へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

孝太郎先輩って…

2015-07-28 15:10:49 | へちま細太郎

オッス、オラたかのり。

チャリ旅行は順調。
事情を知った孝太郎先輩が、
「じいさんに逆らうやつがいたなんて、そりゃ今までいたことないから、農場じゃ騒ぎになってるけどさ~、やっぱ逆らうとしたらおまえらぐらいだろう」
と、大笑い。そして、
「心配すんな、多分おまえらの勇気に手を差し延べるやつは大勢いるって」
と、鍵と地図を渡された。
「これ、うちの別荘ね。しばらく使ってないから汚いけど、ここにいなよ」
とありがたい申し出をしてくれた。
「夏の間いていいよ、そのかわりあちこち傷んでるとこ直して、温泉も出てるし、ほったらかしの畑には野生化した野菜がはえてるから食うには困らないよ。ま、たまに肉食いたいけりゃ、猪か熊が出没するからそっちで調達して」
と、ありがたいんだかありがたくないんだかわからん言葉も付け加えられた。
「先輩、猪…熊出るの?」
細太郎はおっかなびっくり。情けねえやつ。
「たどり着く前に、会っちゃったらごめんな」
孝太郎先輩はしれっとした顔で、ペットボトルと炭酸水を一口ごっくん。
「山ごもりの前に、中華いくべ」
と、VUITTONの財布の諭吉10人を数え直すと、
「さあて、フカヒレいっちゃう?」
とにこやかに笑ったのさ。
あんた、間違いなく藤川家の血をひいてるよ。
御隠居とバカ殿そっくりじゃねえかっ



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