へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

ご先祖様再び

2008-03-20 22:52:45 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日は春分の日ですね。
でも、寒い。
電気カーペットの上に毛布をかぶってごろごろと、ふだんはやらないおばあちゃんもまるまっていました。
「年だなあ、おまえも」
おじいちゃんがそういって笑っても、
「うるさいね、たまにはぐうたらして何が悪い」
と、プンプン。
実は今日お出かけする予定だったのが雨でぶち壊しになったので、頭にきているみたいです。
無理もないや。でも怒っている理由はそれだけじゃないような…。
カーペットの上に専用のシーツをしいてもらいぬくぬくと寝ているリカの両方の耳が、なぜか交互に動いています。
リカは片目をあけ何かの気配を感じたのですが、また気にせず寝てしまいました。
う~ん、慣れたんだな。
ぼくは頭を抱えました。
そうです、今日はお彼岸だったんだ。
「細太郎、はろー」
は、はろー?
「久方ぶりよの」
あ~、近衛少将さんだ。
「うっひゃっひゃっひゃ」
鎧甲のおじさんはテレビの前に陣取って、“踊る大捜査線”のDVDをみていました。
鳥羽伏見のおじさんと関ヶ原のおじさんがいません。
「主家の藤川家の法要に参っておるゆえ、おっつけ参るであろう」
こなくていいのになあ。なんでぼくのうちが気に入っちゃったわけ?
「おもしろいからだ」
けんちゃん先生が、ぼくのうちに居候した理由と同じだ。
「それと、光一の行く末が気になる故の」
近衛少将さんはおとうさんが寝ているわきにあぐらをかくと頭をたたきましたが、おとうさんは気にせずDVDをみています。
「うっひゃっひゃっひゃ」
鎧甲のおじさんはテレビが気に入っての訪問みたいだ。
だったら自分ちでみろよな。
夕方になって藤川先生とけんちゃん先生が帰ってきました。
2人とも法事に出ていたんですが…。
あ~やっぱり。藤川先生の後ろには、あの、あの、あの…美都田吾作が吾助どんと治平どんをしたがえて、
「カッカッカッカッ」
という笑い声とともに入ってくるのが見えました。
が~ん。
うちをたまり場にしないでくれっ。
コメント
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