へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

剛お兄ちゃんの結婚式

2010-11-02 10:15:46 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

日曜日に剛おにいちゃんの結婚式があった。
都内の超有名な結婚式場であげたんだけど、ぼくは主役よりもごちそうに目がいってしまった。
結婚式のごちそうって、なんておいしいんだろう。。。
それだけで、ぼくは満足だったけど…。
だけど、びっくりだったのは、警察官の結婚式って、すごいな。新婦はキャリアだってきいたけど、関係なく大騒ぎをしている。
「元気だねえ。。。」
ぼくが呟くと、
「浅田次郎の『プリズンホテル』という小説にな、“学校の先生、医者、警察官の宴会、これを称して日本三大無礼講という”というくだりがあるんだ」
藤川先生がぼくの隣でこそこそと耳打ちした。
なんで、みうち席にこの人が座ってんのか理解不能なんだけど、広之おにいちゃんと慶子おねえちゃんもいるし、藤川先生が知らないやつらと一緒にいるのはごめんだ、とごねた、と後からきいた。
「なんとなくわかるような気がするよ」
ぼくは、毎年の間近かにせまったつくばったマラソンでの、あの合宿と称した宴会の様子を思い浮かべて、牛肉のフィレをぱくり。
と、とたんに何が始まったのか、大騒ぎが始まった。
「げっ」
どうやら、剛おにいちゃんがかつて所属していた機動隊の仲間たちが、大声で歌と踊りに興じていた。
「キャリアもいるっていうのに、すげえ騒ぎだ」
「剛も、一応準キャリだろ?」
「キャリアと結婚して、上下関係うまくいくのかしらね」
と慶子あねえちゃんが言ったとたん、
「おめえが言うな」
と広之おにいちゃんはじろりと睨む。
「あとでおぼえときな」
「うるさい、もうひとり生ませるぞ」
「拒否だ拒否」
なんて会話だよ~。
「君は…」
と、不意に背後で声がした。
「は?」
と一斉に振り返ると、年配のおじさんがビールを持って立っていた。
「確か、藤川家の若君だったよね?」
「はあ」
藤川先生が、なんだてめえは?という表情をする。
「やっぱりそうかあ、何、君は近藤警部補と親戚かなんかか?」
「…のようなものですけど?」
「そうかそうか、君も立派になったなあ」
「立派って、十分に立派だよ」
ぼくたちは藤川先生とおじさんの両方を交互にみる。
すると、何を思ったかおじさんは、
「お~い、やっぱり、バカ殿だってよ」
と、上座にいたたぶん警察のえらそうな人たちを呼ぶじゃないか。
「そうか、そうか、このくそガキ」
と、集団でやってきて藤川先生のくびをシメ始まった。
「なんだなんだ」
ぼくたちはびっくり。
「おんやあ、おまえらまだつるんでいるのか」
と、広之おにいちゃんの頭を押さえる。
「げえ、こいつら」
広之おにいちゃんが、素っ頓狂な叫び声をあげた。
「おれらを捕まえたおまわりだっ」
「おお、懐かしいな、どれ、おまえらと再会を祝して飲もうじゃねえか」
「いやとは言わせねえぜ」
ぼくは、慶子おねえちゃんと顔を見合わせ、
「なんなんだ、今日の披露宴は…」
「しょうがないよ、みんな武道派だから」
と、こそこそ言い合っていた。
で、そんなすごい宴会になってしまって、誰が主役だかわからなくなってしまった。
主役の二人は、というと、見つめあっていてすっかり二人だけの世界になっていた。
ご、ごちそうさま…。
ぼくは、二人だけの結婚式で披露宴なしがいいや。



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