へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

藤川先生の夏休み6

2006-08-27 23:58:45 | へちま細太郎
挨拶はかんべんしてくれな、藤川だべ

中島教授のヘボ演説を聞かされる前に、俺たちは暗黙のうちに止めようと必死になった。こいつ、熱すぎなんだ。
「あんたね、リポビタン毎日かけたらそうなったわけ?品種も肥料も改良じゃなくて、ただの栄養過多の育ち過ぎなんじゃないの?」
「僕は愛情が育てたんだと思うなあ
「悠樹ね、点数稼いでもしょうがないよ。単に、突然変異だよ」
けんちゃんは、(仮)亀梨1号…悠樹の発言が、余計な方向に行かないように起動修正する。
「けんちゃんさあ、彼女いないからそんな発言するんだよ。たまに恋してみなって、人生に潤いが生まれるよ
生徒に言われちゃあ、けんちゃんおしまいだな。
「バーカ、ありすぎてこんなになったらどうするんだ
「こんなにとはなんだ、こんなにとは…
俺たちは必死で会話を続け、座りながらカニの横ばいのように動き始めた。
「きっと、そのうち、虫とか捕まえて食い出すに違いない」
「あんなでかいやつが虫でがまんできるか?ネズミぐらいは食いそうだ」
「それでも飽きたらず、保健室に来る生徒はみんな食われてるんだ」
「そんで、服とか靴とか、ぺって吐き出すのな(^_^;)
と、もはや言いたい放題になった時、
「ふ~じ~か~わ~せ~んせ~い
と、天から恐ろしげな声が聞こえてきた。
「あ?」
俺たちの前に、仁王立ちした匿名希望の東山先生がいた。
「げえっ
「ちょ~しんき~
俺は、座ったまんま後ろ向きの状態で逃げ出した。
「こらっ、あほっ藤川淀川に沈めたるでっ
「かんべんしてくれえええっ
俺のその時の逃げっぷりが、あまりにも無様だっていうのでしばらくは笑いものになってしまったが、実はそれだけじゃなかったんだな…。
俺は、後ろ向きだったために気がつかなかったんだが、2人連れの女がやってきて、俺は思いっきりぶつかってしまった。
「あ、すいま…げっ\(゜□゜)/
びっくりしたなんてもんじゃない。あのパフィオなんとかって蘭が歩いてきたのかと思った。
「うわっナマハゲ女
「げっタラバガニの逆立ち
けんちゃんと(仮)亀梨1号…悠樹が、硬直していた。
衣笠米穀店の長女と三女だった。
中島教授の、巨大化した蘭を見にやってきたんだと。

俺のところに、タラバガニの逆立ちとの見合い話が持ち込まれたのは、翌日のことだった。

俺を誰だと思ってんだあっ

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