へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

おとうさんの外泊

2009-09-12 22:15:12 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

朝からラケット抱えてお出かけしたおとうさんは、まだ帰ってこない。
「最近、よくテニスに行くよね、試合でもあるのかな」
ぼくはバスケ雑誌をめくりながら、何気にきいてみた。
「あんたが相手にしなくても、確かにテニスはしてたけど、こんなには遅くならないわよねえ」
と、おばあちゃん。
「確かになあ、朝から行っても午後には帰ってきたしな」
おじいちゃんも、お茶をずすりと飲みながら、時計を見た。
「10時だな」
「藤川先生と合コンかな?」
「お~れ~はぁここに~いるぞぉ」
ふいに背後から寝ぼけた声がして、ぼくらはびっくりした。
「いたの?」
「い~た~よ~」
頭をかきむしりながら、椅子に座り、
「夕方から寝ちまってた」
と、テーブルの上のぶどうを手にとると、口の中にほうりこんだ。
「インフルエンザのおかげで、部活は中止だしなぁ、することねえし」
って、じゃあ、おとうさんはどうしたのさ。てか、することないってなに…
「こ~いっちゃんが、どおしたって?」
藤川先生も知らないのか。
「ま、子供じゃないんだし…」
おばあちゃんは、笑っているけど、ちょっと心配みたいだ。
連絡ぐらいよこせよな、子供じゃないんだから。