へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

おとうさん、新型にかかる

2009-11-19 17:33:19 | へちま細太郎

へろ~、藤川だ

こ~いっちゃんが、新型に感染した。ウイルスは、のぶちゃんから事務の田原へ、田原と仲の良いこ~いっちゃんへと移動した。
おさまらないのは細太郎だ。
「何回自宅待機をさせれば気が済むんだ」
と、カンカンだ。
「変われば変わるもんだ、4月当初はあんなに嫌がってたのに」
タミフルと解熱剤で、一見元気になったかに見えたこ~いっちゃんは、自室のこたつのにあたりながらホットミルクを飲んでいた。
「おまえね…」
俺は教師だから一応学校へはいったが、細太郎は元気いっぱいの12歳だ。いつまでもつまらないことで学校をサボったりするようなことはない。
が、
「細太郎もなんだな、よく立ち直ったなあ」
と、のんきなもんだ。
「おまえね、みんなから誤解を受けるような行動はやめたらどうだ。俺なんかもすっかり浅田の恭子ちゃんとナニしちまったのかと思ったよ」
「ばあか、なんで俺が梨香以外の女とつきあわなきゃいけないんだ」
「バカはどっちだ」
「バカで結構だね。お互いバカな男と女なんだから、ほっといてくれる?」
そう言われちゃもともこもないが、いつからバカがさらにバカになったんだか、ま、俺はどうでもいいがな。
俺は、女ッ気のないこの家で、家事洗濯に追われる羽目になるってだけで、うっとおしい思いをしていた。