宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

町田康(1962-)『テースト・オブ・苦虫 1』(2002、40歳)(その1)①電話を引け、②復讐のタネが多い、③陽気浮気なことを考える、④「いつもの」店、⑤世の中の仕組み!

2022-06-14 13:44:57 | Weblog
(1)「コミュニケーション・ブレイクダウン」
「電話を引いていないと、連絡が取りにくいので、電話を引け」と「この偉い俺」が相手に要求する話。《感想》電話がない相手に、連絡するのは大変だ。(まだ固定電話の時代!)
(2)「洞窟から誰も出てこない」
家の前にぽっかり洞窟が開いて、「呪い復讐呪詛一般教授。個人レッスン。週一回からお試しコースあり」の木札が下がる。たくさんの人が並ぶ。復讐したがる人が、世の中たくさんいる。①風邪を引いた。酔った自分を寒い廊下にほったらかしたあいつらに復讐したい。②荷重勤務で事故を起こし会社を馘になった。復讐したい。③クライアントのNGくらった。復讐したい。④「勝手に名前出された」と苦情を言われて仕事を降ろされた。復讐したい。⑤房井久子が俺を振ったので自棄飲みして自動車事故を起こした。復讐したい。《感想》この世では復讐のタネが多い。
(3)「陽気な僕ら浮気なあんたら。ハッピーなデイズ」
莫大な印税。ハッピーな人生。酒池肉林。鯛や平目の舞い踊り。死に物狂いで陽気浮気なことを考えるが、実際の人生はアンハッピー。(ア)ポータブルエムディーが動かないので怒って破壊した。(イ)CD売れないし、家賃が払えない。」(ウ)重なった碗が取れない。ピクとも動かない。怒って暴れ狂い部屋がめちゃくちゃ。(エ)寒いので暖房をつけようとしたがリモコンが壊れてる。《感想》ハッピーなデイズとは「死に物狂いで陽気浮気なことを考える」ことだ。
(4)「『いつもの』と言って来るのは知らねぇ料理」
常連でないと、店で冷たく扱われる。ところが、今日はいつもの店なのに冷たく扱われた。「予の顔を見忘れたかっ!」苦虫の味が口中に広がった。《感想》「いつもの」店で冷たく扱われショックだった。
(5)「世の中の仕組みを見通したのらくら者の涙」
基本的に世間を渡世していくことは「やりたくない」ことの連続だ。パン屋なら「やりたい」が、資金もないし、パン製造の技術も持っていない。だが世の中には金を払ってでも僕にパン屋をやらせたいという奇怪な欲望(「やりたい」)を持った人が絶対にいるはずだ。「やりたい」と「やりたい」の幸福な出会い!僕の話を聞いていた巣鴨のおじさんの口中に苦虫がつぶれる音がした。《感想》渡世していくことは「やりたくない」ことの連続だ。これが「世の中の仕組み」だ。
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