仏像の光背に似た黒紫色の仏炎苞のなかにちんまりとおさまった黄色い花穂を、座禅を組む達磨大師のすがたに見立ててこの名があり、ダルマソウ:達磨草とも呼ばれます。
ミズバショウと同じ仲間ですが、開花時期は1月下旬から3月上旬とザゼンソウのほうが早くなっています。
開花する際に肉穂花序で発熱が生じ、約25℃まで昇温し、周囲の雪を溶かして、いち早く顔を出し、そのうえ花から強い悪臭を出して、この時期少ない虫を独占的に呼び寄せるための戦略をとっています。
最近の研究でザゼンソウの発熱に細胞内のミトコンドリアが関係していることがわかってきました。
ミトコンドリアは葉緑体でつくられた糖を分解してエネルギー源(アデノシン3リン酸・ATP)を生産していますが、ザゼンソウではミトコンドリアが熱生産にも関与しているというのです。ザゼンソウは雌性先熟で、雌期に発熱し、雄性期に発熱を終えます。またミトコンドリアの量は雌性期から雄性期に移行するのにともない減少します。ザゼンソウの発熱は雌から雄への性転換を促進するためとの説もあるそうです。
最初の雌期は5~7日くらいですから、花(肉穂花序)の温度が高いほど雌期から雄期への性転換が早く進むことがわかったといいます。
悪臭があることから英語ではSukunk Cabbageという呼び名もあるというザゼンソウですが、複雑な構造を秘めて、残雪の間にユーモラスな姿で春の訪れを告げていました。
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