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エリザベス女王杯(GI)回顧

2009-11-16 22:53:26 | 回顧
マイネルファルケ(出走祈願)

マイルCS某登録馬⇒オープン特別に出走できないから仕方なくGIへ出走する(某週刊誌で何度も指摘されている優先出走権の問題)のはおかしいとおもいます。出走することにより、除外になってしまう馬、関係者がいます。やはり、晴れの舞台。出走するからには全力投球しもらいたいものです。半端な気持ちでGIへ出走するのはやめてほしい。


【馬場】Bコース。前日までの降雨で良馬場だが完全に乾き切っておらず多少時計の掛る馬場。内外の差なし。

12.5 - 11.3 - 12.2 - 12.3 - 12.2 - 12.2 - 12.3 - 11.8 - 11.7 - 12.2 - 12.9=2:13.6

【展開】内からクィーンスプマンテが勢い良くハナへ。前走で掛ったテイエムプリキュアはゆったりとした発馬から2番手で折り合いに専念。ガツガツ競り合うことなく2角では完全に前2頭の隊列が形成された。そこからは淡々とした流れを刻み、1000㍍通過60秒5という遅めのラップ。それにもかかわらず向こう正面では後続と15馬身以上の差ができている。完全に後続騎手のペースの読み間違えだ。有力どころに差しタイプが多く、有力各馬が「先に動いたら差される」と牽制し合って動くに動けない展開だった。本来なら差が詰まっているはずの3~4角では逆に差が広がる。勝ったクィーンの1600㍍通過が96秒8に対し、ブエナビスタは101秒0。およそ25馬身ほどの差になる。しかも4角手前でリトルアマポーラをはじめ各馬の手綱は持ったまま。遅いペースを刻んで余力が残っているために錯覚したのだろう。4角で一気に仕掛けても遅い。これでは32秒9の脚を使っても相手が37秒2掛らなければ逆転はできない。各騎手が「直線を向いて前を見たらダメだと思った」と発言しているように展開の恐ろしさを思い知らされた一戦。

6万人超えの淀を圧巻した世紀の大逃亡劇。主役は若干23歳の若武者田中博とGI初挑戦となったクィーンスプマンテだった。発馬直後から手綱を押し、強くハナを主張。見事、外のテイエムへの牽制に成功し1角でペースを握る。その後も極端にペースを落とすことなく淡々と流れを刻み、1000㍍通過60秒5。遅めのペースにもかかわらず後続とは15馬身以上の差ができ、3~4角の下り坂から11秒8-11秒7とペースを上げるとその差は30馬身以上に。ここでほぼ勝利を手中に収め、ラスト1Fはバテながらもブエナの猛追を押し切って人馬ともに初戴冠。展開のアヤが大きく味方したのは確かだが、折り合って淡々としたラップを刻めたし、馬自身も能力を付けてきたからできる芸当だろう。思えば休み明けの京都大賞典では見どころ十分だった。読みが甘かった。

 2着のテイエムプリキュアもその京都大賞典でハナを叩いて大逃げしたが、今回は発馬から無理に行くのではなく、2番手から折り合いに専念。公約どおり途中からペースを上げて後続を引き離す理想的な競馬に持ち込めた。好走の要因としては第一に自身が折り合えたこと、そして無理なペースを刻んでいないのに1000㍍通過時点で後続に差を付けられたこと、そして下り坂でスパートできたことだろう。逃げ・先行馬の怖さを教えてくれる一頭だ。

 圧倒的1番人気に推されたブエナビスタ。レースでは好発を決めるも、道中は例によって無理することなく馬任せのまま後方から。向こう正面中盤まで折り合いに専念し、3角手前でカワカミプリンセスが動いたと同時に馬なりのまま大外から捲って進出。4角では馬群の先頭に立つも先頭とはまだ25馬身差。安藤勝が「直線を向いてとても届かないと思った」と。それほど絶望的な差だった。直線で例によって何度も手前を替えたが、一完歩毎に急追。次元の違う末脚を繰り出して最後まで追い詰めるも、僅かに届かなかった。だが、前2頭とは明らかに展開のアヤでの敗戦であり、悲観することはない。むしろ4角で馬群の先頭に立ち、後続に3馬身半差を付けた内容を高く評価したい。強かった。解説の小島太氏も言っていたが、前半からある程度出して行って、正攻法の競馬をした方がコースや展開に関係なく取りこぼしも少ないだろう。今ならそれも可能だ。低い評価をした事に対してお詫びしたい。

