしまうことだ。」
 今度はどうだ。小さなゆりかごが問いかけている。目をそらさず向き合いたい
               (環境科学部)   》

鹿児島県議選捏造事件

2007年03月02日 19時48分49秒 | くらし
 03年4月の鹿児島県議選をめぐる選挙違反事件の判決が23日、鹿児島地裁であり、谷敏行裁判長は公職選挙法違反(買収・被買収)の罪に問われた鹿児島県志布志市の元県議・中山信一被告(61)ら12人の被告全員に対し、「いずれも犯罪の証明がない」と無罪を言い渡した。谷裁判長は、2回の買収会合に出席していないとする中山被告のアリバイを認定し、「買収会合の事実は存在しなかった」と判断。6人(起訴後死亡した1人は公訴棄却)の自白調書は「脅迫的な取り調べがあったことをうかがわせ、信用できない」などとして、検察側の主張をことごとく退けた。
 恐るべき「犯罪のデッチ上げ」であり、背筋が寒くなる。

 大谷昭宏というジャーナリストがいる。しょっちゅうテレビに出てくるのでご存じの方も多いと思う。
 3月2日付『ニッカンスポーツ』のコラム「大谷昭宏フラッシュアップ」に次のように書いている。

【 無罪を報じるテレビニュースでコメントしながら、「これを冤罪といってはいけない。警察が全く架空の事件を作り上げた事件だ」と言って、私はすべての局で捏造事件と言い換えて放送した。
 先週、鹿児島地裁で、03年に行われた鹿児島県議選で買収などの罪に問われた被告12人全員に無罪が言い渡された。その判決の数日前、私は買収事件の舞台となった志布志市四浦の懐集落を訪ねた。鹿児島空港から車で1時間半の志布志市。その中心からさらに山間を縫って50分。こんな山奥に、という所に戸数わずか6戸、20人が住む懐集落がある。
 なぜこんな集落が警察のデッチあげ事件に使われたのか。答えは簡単。人里離れた集落の人たちは公選法の買収の意味も弁護士の頼み方も知らない、県警はそこに目をつけたのだ。いくら地方の選挙とはいえ、有権者のたった0.2%。そんな集落の十数人の有権者のために候補者が4回も会合を開き、10人余りに191万円もの金を使うことはあり得ないとわかっていながら、集落の人を次々に逮捕。当然のことながら、男性はもちろん女性も素裸にして体の細部まで調べ上げた。そんな純朴な人たちに「お前以外はみんな自白した。お前一人のせいでみんなが村に帰れない」「交通違反の切符に拇印を押すのと同じことがなぜ、できんと」と責め立て、金を配った側に仕立てられた県議は1年以上、集落の人も4ヶ月、5ヶ月と留置場や拘置所にぶち込まれた。
 買収した側とされた志布志市内の男性の足下には、刑事が故人になった父親や、かわいい孫の名前を書いた紙を置き、その字を踏ます「踏み字」を強要。引っ張られて、あまりの痛さに男性の足が踏み字につくと「この人でなし。お前は親や孫を踏みつけるのか」と大声で罵倒された。
 デッチ上げられて被告とされてしまった人たちは小間物屋一つない山奥の集落、薪で炊いたご飯のお握りを作って私たちを待っていてくれた。判決に期待しながらも、インタビューが警察の取り調べの様子に及ぶと恐怖の体験からガタガタ震え出す人や、あまりの辱めに涙がこぼれ落ちそうになる人もいた。
 何より怖いのは、こうした架空の事件の調書に対して裁判長が「あるはずのない事実が具体的、迫真的に書かれていることだ」と述べていることだ。つまりプロの裁判官だから、出来過ぎている事が見破れたという。それが再来年に始まる素人参加の裁判員制度だったらどうなるだろうか。
 被告にされた人たちは必死で私に覚え立ての「取り調べの可視化」を訴えていた。こんな苦しい思いをもう誰にもさせたくない。だから調べの様子を録画や録音しておいてほしいというのだ
 いま私たちがせめて出来ることは、この方たちに可視化なしには、断じて裁判員制度を導入しない、と約束することではないだろうか。 (ジャーナリスト) 】

 これが法治国家とされる日本の警察、検察の姿である。『美しい国」とはなにか。

  





安倍内閣は国民生活をどうする気だ

2007年02月22日 13時17分18秒 | くらし
 先週発表の「成長力底上げ戦略構想チーム」(主査・塩崎恭久官房長官)の基本構想を見てみる。
 まず、ワーキングプアの取り扱いについて。当初「正面から取り組む」としていたにもかかわらず、大田弘子経済財政担当相が「定義が明確でないので政策の対象とすることは望ましくない」と主張。これが了承され、議論さえ見送られたという。「ワーキングプア」とは「働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たち」というのが一般通念である。この定義で不都合があれば、自分たちできちんと定義すればいい。それを定義がないから対象としない、というのは本末転倒である。ふざけた話だ。
 さらに時代錯誤なのは「ジョブカード」だ。これはフリーターや母子家庭の母親らが企業での職業訓練に参加できるようにする「職業能力形成プログラム」の一環として発行しようというもの。訓練を受けた履修者にそれを証明するジョブカードを発行することで求職に役立てようとする考えらしい。求職者本人が履歴書に履修実績を書き込めばいいと思われるが、それでは効果がなく政府発行のカードは効力があると思っているのだろう。水戸黄門の見過ぎではないか(『毎日新聞』「経済観測」より)。
 それだけではない。もっとひどいのは最低賃金制の見直しである。40年ぶりの本格的引き上げを目指すとしながら何も決めることが出来ず、新たに「成長力底上げ戦略推進円卓会議」というのを立ち上げ、検討するのだそうだ。
 「成長力底上げ戦略構想チーム」
 「成長力底上げ戦略推進円卓会議」
 「職業能力形成プログラム」
 「ジョブカード」
なんじゃこれは、造語の専門家がいるらしい。
 一方で、「ワーキングプア」については、「それは何のことかまだよくわからんぜ、ほっとこう」というのだ。