1月31日 『発信箱』 元村有希子氏
「飽食・崩食・放食」
【 週末の朝、新聞を開いて驚いた。27日付朝刊(東京本社版)社会面の広告欄が、食品に関するお詫び広告で埋まっていた。賞味期限切れや異物混入など計8社。「不二家」以降、次々と出てくる事例を眺めていると、今までどれだけの不作為が見過ごされていたのかと不安になる。
同時に実感するのは、自分の食生活について、自ら判断し行動することの難しさだ。
架空・過剰演出の健康情報番組に踊らされる社会もその一例だろう。食べるだけで、やせられるわけがないのに、あれだけ多くの人が納豆を求めて右往左往したのである。食べ物が健康に与える影響を過大(過小)評価し信じ込む「フードファディズム」は飽食の社会が抱える一つの病かもしれない。
「崩食と放食」。NHK放送文化研究所は、昨年実施した「食生活に関する世論調査」を基に、日本人の食生活の変化をこんな言葉で表現している。「崩食」は朝食を抜くなど伝統的な食習慣の崩壊、「放食」は食事の栄養価や献立に無頓着な態度を指す。特に、若者に目立つという。「お腹がすけば、いつでも何でも買える」便利な飽食社会が背景にある。
報告書(「崩食と放食」NHK出版)で群馬大の高橋久仁子教授は、法律まで作って食育を進める風潮にくぎを刺しつつこう語っている。「私が知らなくてはいけないことは、自分が食べている物は何かということ。毎日の食事を自分の手に取り戻すことです」
簡単じゃないな、とつぶやきながら、今までどれほど「あなた任せ」だったかに気づかされるのだ。
(環境科学部) 】
生きるために食べる、ということをもう一度考え直す。
「飽食・崩食・放食」
【 週末の朝、新聞を開いて驚いた。27日付朝刊(東京本社版)社会面の広告欄が、食品に関するお詫び広告で埋まっていた。賞味期限切れや異物混入など計8社。「不二家」以降、次々と出てくる事例を眺めていると、今までどれだけの不作為が見過ごされていたのかと不安になる。
同時に実感するのは、自分の食生活について、自ら判断し行動することの難しさだ。
架空・過剰演出の健康情報番組に踊らされる社会もその一例だろう。食べるだけで、やせられるわけがないのに、あれだけ多くの人が納豆を求めて右往左往したのである。食べ物が健康に与える影響を過大(過小)評価し信じ込む「フードファディズム」は飽食の社会が抱える一つの病かもしれない。
「崩食と放食」。NHK放送文化研究所は、昨年実施した「食生活に関する世論調査」を基に、日本人の食生活の変化をこんな言葉で表現している。「崩食」は朝食を抜くなど伝統的な食習慣の崩壊、「放食」は食事の栄養価や献立に無頓着な態度を指す。特に、若者に目立つという。「お腹がすけば、いつでも何でも買える」便利な飽食社会が背景にある。
報告書(「崩食と放食」NHK出版)で群馬大の高橋久仁子教授は、法律まで作って食育を進める風潮にくぎを刺しつつこう語っている。「私が知らなくてはいけないことは、自分が食べている物は何かということ。毎日の食事を自分の手に取り戻すことです」
簡単じゃないな、とつぶやきながら、今までどれほど「あなた任せ」だったかに気づかされるのだ。
(環境科学部) 】
生きるために食べる、ということをもう一度考え直す。