迷歩録 こうう

　　　　　　　　　　　こうう（耕雨）




　　　　　今年もこの時期が来たとばかりに

　　　　　田んぼには、色とりどりのトラクターが

　　　　　唸りを上げて

　　　　　走り回っている

　　　　　そのすぐそばには、鳥たちが

　　　　　ついて回っている

　　　　　あたかも大名行列の籠に

　　　　　家来たちが付いているように

　　　　　鳥たちは、掘り起こされた

　　　　　土の中の虫たちを啄みながら

　　　　　ついて回る

　　　　　なんとの長閑な風景である

　　　　　トラクターの運転手は

　　　　　ひたすら前を向くばかり

　　　　　鳥たちの動向には気がつかない

　　　　　気にも留めない

　　　　　耕雨の時期だけみられる

　　　　　鳥と人間の依存関係

　　　　　持ちつ持たれつの関係

　　　　　鳥は無言で付いて回るだけ

　　　　　人間はひたすら自分たちのために

　　　　　耕すだけ、

　　　　　そのことを取り持つのは

　　　　　小さな小さな虫たち

　　　　　これが自然

　　　　　教えてくれる

　　　　　これこそが共存

　　　　　これこそが平和

　　　　　教えてくれる

　　　　　アメリカや北朝鮮に

　　　　　教えてやりたいものである。