へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

焼肉食べ放題時間制限あり

2008-09-06 22:24:05 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

今日は、家族・・・もちろん藤川先生もだけど・・・焼肉の食べ放題に行った。
おじいちゃんはさっそくビールだし、おとうさんと藤川先生はソッコーで肉をとりに行き、ぼくはアイスクリームなんかをもってきてしまった。
「やっぱり…」
おばあちゃんが、山と積まれた肉とソーセージの皿を見て、
「はいはいはいはい」
と網いっぱいに野菜をのっけてしまった。
「なんだよ、肉がやけねえじゃねえか」
おとうさんが文句をいうと、
「おんなじくらいに野菜を食べないと、血液がどろどろになるわよ」
の正当な理由に返す言葉もなく、ぶつぶつ言いながら端っこの方にソーセージを並べ始めた。
「いやあ、ガキどもがわんさかいて、ドリンクの順番が回ってこねえ」
藤川先生がみんなの分のウーロン茶を持ってきてくれながら、これまた文句。
そう、土曜日の夜の焼肉の食べ放題は大混雑で、ぼくより小さい小学生や幼稚園児がとれもしないのに皿を持って走り回っていた。
「親が注意しろよな~」
と、おとうさんが文句を言いながらやけてきた肉をレタスにはさんで食べている。
「他人のこといえんのか」
藤川先生が、おばあちゃんに焼けた肉を渡して、ちらっとおとうさんを見た。
「細太郎は、いいんだ。いい子だからな」
「へえ」
藤川先生が今度ぼくを疑り深そうに見た。
どきっ。
でも、そんなに悪い子ではないと思うけど、ただ性格は悪くなったと、思う。
「あんたたち、文句ばかり言ってないでちゃんと食べないと、90分はあっという間だからね」
おばあちゃんは、いつの間にか焼けた肉を独占していて、
「次は、何を食べようかなあ」
と、るんるんとした足取りで次の材料を取りにいってしまった。
「負けた…」
藤川先生は、ソーセージをほおばりながらうなづき、おとうさんも立ち上がって肉をまたとりに行き、おじいちゃんは2杯目のビールに突入していた。
で、ぼくも負けじと肉やたこ焼きやアイスを食べまくり、あっという間に時間がきてしまった。
「あ~食った食った」
おとうさんが、おなかをさすりながら苦しそうにしているのに、
「90分はたりねえ」
と藤川先生は、ポケットからナプキンにくるんだものを取り出して、口の中にほうりこんだ。
「何を食べてんの?」
「さっきのデザート、あまったからもってきた。どうせ捨てちゃうんだから持って帰ってきてもバチはあたんめ」
藤川先生は、またポケットからお饅頭を出した。
いったい、いくつくすねてきたんだあ~
意地汚いにもほどってもんがあるべ~。
まったく…。

*ちなみに、あまったものの持ち帰りは認められていませんので、あしからず。