へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

逸話シリーズ2

2019-02-06 17:18:12 | へちま細太郎

ほんと、腹立つわ、この娘。
私これでも、世が世ならお姫様、藤川家の京よ、独身。
尼さんだけど。

「あんたね、どう育ったらこんな娘になるのよ」
「育ったようにしか子どもは育たないんですけど?自慢じゃないけど、うちの親、バカですから」
いうに事欠いてこれか、ほんと親の顔がみたいわ。
「あ~、いいですけどね、クレーマーだから、知らないわよ」
しれしれっとして憎たらしさ倍増。
「むかーし、おたふくクラス中に蔓延させて、サラダ先生を困らせたことがったわあ。まさか細太郎君の親戚だって知らなかったから、知ってたらやらなかったと思う。いまだに、恨み節言ってくんのよね、あの恐妻家」
腹が立ちすぎて、二の句が継げないわ、だから、
「それで、吉良家の自然薯は~」
「あら、吉良家っていえば、西条と東条の二家があったんでしょう?どっちの吉良家?」
うっ、こ、この娘、できる!何気に複雑怪奇な三河事情をつかんでいる。
「それに尾張の藤川家が、なぜに三河まで出向いていったんです?ほかにも、何か盗みにいったんじゃありません?」
「ぬすみ~?何言ってんのよ!藤川家が盗みを働くわけないでしょうがあ」
「自然薯、盗みにいったんでしょ?」
うっ、このくそ娘、余計ムカつくわ~。
「他人様に言えない後ろ暗いところがあるから、ほんとは違うのを盗みにいったんだっけど、ばれたくないから吉良家の自然薯にして、吉良家にけんか売っているとしか思えないんだけど?」
と、さらにしれっとしてお茶を飲むとにやりと笑った。
「あたしねえ、山岡荘八の徳川家康、親が好きで大河のDVD持ってんのよ~、吉良御前ってさあ、曳馬城の女城主だったんだよねえ」
うっ、あたしの知らない歴史をなぜこの性悪女が知っている。
「美人だったのかな?それとも、あれか?」
ゲス娘~と怒鳴りそうになった時、
「それはなあ~」
と、やかんのように口を出してきた住職だった。
つづいちゃお



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