宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

最首悟・熊谷晋一郎「障害者がねらわれて:対談」『朝日新聞』(2017.2.25朝刊)

2017-03-01 22:32:49 | Weblog
 相模原市の障害者施設で19人の障害者殺害した植松聖(サトシ)容疑者(27)が殺人罪などで起訴された。
《対談》
 和光大名誉教授・最首悟(サトル)(1936-):専門は「いのち論」。ダウン症の3女・星子(セイコ)(40)と同居。
 東京大准教授・熊谷(クマガヤ)晋一郎(1977-):脳性まひの障害で車椅子生活。薬物依存症の患者が自ら症状改善をめざす「当事者研究」に取り組む。
(1)
 植松聖容疑者(27)は、「障害者は生きている価値がない」、「生産しない者には価値がない」と述べる。(熊谷)
 「いかに生産するか」で、生きてきた団塊の世代が、2025年に全員75歳以上になる。認知症患者が700万人の見込み。(最首)
 今は、非人間的な社会になるか、人間的な社会になるかの分岐点。(最首)
 少ない椅子を奪い合う社会では、「不要とされる人」に悪意や攻撃が向かう。(熊谷)
 「私」の存在価値の証明が問われる時代。社会に役立っているかが問われる時代。終身雇用が失われ、いつ首になるかわからない非正規が増大。誰もが不安な時代。(最首)
(2)
 「社会に役立っている」とは、何か?植松容疑者は、存在理由を「国家による勲章」に求めた。(最首)
 ※私見:「社会に役立っている」とは、〈人にやさしくすること〉、〈困った人を助けること〉、〈清貧に生きること〉、〈経済は生きる最低限を保証すればよいと思うこと〉。
(3)
 「自立」しようという考えが強いほど、人間関係が断ち切られ「孤人」になってしまう。(最首)
 「障害者に対し、社会に合理的な配慮がないから能力が発揮できない」という能力主義的米国的考え方。「能力あるなしは関係ない。命そのものに価値があるんだ」という日本的非能力主義的(※仏教的)考え方。(最首)
(4)
 障害者介助には、金銭支払いによる契約型と、ボランティア的な非契約型がある。両方のハイブリッドが必要。(熊谷)
 ダウン症の3女・星子(セイコ)(40)については、「あの子がいなければ」と「あの子がいてくれたから」という相容れない気持ちが表裏一体。(最首)
 言葉が話せない星子に「そこにいるだけでいい」という感覚が私にある。(最首)
 人は利己的なので、自分が得をする感覚が大事。無償の奉仕は限界がある。(最首)
 日本では愛嬌が人の武器になる。安倍首相はどこか愛嬌があるので支持率が下がらない。(最首)
(5)
 人間は一人で生きていけない。「自立」を求められると苦しい。「ともに生きる」!(熊谷)
 人に頼れないと、物質(Ex. 薬物)か、神格化した人物か何かに頼る依存症になる。(熊谷)
 幼少期に虐待を受け、「ありのままの自分を周囲が受け入れてくれる」という信頼を失うと、依存症になる。「弱いありのままの姿を承認しあえるような人間関係」があれば、生きていける。(熊谷)
 「あるがまま」を持たず「理想の仮面(ペルソナ)」をかぶって生きる人がいる。(熊谷)
(6)
 「自立して強くあれ」という考えを変えないといけない。
 「能力あるなしは関係ない。命そのものに価値があるんだ」という日本的非能力主義的(※仏教的)考え方。(最首)
 「弱いありのままの姿を承認しあえるような人間関係」こそ大切。(熊谷⑧-3)
 「弱さの強さ」を自覚する必要。(最首)(※上記、熊谷⑧-3のことであろう。)
 互いに「相手に頼れる社会」が重要。「暴力の加害者にも、被害者にも、なりやすいのは、孤立し頼れる先の少ない人です。」(熊谷)  

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