根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

粋・希望

2009-05-11 01:34:52 | エッセイ、コラム
1時間半ほど前、偶然NHK総合にチャンネルを合わせたら、忌野清志郎が元気に唄っていました。

NHKも粋な事をやります。
民放各局で流れた清志郎の葬儀の模様や参列者の100の追悼の言葉よりも、彼がステージで元気に唄っている姿を映像で流す事の方がどんなにか意味がある事でしょう。

「ROCK」音楽のルーツの1つには、「SOUL」音楽があります。
「SOUL」音楽は「黒人霊歌」と昔の音楽の教科書では紹介されていたでしょうか。
狡猾な白人によってアフリカ大陸より使役の「道具」として無理矢理連れて来られたアフリカ人が、苛烈で無慈悲な労働が終わったあと「今日も一日大変だったなぁ!!」っという慰霊の意味を込めて彼らが先祖より伝えられたBEATと歌とDANCEによる伝統表現を洗練させ体現したものが「SOUL」音楽のルーツだったと記憶しています。

ROCK音楽はそのSOUL音楽にアイルランドの伝統音楽とアメリカのPOPULAR音楽が融合したものだと言われています。

現在はビジネスの1つとして形骸化しているROCK音楽ですが、源流にはそんな哀しい歴史があるのです。

忌野清志郎という人物は、そんなROCKを日本でイチ早く具現化してみせた先鋭的なミュージシャンの1人です。
失恋して涙が止まらない女の子、仕事に疲れたビジネスマン、イジメに遭った男の子etc…。
ラジカセから流れる清志郎の歌はそんな希望を失った人たちの生きる力に、どんなにかなった事でしょう。
彼のライヴに足を運んで、ひとときの夢のような彼の圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにした人たちは、苦悩を会場に置き忘れ、翌日には元気に学校や職場に向かった筈です。

清志郎は「伝説」になりました。
日本のロック・ミュージシャンはこれから大変です。
なぜなら彼を越えるのは容易な事ではないからです。

生涯イチROCKミュージシャンとして生き様をみせ、我々に沢山の「希望」を与えてくれた忌野清志郎という人物は改めて凄い人物であったのだなぁっと、NHKスタッフの「粋」なはからいで目にできた清志郎の映像を観て痛感している夜です。