何を言ってもいいけれど、
言ってはならないこともありますね。今アメリカでは大統領候補を絞る党員集会やら予備選挙が各州で進行中。共和党予備選ではトランプが好調なようです。
しかしトランプが
その下品さゆえに、一部のアメリカ人、メキシコ人やイギリス人、その他の人たちから強烈に反発されていることも、知っておかねばなりません。
過激で危険な主張を繰り返すトランプですが、簡単に乗り越えられる木の柵だけが延々と3000kmも続く貧弱なメキシコ国境を超えて侵入する不法移民や中東からの移民に仕事を奪われたと不満をもっているアメリカ人には、高く支持されているようです。
この共和党の素人政治家トランプは
これらの不満を巧みに取り込んで支持者を増やしていて、国民の「口にはできない本音」を並べてくれて不満解消には最適なのでしょう。
ただし、国の長として適切かどうかについては大いに疑問があり、アメリカ国内改革は大いに結構だけれども、この人に外交を任せるのは、それでなくても不安定なアメリカを、「得意の不満受け入れ演説」でもって思いつき処理する危険な方向へ向かわせるのではないか、と私は心配しています。
尤も、トランプを危険視するアメリカ人もいて
トランプが共和党の代表になる公算が強いので、最後の本選挙では、民主党で勝ち残るであろうヒラリーとの一騎打ちか、と考える人も多いらしい。
そしてまだそれほど聞かれませんが、近々、アメリカで例の薄汚いネガティブキャンペーンがぼちぼち始まるでしょうから、この為の選挙費用がかなりかさむでしょう。
トランプも「これから発生するであろう馬鹿げたほど高額の選挙費用」を自己資金だけに頼るようなマネはしないでしょうから、広い支持者から資金集めをするので自然に過激さが抑えられるだろう、と見る人もいます。それがトランプの姿勢に一貫性がないと見なされるかどうか、なんでしょうか。
8年くらいに1度だけとはいえ、「表現の自由」を根拠にアメリカのテレビ会社・新聞社だけがボロ儲けできるのか、と笑ってしまいます(笑)。残念ながら資金力が当落を決めるという一面があり、これが従来の政治家に期待しないトランプを生んでいる、という矛盾もみられます。
私は、いまひとつアメリカの選挙制度について詳しくないことと、アメリカに住んでいないので選挙権がないこと、などから
民主党・共和党のどちらに転んでもやむを得ない、と考えてはおりますが、自分なりの意見はあるつもりです。
しかし、トランプが大統領候補として名乗りをあげたため
深くアメリカ社会にくい込むのを許した制度のおかげで発生したとされるリーマン・ショック〔2008年〕。このあたり以降、アメリカがかかえる深刻な恥部を知ることができるようになったのは、ありがたいことでした。
こういうごまかしの演説をする人はどこにでもいるので気にとめていませんが、「なぜ、かなり多くのアメリカ人がトランプを支持しているのか」が疑問でした。
もしもトランプが大統領選に出馬しなかったら、私はアメリカの実情を理解しないままだったようです。ということで、住んではいない異国の地のことから何かを把握するきっかけが得られたのには、それなりの価値がありそうです。
いままでアメリカには
1950年ごろの創造的ではあったけれども薬物まみれだったジャズ界、ハリウッド映画に見られる暴力性、などのイメージが強かったのですが、トランプのおかげで
- 「アメリカでなぜ銃が重宝されるのか」
- 「移民問題がどれほど深刻な問題になっているか」
- 「なぜ暴力的なのか」
などのわけが、少しずつとはいえ見え始めたのです。
私としては、共和党そのものから
ブッシュ父子が起こした湾岸戦争やアフガニスタン戦争・イラク戦争の大失敗を思い出してしまい、軟弱?な民主党政権のあとで、再び共和党のトランプ大統領が誕生するのではないか、とかなり不安になっているのは、事実です。
ここで私が「トランプの品のない発言にうんざりしている」ことだけは、どうしても言っておかねばなりません(笑)。
かといって民主党政権になれば・・・・
特にオバマ大統領〔2009/1-2017/1の予定〕が就任早々にしてノーベル平和賞〔2009年〕を受賞したため、「ノーベル平和賞のオバマは反撃できないはず」とにらんだ中国が、軍備を強化し違法な埋め立てを進めてきたことを、忘れてはいけないでしょう。フィリピンなどをみているとさらに納得できるでしょう。
シリアの空爆などもあり、オバマはノーベル平和賞を返上すべきだという意見も出ています〔ロシアの声:2014.08.19〕。
この返上意見については
「返上すべきだ」ではなく、まだどうなるか分らない大統領就任直後のオバマの演説内容だけでノーベル平和賞を与えた側により大きな間違いがあったのであり、オバマだけに責任があるのではない、と私は思っています。
- ノーベル平和賞を2000年に受賞した韓国の金大中が北朝鮮に金を巻き上げられた(だまされた韓国が日本から金を巻き上げるという構図か?)
