へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

藤川家の法事、延期になる

2011-03-29 01:00:47 | へちま細太郎

へろ~、藤川だよ、子猫ちゃんたち、みんな元気にしてたかな?

春の彼岸も過ぎたが、毎年春分の日に行われる藤川家の法事が延期された。
これは、地震の被害もあり、被災地に対して遠慮をしたため、ということになっている。
が、実は、菩提寺須庭寺も御多分にもれず地震の被害にあい、本堂の須弥壇と見てくれだけのダミーのご本尊やあまたの仏像が、ことごとく倒れ壊れてしまったからだ。
「蔵の中を点検したらな、文化財はみな無事だ」
と、住職はカラカラと笑い、
「この際、平成の大修理といたそう」
「そうじゃの~」
とじいさいんと二人でそろばんをはじき始まった。
「その前に、直せるものは直しておこう。もったいないからな」
「器用なやつはおらんか?」
「めんどうだ、掃除もやらせてしまえ」
手つかずの本堂の前の階段に座り、紀藤造園のおやじと建設会社の社長で宮大工の小早川と額を寄せ合って密談をしていた。
「本堂はまったく片付いていないのよ~」
住職の娘で、副住職の妻のことみがぼやく。
高校生の時に副住職であるあのヤンキーおやじの毒牙にかかり、結婚させられたばかりか、今では5人目が腹の中にいる。
「でも、おりゃあ、ラッキーだね、法事なんてめんどくせえ」
「あんたなら、いうと思ったわ」
と、そんなわけで、俺は、OB連中を呼んで本堂を掃除させることにした。
「で、バイト料、誰が払うんだ?」
「バカモノ、ボランティアだ」
それじゃ、誰もこねえよ、と(仮)亀梨軍団を思い浮かべていたのだ。



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