Heart and Aqua

優しい時間~ゆっくりしていってください。

食堂かたつむり

2008-07-31 | Book
『食堂かたつむり』 小川 糸 著 を読みました。



草野マサムネ(スピッツ) さんが、
 「食べる」ことは
 愛することであり、
 愛されることであり、
 つまり生きることなんだ
 って改めて教えられる
 素敵な物語でした。 



岡野昭仁(ポルノグラフィティ)さんが、
 毎日口にするごはんに 
 こんな物語が
 詰まっているなんて
 気がつかなかった。
 これからは大きな声で
 「いただきます」と言いたい。

と、帯に書いてあるということで、かなり話題になったようです。



レビューを見ると賛否両論の感想が書かれてありましたが、
わたしは、絵本のようなやさしいコトバの数々、純粋なココロの部分や、
主人公の食べものに対する感謝の気持ちや
食べものを本当に愛おしく思って料理している気持ちが
とってもステキだなぁと思いました。

また、いろんなお料理や簡単なレシピが書いてあって、
どうしてこんなに詳しくわかるのだろう、
かなり研究されたんだろうなぁと感心しました。



あらすじは、
主人公の倫子さんが、ある日料理店のアルバイトから戻ると、
インド人の恋人とともに、お金も家財道具もろともぜ~んぶ消えていて、
残ったのは、おばあちゃんの形見のぬか床だけ。

衝撃的な失恋とともに声まででなくなった主人公は、ふるさとに戻り、
実家の離れで小さな食堂を始めます。

ひとつひとつ自分で手作りしてやっと開店したその食堂は、ちょっとかわっていて
お客さんは一日に一組だけ。
そして、決まったメニューはなく、事前のお客さんとのやりとりからイメージをふくらませて、
その人のためだけに、その人を想ってオリジナルな料理を作るんです。

すると、食べたお客さんに変化が現れ、
いつしか「食堂かたつむり」で食事をすると願いごとが叶う、
という噂が広まっていくのです。

カップルが誕生したり、捨てられた瀕死のうさぎが元気になったり、
大切な人が亡くなってからはずっと喪服で通していた人が
カラフルな洋服を着て出かけるようになったり。。。



その人のために、一生懸命に考えて、願いをこめて作る料理が
その人(動物にも)に魔法をかけてしまうのだと思います。。

野菜だって動物だって、どんなものにも命があって
そのひとつひとつ、ムダにすることなく大事に食べて、
大事に食べることによって、そのものたちが救われるよ、
そんなふうに言っているように思いました。



主人公は、すべてを失ったために、
帰る予定ではなかったふるさとに帰る事になりましたが、
失恋してすべてを失ったからこそ、念願の食堂をはじめることができた。

やっぱりここでも、
「ピンチはチャンス」「幸せは、不幸な顔してやってくる」と言う言葉を思い出しました。

人にとって、かなしいこと・不幸だと思えることも、
後になって思えば、チャンスであったり、幸せへの通過点だったりします。

だから、もしつらいことがあっても、負けないで
次へのステップに歩き出さないといけないんですよね。。。

もちろんこれは、物語だけれど、
現実の世界であっても、自分を信じて進んでいけば、
きっと次の何かを見つけることができるのではないか。。
そんなふうに思いました。



おまけ

糸通信というのがありました。

お料理のレシピとかが書いてあって、楽しいです。
よかったらどうぞ。