むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

オミナエシ:女郎花(多彩な名づけ)

2016-08-08 09:45:33 | 植物観察記録

休耕田を利用して盆花としてのオミナエシ:女郎花(オミナエシ科オミナエシ属)を栽培している京都宕陰地区の越畑へ行った来ました。
山地や丘陵の日当たりのよい草地に生える多年草で、秋の七草のひとつとして知られているオミナエシも近頃は自生のものを見ることは少なくなっています。
高さは1mほどになり、地下茎は横にはい、先端に新苗をつくってふえます。ここ越畑でも同じ畑で毎年栽培されている様子ですが、盆花としての市場が小さくなっているのか、年々栽培面積が減りつつあります。
花期は8~10月、茎の上部で枝分かれし、枝先に黄色の小さい花を多数つけます。
昔から親しまれた野の花だけあって、万葉集での表記も乎美奈蔽之、娘部四、娘子部四、姫押、娘部思、娘部志、姫部思、佳人部志、美人部師など多彩です。
逆に、根茎を乾燥したものを敗醤といって漢方薬に用いられますが、醤油の腐ったような匂いがするのでこの名がついています。
漢方薬でなくとも、越畑のオミナエシ畑でもかなり強い花の匂いがしましたし、花瓶に挿しておくとさらに強烈な悪臭がします。
オミナエシを女郎花ともいう語源は諸説ありますが、黄色い花を粟飯に例え、オミナ(女)、エシ(飯)、とし、白い花の仲間を米飯にたとえて、オトコ(男)、エシ(飯)=オトコエシとしたという有力説があります。それかどうか、謡曲の「女郎花」は「おみなめし」と読んでいます。
また「女郎」の語は、もとは高貴な女性を指す言葉で、後世のような商売女を意味するものではありませんでした。
長い暦史の中で多くの人に愛されてきたオミナエシですが、少々人気が薄れつつある気がするのは淋しいことです。

越畑のオミナエシ畑

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