- ノーベル平和賞を、2009年度にオバマが、2010年に獄中の中国人劉暁波 (りゅう ぎょうは)が、それぞれ受賞したため、それを逆手に取った中国が軍事大国化して周辺を侵略し攻撃的になった
- ノーベル平和賞を2012年にEUが受賞したのを狡猾(こうかつ)に逆用してロシアがクリミア半島を併合(2014年3月)した
とにかくノーベル平和賞は
問題がありすぎ、ノーベル平和賞受賞者が攻撃的になれないだろうと読んだロシアや中国や北朝鮮などの独裁政権に逆用され、世界に「平和」をもたらしたどころか、かえって「対立を深めた」と言えるのでした。
希望的観測だけでノーベル平和賞を決めるのには大きな危険がともなう、ことを示したようで、将来のノーベル平和賞選考に大きな影響を与えるはずです。
こんな時に、
アメリカで再び軍事的に強硬な共和党が政権を取れば、世界の情勢が、いい意味でも少し、多くは悪い意味で、変わることでしょう。
「世界の警察官」をやめたはずのアメリカに、再び「世界の警察官」を期待する人が、アメリカにも増えたのでしょうか。
それとも、口先ばかりが達者になったアメリカの政治屋に嫌気を感じる人が増えたため、トランプのような政治家が出現するほど、アメリカで厭世観が浸透したのでしょうか。
一方で、民主党政権が続くなら
ロシアや中国の横暴を許すだけだ、と見ている人もいます。
中国やロシアの為政者たちは、民主党政権のままであってほしいと願っていることでしょう。
さてどちらがマシな選択なのか、私にも分りません。
今回の引用記事
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【AFP=時事】メキシコ前大統領のフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)氏が27日、発言の中で米大統領選について触れ、共和党の指名候補争いに出馬しているドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を、ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)と比較し、人種差別主義者(レイシスト)だと非難した。:AFP=時事 2016年2月28日
- 【コロンビア(米南部サウスカロライナ)西田進一郎】共和党指導者はドナルド・トランプ氏の大統領候補指名獲得を阻止するため動くべきだ--。米紙ワシントン・ポストは25日、指名争いで独走する不動産王トランプ氏の候補指名獲得に強い危機感を示し、指導者に不支持を表明するなど行動を起こすよう促す異例の社説を掲載した。:毎日新聞 2016年2月27日
- メキシコ人は「強姦犯」 トランプ氏の発言に手を焼く共和党:産経ニュース 2015.7.6
- トランプ氏、メキシコ元大統領の言葉づかいにクレーム:2016.02.26 CNN
- トランプ氏、再び拷問支持を表明 「前言撤回」を否定:AFP=時事 2016年3月7日
- 米大統領選 「トランプ旋風」で、支持者も過激さ増す:フジテレビ系(FNN) 2016年3月11日
- 「かつら疑惑」のトランプ氏、聴衆が頭髪チェック:2015.08.28 かつら疑惑は日本の沖縄県知事翁長にも沖縄県議時代からあり、もう「怪しい」のレベルを超えています。翁長などの過激な人からは、あの過激な宝塚歌劇(かげき)を連想してしまいます(笑)。
- Donald J. Trump appears to be more concerned about the quality of his hair than the quality of the air.:ニューヨーク・タイムズ 2015/12/30〔トランプは、大気の質よりも、自分の髪の毛の質のほうに、より興味があるようだ。〕
さてさて、アメリカ人が
- 「勇ましいけれども、暴力的で賤しい素性を発揮する」共和党出身の大統領を選ぶのか
- 「形式的には尊敬に値する理念を前面に出すものの、口先だけのアメリカの素性を発揮する」民主党出身の大統領を選ぶのか
- これからも移民や不法移民が多民族国家アメリカの活力になっていけるのか、それともアメリカが寛容な姿勢と決別して世界に脅威を与えるようになるのか、大いに見ものです。
- 民主党と共和党の両方のいいところだけを主張する候補がいないものですかね。これは日本の政治でも言えることですが。
- 今は政党政治でしょうから、政党を選ばねばならず、これが有権者の選択を誤らせる根本になっているように思います。
- 日本でもあの政党のこの政策は良いけれど、この政策に関しては賛成できず、別の政党に軍配を挙げる、などがあるものですね。
- これが近未来の社会構築へのヒントになれば、と願っております。
- トランプが共和党の代表候補になれるかどうかは、異論こそあれ「共和党の内部問題」であり
- またトランプがアメリカの大統領になれるかどうかは、「アメリカの国内問題」でもある