へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

バレンタインデーイブ

2015-02-13 23:05:28 | へちま細太郎

こんばんは、だよ、ピカイチだよ。

毎年毎年、自分が情けない。
何で、今年は1個もチョコがないんだよ~!!
と、叫んだら、桜井にまた食いかけのチョコを放り投げられた。
「またかよ、あんたね、毎年毎年、まともなチョコくれねえのかよ」
「お試しでまずかったんだ」
と、また、ぽんぽんしょうもないチョコを投げてきた。
「見た目珍しいからって、どうしてそう節操なくチョコを買ってくるわけ?」
と、投げつけられたチョコを拾って、ポケットにしまいこんだ。
「朝さ、美都駅で大量にチョコもらってたよ、あんたの息子」
と、桜井はうまそうなチョコをかじって満足そうに笑った。
「やっぱり、チョコはヨーロッパものに限るな」
「コレ違うのかよ」
俺は、ポケットからチョコを取り出すと、
「ハワイ土産じゃん」
と、内心儲かった、と桜井の机の上のチョコを箱ごとひったくった。
「駅ビルで売ってたんだ、アメリカものは口にあわない」
あ、そ~かよ。。。
って、ちょっと待て、さっきなんていった?
「細太郎が、紙袋つきでチョコもらってた。OL風のお姉さんもいたから、小学校の時からずっとくれてる子かもよ」
紙袋つきって、毎年、誰かが気を利かせて、大きな紙袋を持参してくれるんだ。
なんでだ~!!どうしてだ~!!
「おめえがもてないだけだろ」
男子バスケット部の顧問の関本が、桜井のチョコを盗み食いする。
こいつは、少し前にぎっくり腰をやって以来、女バス顧問の鳥谷にまかせっきりで、部活にご無沙汰だ。
「ま、なんだな、オヤジに似てなくってよかったってことで」
関本は、俺が手にしていた出張手当の袋を取り、
「ちっ、高教研の出張だけじゃ、割りにあわねえな」
と、はんこを俺の額に押し付けて、
「どうもな」
と、もらうもんもらっていっちまいやがった。
まったく、中学校は中学校で国生さゆりで騒ぎまくって、こっちはこっちでチョコのためし食いかよ。
なんで、こうも教師っていうのは、中学と高校で違いが出るんだ?
なんて、いっている場合じゃねや、細太郎、おまえ、どんだけチョコもらったんだよ~!


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