へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

ポケスポット?

2016-09-17 10:11:43 | へちま細太郎

へちま細太郎です。
イイ天気だなあ。。。

しばらく前に副住職のおっさんが、お寺に戻った。戻っても、ことみさんの寝室から蹴りだされ、ただの同居人になり下がっているそうだ。
そろそろお彼岸だし、忙しいし、去年のように逃亡されても困るんだろう。
で、どんな不機嫌な顔をしながら仕事しているんだろうと、はるみやたかのりたちと見に行った。
荒波・白崎・後藤の3人は、藤川家の農場住まいをしている。寮を出るにあたって、引っ越し費用も経費も全部出すぞ、という実孝さんの太っ腹な言葉に、実家の親も直ちにOKを出してきた。
都会育ちの荒波にいたっては、最後まで抵抗していたが、藤川家の食事のうまさに胃袋をつかまれて結果になったようだ。
「でも、あきるんだよな」
と、須庭寺の門の前で、スマホを出して何やら操作する。
どうやらポケモンGOをやっているようだ。
どこがおもしろいんだ?
「俺も、わかんねえ」
白崎も、門の写真がある円を指で操作して回す。すると、赤い丸が数個飛び出してきた。
スマホじたい持っていない俺には、何のこっちゃかわからんが、こうして一緒にいるのにスマホ三昧は大変気分が悪い。一緒にいる意味がないだろう。
スマホを持っているはるみは、
「やってないよ」
と、興味なさげ。
「ラインで十分じゃん」
そのライン、おばあちゃんとやるの、辞めて欲しんだけどなあ。。。
「でも、何で、お寺の門がスポットになっているの?失礼よね?」
はるみは、ゴメスのスマホを覗きこんでつぶやいた。
「中野さん、須庭寺はポケスポだけじゃないんですよ」
ゴメスは、はるみを苗字で呼んでいる数少ないやつだ。本人に言わせると、女性の名前を呼ぶのは彼女だけにしたいんだそうだ。
「ジムもあるんですよ」
「え?」
と境内に一歩踏み入れるなり驚いた。
大勢の人間がスマホ片手にうろうろしている。
「げっ!!」
とたんに、作務衣姿の副住職のおっさんが警策を肩に抱えて殺気を漂わせながら近づいてきた。
「怒ってる」
「すごんでる」
「ケツの穴ちいせえ」
白崎の頓珍漢な発言はおいといて、タダごとじゃない雰囲気が漂っているではないか。。。
つづいちゃお。。。



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