へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

おひがん

2008-03-22 23:58:20 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

いい天気なのに…。
ぼくのうちには、わけのわかんないこの世の人たちが里帰り?やら遊びにきたりで、なんだかもう疲れちゃうぜ。
いちばんやっかいなのは、
「よい庭よのぉ」
と、種をまいたばかりの庭の畑の上を歩き回っている、
「美都田吾作さん、いくら幽霊だからといって気安く畑に入んないでくれる?」
と、おばあちゃんに怒鳴られている美都田吾作…藤川先生のご先祖様です。
おばあちゃん、他の人には見えてないよ。
「ご隠居に向かって何を申すか」
と吾助どんと治平どんに威張られても、
「だあったらご隠居らしく、茶でも飲んでいてたらど~よ」
「飲めたら苦労せんわ」
「じゃあ畑仕事手伝え」
「それもできたら苦労せんわ」
「役立たずは引っ込んでな」
と、そこにまた、陰険な漫才にまたまた吾助どんと治平どんが割って入り、
「このお方を何と心得る、恐れ多くも…」
「心得てほしかったら最初から名乗れ」
「なんだと」
おばあちゃん、幽霊とはいえ、ご先祖様のご主人様なんだから、そのへんにしておこうよ。 関ヶ原のおじさんと、鳥羽伏見のおじさんがおろおろしているよ~。
「ふん、全く先祖も子孫も居候ときたもんだ。バカ殿はあんたに似たんだね」
「わしゃあ、あそこまで女好きではないわい」
「ああそうか、あんたんとこは大飯ぐらいの家系だったんだっけ」
「食い地だけは負けんぞ」
「それだけが自慢か」
ぼくは見えてるから平気だけど、でもつくづく変な光景だなあ。 人も動物も幽霊も引き寄せてしまうのは、おばあちゃんの性格がそうさせるのかなあ。
そんなぼくのうちに、なぜおかあさんと豆太郎くんはこないんだろう。
きっと楽しいと思うんだけど。
「だから、わかんないやつだねえ、コシヒカリとササニシキというのは…」
「我が子孫のところにはヒトメボレと書いてある米があったぞ」
…。
これもお彼岸のなせるわざかな~。
コメント
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