へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

棒斐浄寺はほったらかし?

2011-04-03 12:00:45 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

須庭寺の庭に積み重なった瓦のまだ使えそうなものとわれたものを分けていたら、家の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「だから、棒斐浄寺のお義姉さんの安否はどうなってるの?」
あれは、副住職の奥さんのことみさんだ。
「生きてるさ、心配ない」
「何の連絡もしてないんでしょう?あなたそれでも弟なの?」
「うるせえな、ねえちゃんは自分のことは自分でできるタイプの人間だ、いざとなったら自力でここまで来るさ」
わあ、なんて薄情な…。
須庭寺の井戸水をもらいにきていた近所の人たちも何ごとか?と聞き耳を立てている。
炊き出しをやっている(仮)山下軍団さんたちは、聞こえないふり。
そこへ、
「おなかすいたあ~、風呂はいりたああい」
という、声が聞こえてきた。
「京さま、みなさまがみてましてよ」
それまでざわついていた須庭寺が、一瞬シーンとなった。視線は、声のした方にくぎ付け。
そこには、埃にまみれた尼御前さまと、なぞのシスター百合絵様がリュックを背負ってたっていたのだ。
「なんだ、あれ」
「げ、京おばちゃん」
唯一彼女を「オバちゃん」と呼んではばからない孝太郎さんが、カレーを盛り付けずに呆然。
「なんで、キリストの尼さんまでいるんだ」
「どういうコンビ?」
近所の人たちも驚いて棒立ちのまんまだ。
そういう中をずんずん歩く尼御前さまと、その後ろを、
「みなさま、ごきげんよう、このたびは大変でございましたわね」
と、頭を下げて小走りにあるくシスター百合絵様。
「あれ、棒斐浄寺に居候している、百合絵様っていう尼御前様の大学時代の同級生らしいよ」
「百合絵様って、ゆりえ~?」
「ほら、ミッション系のお嬢様学校じゃないか、お妃候補がたくさんいるような…」
ぼくたちは、この二人の出現で、新たな騒動がおこるに違いない、と確信したのであった。
案の定、
「これ、このくされヤンキー、姉を見捨てるとはいい根性じゃないか」
という、尼御前さまの怒鳴り声がきこえてきた。
「京様、はしたないですわ」
おろおろと止める百合絵様。
「んだと、この生臭坊主がっ」
「どっちのセリフだっ」
世が世なら、この二人は…。
考えるのよそう。。。



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