むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

フクジュソウ:福寿草(神話と学名)  

2014-03-16 09:12:49 | 植物観察過去ログについて
このところ毎年の恒例になっているポンポン山西山稜に自生するフクジュソウ:福寿草(キンポウゲ科
フクジュソウ属)を見に行ってきました。
シカ除けの柵を作るなどボランティアの方々の熱心な保護活動で守られてきたこの山のフクジュソウですが、今年は柵の下を堀りくぐって侵入したであろう猪の仕業とかで、ずいぶん数が減っていて、獣の食害の激しさを感じさせられました。
寒さの中で真っ先に春を告げるフクジュソウには、洋の東西を問わずいろいろな伝説が語り継がれています。
なかでも有名なのはギリシャ神話の美青年アドニスの話です。
美の女神アフロディテ(ローマ神話のヴィーナス)には、アドニスというお気に入りの美青年がいました。ギリシャ神話の中でも1番の美しさを持つアフロディテに迫られても、幼かったアドニスはそれを愛として受け取ることができず、恋愛ごとよりも狩りに夢中でした。アフロディテが最高神ゼウスに呼び出された間に、アドニスは狩に出かけ、そこでイノシシに出会い、勇敢に立ち向かいますが、逆に牙に突かれ、血に染まって息が絶えます。その血を吸った大地から咲いた赤い花がアドニスつまりフクジュソウだというのです。ちなみにアドニスを刺した猪はアフロディテの愛人である軍神アレスがアドニスへの嫉妬心のために送り込んだといわれています。
このアドニスを取り込んだ学名Adonis amurensisは、日本でいうフクジュソウの属名で、花は黄色です。
ギリシヤ神話で赤い血を流したアドニスの化身はふつう学名anemone coronariaのアネモネとされています。アドニスの流した赤い血から生え出た花は、赤い花色を持つアネモネのほうがぴったりするのですが、西アジアからヨーロッパにかけては数種の赤い花を咲かせるフクジュソウが分布するといいますからフクジュソウの学名にAdonisが入っていてもそれほどおかしいとはいえません。ただキンポウゲ科には、別にリンネによって設けられたアドニス属があるとなると、この辺の混乱は少々ややこしい話といえます。
ギリシャ神話で混同されるように、フクジュソウ属とアネモネ属は互いに似にますが、その区別は、前者は萼がはっきりし、萼の下に苞葉がなく、一方アネモネ属は、萼が花弁化し、花茎の上部、花の下に大きな葉状の苞葉が数枚つきます。日本には16種のアネモネ属の仲間が自生しており、イチリンソウ、ニリンソウ、セツブンソウ、ユキワリイチゲ、アズマイチゲなどが含まれます。

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