電王戦〔対コンピュータソフト〕
全5局の団体戦が本日最終戦第5局を迎えました。今までの結果は、別々の人間が2勝、別々のソフトが2勝、と全くの互角。
いままで負け越していたので、今回は人間のプロ棋士に期待がかかっています。
いままでどうしてソフトが強くなったかというと
- 過去の無数の棋譜をデータとして読み込んで、これを解析してきた
- 何百台ものコンピュータを接続して並列データ処理をしていた
のに、人間は1人で相手を研究することすらできななったのでした。
そこで
いつからか知りませんが、対戦するコンピュータソフトの貸し出し制度を始めたようです。事前に相手を研究できるようになったのです。
この結果、今回の最終団体戦で
「相手の欠点を見つける能力」が人間にあったことを証明しました。
今回の(先手)阿久津主税は
昨年はA級順位戦で9戦全敗の成績におわり、2015年4月から降級してB級1組で1年間を戦うことになっていますから、バリバリのA級棋士というわけでもなくなりました。
今回の経過
- 2015/03/17 斎藤慎太郎○-●Apery
- 2015/03/21 Selen●-○永瀬拓矢
- 2015/03/28 稲葉陽●-○やねうら王
- 2015/04/04 Ponanza○-●村山慈明
- 2015/04/11 阿久津主税○-●AWAKE
5局目は先手が21手目▲16香としたところ、午前の11時頃という時間帯で、後手ソフトが開発者の権限として潔く投了し、阿久津が勝ちました。
この結果、団体最終戦では、人間が3勝、ソフトが2勝、と人間が勝ったのでした。
批判されている「△28角」について
人間のプロ棋士が、事前にプログラムの欠点を見破っていて、「わざと後手のソフトに△28角を指させた」のではないか、とされています。
言い替えると、プロ棋士側が、ソフトの欠点を把握していて、罠を仕掛けたのではないか、というものです。
しかし、この非難は、当たらないと思います。
何も人間側は、不正なことをしたわけではありません。
ソフト側が大昔から徹底的にプロ棋士の過去のデータを集めてソフトの実力を向上させられたのに、プロ棋士側は最近やっと相手のソフトを事前に研究できるようになったのですね。
どんな世界でもプロは相手を研究することで成り立っているのであり、それを非難するものではないでしょう。
団体戦ゆえ
事前に共同研究をした結果とは言え、阿久津主税は、堂々と勝ったのであり、ひっかけたという非難は当たらず、事前研究が功を奏したと言うべきです。
ソフト開発者に、そこそこ以上の実力がないと、プロを打ち負かすソフトを開発できないという段階にあると言えます。
いずれはプロ棋士が太刀打ちできなくなるかも知れませんが、まだ対等な段階にあると言えましょうか。