へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

とんだとばっちり

2016-01-11 00:32:03 | へちま細太郎

真夜中に、こんばんは、へちま細太郎です。

昼間に、はるみと連れ立って須庭寺にいった。
「あの小部屋は使わせんぞ」
俺たちの姿をみるなり開口1番にこれ言われた。
「ふん、ドスケべゾク親父」
はるみは、少しずつまともになってきてはいるが、生来の性格の悪さはどうしようもない。
「なんだと、コラ」
「怖くないもん、ハゲなんて」
はるみ~と止めたくても面白いから黙っていた。
「おまえな、このくそガキ、そんな性格だからあんな子豚のヲタにしかもてねえんだ、相手が細太郎だからよく見てもらってんだぞ」
「だれよ、子豚のヲタって」
「あ?キチローだよ、昔のおれの手下のレディースの息子だ」
「はあ?」
「なんだ、それ」
これにはおれもびっくりだ・
「キチローのバカのかあちゃんて、レディースだったの?」
副住職さまは、しまった、という表情をした。どうもこれは内緒にしておきたかったらしい。
「レディースだった人がお受験ママになると、息子がヲタになるの?」
はるみも混乱している。
「で、ストーカーになってりゃ世話ねえな」
俺は、キチローの顔を思い出して、だんだんむかついてきた。はるみへのメールストーカーがいまだに続いているからだ。
もっとも、はるみは相手にしていないし、キチローも手を出してこない。そこまでバカなやつじゃないし、第一そんな勇気も度胸もない。
「スキンヘッド親父のゾク時代ってさ、意外とモテてなかったりしてね」
「あたりまえじゃん、まもとな女なら相手にしないよ、ゾクなんてさ」
「なんだと?このくそガキ」
副住職さん、すぐに顔を出すのは、よくないよ。
「どうやって奥さんだましたの?」
はるみ、それはいいすぎだ、とひじでつついた。はるみも、あ、と口をおさえて、
「ごめんなさい」
と、少しぺこり。
こういうところが、昔と違うところ、かわいいだろ。
もっとも、はるみをこういう風に変えたのは秀兄ちゃんだけどな。そこんところが悔しい。
「謝ったところで、貴様に対する俺様の評価は変わらんがな、ふん、俺様だって、女に困ったことはない、レディースどもは俺様に近づきたくてバイクに乗ったやつらばかりだから」
「へえ」
と、副住職様の、僧侶には見えないコワモテの表情をみれば、少し得意げに、
「王様レベルのファーレムだ」
と、鼻を高くする。
「へ、へえ・・・」
得意げな副住職様の背後にことみさんが音もなく忍び寄ってきた。
「子豚ヲタの母親も、いい女だったぞ」
と、発言したとたん、ことみさんは木魚をたたくバチ?みたいなもので副住職様の頭を思いっきりぶん殴った。
「だから、あの小太りを預かったのね?あんたの子供なんじゃないの?」
と、大声で叫んだ。
副住職様は、頭を抱えてうずくまったままだ。
「ああ、そういうこと?ほっといた罪滅ぼしってわけ?」
ことみさん、何もそこまで勘違いはよくない。
いわれ放題な副住職様は、しかし、頭を抱えたままだ。
「いいわけ、しないの?このクソヤンキー!!」
あれでは、言い訳のしようがないと思うぞ、いきなりは痛すぎだ。
「何してんだ、このクソアマ」
副住職様はやっとの思いで立ち上がると、ことみさんからバチを奪い取ろうとした。
「何すんのよ」
「いてえだろうが」
「何よ、何よ、私をだまして寺を乗っ取るつもりだったのね?」
どこからそういう発想が…。
「あ?おめえの親父がてめえをおしつけたんだろうが」
「だったら、あとなんか継がなくていいから、出て行けばいいじゃん、跡継ぎには困らないんだし」
ことみさん、それをいっちゃあおしまいだよ。。。
はるみはおろおろしている、そりゃそうだ、自分の口の悪さが招いた結果だもんな。
「ああ、ことみさん、ごめんなし。私が悪いんです」
はるみはかけよってとりなそうとしたが、
「ガキはすっこんでな」
という、レディースも負けそうなことみさんのすごみにはるみは驚愕して腰を抜かしてしまった。
面白がってみていたのは俺だけで、逆にはるみがこれにこりて少しはおとなしくなればいいかなあと、変なことを考えていた。
「ああ、出ていってやるよ、俺はこれでも藤川家の人間だ」
「なあにが藤川家よ、今は平成よ、ばあか」
奥の庫裏から小百合さんが顔出したが、住職様が肩をたたいて奥へ連れ込んでしまった。
ま、犬もくわねえっていうしな。
けど、かわいそうに、俺たちがきたことで夫婦げんかが始まっちゃって申し訳ないっすね。
はい。。。
てなわけで、これを書いている2階の藤川先生の居座っているリビングでは、副住職様がいびきかいて寝ていているんだが、どうしたもんだよ、これ。。。



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