へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

水嶋先輩のおみやげは…

2015-10-19 02:44:44 | へちま細太郎

真夜中にこんばんはぼくがへちま細太郎です。

水嶋先輩は、クーラーボックスをドカッとテーブルに置くと、
「誰かと思ったら、ひな人形のドスケベなオッサンか…」
と近衛少将さんに、オッス、オラ水嶋と挨拶した。
近衛少将は、苦笑い。
「いつぞや、須庭寺におった農民のおのこじゃの」
「豪農といってくれちゃう?」
殿様だろうが幽霊だろうが、全く遠慮のない人だったな、この性格のすこぶる悪いイケメンは。
「何しにきたんすか?」
と、たかのりはクーラーボックスを叩いた。
「あ、これこれ、田舎のオヤジからの差し入れのおすそ分け」
と、ふたをあけて中から肉の塊を取り出した。
「ほほお、これはこれは…」
いつの間にか、鎧かぶとのおじさんが水嶋先輩の背後にふわりと近寄っていた。
いきなりの登場に、
「背後を取るとは、ひきゃうである」
と、一緒に取り出したニンニクをおじさんにぶつけた。
「ぬかったな、わしは吸血鬼ではないぞ」
「落ち武者め」
「おのれ鎌倉武者に向かって」
二人ともノリが良すぎる…。
「でな、これイノシシの肉…」
突然本題に入られても、困るんだが。
「秋の勉強合宿、覚えてっか?」
「うわあ、思い出したくもねえ」
たかのりは、頭をかきむしった。俺だって思い出したくねえよ。
さんざん歩いたあとに勉強なんて、正気の沙汰じゃねえ。
「今年、伝説の体育教師清原が現れて、合宿所に突っ込んできたイノシシ退治したんだと、だからこれ…」
と、肉の塊を叩いた…。
イノシシの肉かよ~。てか、清原って誰だよ~。



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