へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

とんでもない話があったもんだ4

2018-12-17 15:30:05 | へちま細太郎

細太郎だよ。

ものすご~く寒い日だったその日は、俺らは売店と並んでいる休憩中のレストランで焼き芋をほおばっていた。。
連中は外で芋ほりをさせられたあげく、焼き芋作りだ。
「あんな態度をとるからだよ」
と、途中からやってきた(仮)亀梨軍団の悠樹さんが隣にどっかりと座った。
「荒波くんがさ、中継してくれたやつ、みんなで見てたわけ、そしたらご隠居が面白がってねえ」
この人も、すっかり藤川家に染まってしまった。それにおっさん臭くなっている。
まだ、20代だよな。
「で、あるんですか?赤穂の討ち入り話にかかわった話」
「あるわけなかろうが、あるとしたら吉良の塩と赤穂の塩と両方からうまい具合に取引しとって、赤穂からは半値でかいとるずる賢さだわ」
そんなこったろうと思ったよ、と声のした方を振り返ったら、お久しぶりな棒斐城寺の尼さんこと、藤川都さん。副住職さんの姉ちゃんだ。
「くそじじいに呼び出されてきてみりゃそういう話か。まあ、下手すりゃ城中で斬られてたのはうちのご先祖かもね」
「言われなくても想像つきますって」
「まあ、あの当時はわいろっつーか、お金を出したりして教えを乞うのは当たり前だから、金のあるもの勝ちなんだよね。なけりゃないなりにお留守居役の江戸家老がなんとかするわけ。その江戸家老が無能じゃ、他の家臣も立つ瀬がないわけよ」
「ふうん」
そういえばこの人は、世が世ならお姫様だよな。
「しかし、自業自得とはいえあいつらも気の毒だな」
討ち入り研究会の厨どもが、泥のついた顔に泣きべそを浮かべてこちらに向かってやってくるのが見えた。
「バカなやつらだ」
俺に向かって放った無礼を考えれば、この程度で済んでよかったわな。



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