へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

イマドキ、Flamingoは理解しがたいおじさん達

2018-12-30 12:29:19 | へちま細太郎

藤川だ。

クリスマスから居座る浜中に加えて、嫁にたたき出された広之と久保田もやってきた。
「おまえら揃いもそろって何してんだ?」
久保田は子供が生まれたばかりで、嫁が里帰りして帰ってこないそうだ。
「いやあ、たたき出されたわけじゃなくて、大事な娘に風邪がうつっちゃいけないと思って」
「おめえ風邪ひいてんのか?」
「ひいてないけど」
あーそ。
「そういや、あんた二股かけられてたんだって?」
久保田は、持参したフライドチキンをかじりながら浜中に話題を向ければ、
「俺はATMで、体力は若い方の役割だってさ」
「なんじゃいそれ」
浜中は、DVDの見過ぎで目を充血させているが、新たにハリーポッターを手に取った。
テレビのCMでは、米津玄師の「Flamingo」が流れた。
「この曲いいなあ」
広之がとイマドキの曲を誉めつつ、浜中をちらみする。
「なんだよ」
むっとした浜中だが、
「彼女、いい女だったろーが」
「それほどでもねえが、あんたの紹介する女って、なんでみんなド派手なの?」
「そりゃ、こいつは元ヤンだからな」
「あーそ」
広之は、別に否定する様子もなく、
「今の若い教師なんてあんなもんだけど、30前後だから調度いいと思ったんだけどね」
と、紹介した女が公立の教師だったとここで初めてわかった。
「教師なんて地味で眼鏡女子だなんてAVだけの話。やっちまえばこっちのもんだと思うだろうが、ふつうの女性なんだけどね。あんた、何を期待したの」
「いや、別に」
スマホからさっきの曲を流し始めて、
「こういう曲をきいて努力しなよ」
と、さも若いっぷりをさらすが、俺は初めてだ。
「なんじゃ、この曲、意味不明だ」
「だからいいんじゃないか」
久保田も首をかしげる。
「わからん」
「田舎の神社の神楽の舞台が浮かんだぞ」
浜中は、腕組みをして首を傾げた。
「神社の神楽とはまた」
「でも、イメージとしてはそうじゃね?」
「いや、俺は女郎に手玉に取られた哀れな男の話に聞こえるが」
どんだけ飲み屋のねーちゃんに騙されてきたんだ。
「う~ん」
浜中は、何やらうなり始めた。
「わからん、わからんぞ」
「だ~から、振られるの、わかった?」
広之は、セブンで買ってきたアメリカンドッグの2本目に取り掛かる。
「わかりたくもね~が」
俺は、広之のスマホをとめて放り投げ、
「ハリーポッターにいくぞ」
と、DVDのスタートボタンを押した。
おいおい、浜中、何考えこんでいるんだ?





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