へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

校長は無責任

2006-05-15 23:59:59 | ひるまのもめごと
はい、けんちゃんだよ。
いつもの靴下の色、違います

のぶちゃんの姿が見えなくなって3日後。俺は校長に呼ばれた。
校長の安部(あんべ)は、彼の祖父の代からこの学校に勤めている。祖父は、理事長にまでなったがまもなく病死し、父は理事の1人になったがやはり若くしてなくなった。 今、理事会に欠員が出ていて、父の代からのライバルの高校の副多(ふくだ)校長と激しくその空席を巡って争っている。
俺としちゃそんなことには興味がないんだが、どっちが理事会入りしたところで、大して体制にはかわりはないと思う。
むしろ、今のぶちゃんに“失踪”されて足下をすくわれたくないんだろうことぐらいは、容易に想像できた。
「で、前田先生の行方はわからないんですか?」
と、のんきな口調で聞いてきた。あんまり深刻に受け止めていないのが、その表情から見て取れた。
そりゃそうだ、いなくなったのが、あののぶちゃんだから。
でも、半分は迷惑そうだ。
「どうせなら、緒方先生、あなただけで探してもらえませんかね」
おおごとにしたくないのでね、などと組んだ手の指をぱらぱらと動かしている。
「いや、前田先生のことだから、事件に巻き込まれたってことはあり得ない、て思うんですよ」
確かにそうだけど、あいつは事件に巻き込まれるんじゃなくて、事件を引き起こす方なんだよな。
ああ見えて、結構短気でもある。
「まあ、私としても穏便にすましたいので、とりあえず、緒方先生と事務の近藤さんと2人で動いてみてくれませんかね」
近藤?…ああ、白いやつか
名字で呼ぶヤツなんかいないから、ピンとこなかったな
しかし、校長も部下がいなくなったのに、自分の心配しかしていないのかよ。
ま、期待しても仕方ないしな。

あとで、事務室でも行くか。

でも、あいつ、頼りになるのか~?
コメント (2)
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