 フランスから参戦したシャラナヤ。来日後は速い時計を出さずに体力の回復と馬体を維持することに専念。道中は縦長の緩い流れの中、2番手集団の3,4番手を追走。手足の運びが非常に軽く、柔らかいフットワークが印象的の道中。3角手前でカワカミ、ブエナが動いてもジッと我慢。直線入り口でようやく手綱が放たれると、グンと重心の低いフットワークでジワジワと詰め寄った。ブエナには及ばなかったが、日本の軽い馬場への適性を示した一戦だった。

 前走は最後方待機から差し切ったメイショウベルーガだが、今回はテンに気合いを付けて2番手集団の中団あたりまでポディションを取り行った。3角手前でカワカミ、ブエナが動いた後に遅れて馬群の外めへ持ち出す。加速するのに時間を要するタイプだけに直線入り口での手応えは決して良くなかったが、一完歩毎に力強く迫って5着まで押し上げた。ズブい後方待機タイプだけにもう少し流れてくれないと。中2週で中間にビシッとやられて2㌔増。よほど体調がいいのだろう。

 ブロードストリートは下見で少しチャカついていたが、許容範囲内だし返し馬の気配が抜群だった。課題だった発馬を決め、馬任せのまま馬群のなかに入れる。道中も気持ち良さそうに走っていたし、インで完璧な追走姿。だが、このインにいたことが致命的となる。3角手前でカワカミ、ブエナが動いた時、ブロードの左前にはサンレイジャスパーがおり完全に仕掛けるタイミングを失う。しかも直後にムードインディゴに外から被され、ようやく進路が開いたのが残り600㍍地点。既にブエナとは約6馬身。先頭とはおよそ31馬身差だ。ブエナでさえ仕掛けが遅れたのに、それよりもツーテンポほど遅れていた。レースを盛り上げる意味でもブエナと一緒に上がっていくべきだった。究極の切れ味勝負では切れ負けする。

 リトルアマポーラは積極的に前を狙って行ったが、あれ以上は行けない。後ろにはブエナ、ブロードらの有力どころが控えているからだ。その証拠に4角の下り坂でもそれほど仕掛けず、ジッと我慢していた。4角から直線入り口でようやく手綱を押して仕掛けるも、一気に馬群にの飲まれてしまった。切れ味勝負では分が悪いし、ズブいタイプだけに下り坂を利用してでも早仕掛けをするべきだっただろう。

 チェレブリタは2番手集団の比較的前目の位置取り。インの経済コースを立ち回り、直線はポッカリと開いたインに突っ込む。一瞬はオッと思わせるような場面もあった。苦手の33秒台前半の脚を要求される流れでは仕方なし。それよりも、直線で一瞬の見せ場を作った点、全身を使った集中力ある走りを評価すべきだろう。条件が合えば。

ムードインディゴは後方2番手から前走の再現を狙ったが、実現しなかった。前走がタメるだけタメて爆発しただけに戦法は変えづらかったろう。4角は大外を回ったし、しかも手綱を絞っていた。展開を考えればあの場面は仕掛けなければいけなかった。たとえ31秒9の脚を使っても届かなかった。前走で鮮やかや勝利を挙げたことと、追いこみ馬の宿命だ。

 ミクロコスモスは下見どころで落ち着き払っていたが、ゲートで一気にテンションが上がってしまった。テンは頭を上げてかなり行きたがっていた。流れが遅いだけに余計だっただろう。それにしても直線は展開抜きして伸びなかった。元々が一瞬の脚を生かすタイプ。速い流れなかで差し切るレースが合っているかも。折り合い面も含めてマイルが一番では?

 カワカミプリセンセスはペースを読んで早めに仕掛けていったが、手足の運びが重く、フットワークに切れが感じられなかった。稽古でもガツンと来るところがなくなっているし、往年の力強さは感じられなかった。