昨日のブログでご紹介した通り、5月22日に2試合で33得点(0失点)というとんでもない試合に立ち会ったわけですが、3日後、地元横浜で違った意味のとんでもない試合に遭遇することになろうとは…。
5月25日、横浜スタジアムで行われた、横浜vs広島10回戦に行ってきました。前日、エース東投手を援護できず、8回に同点に追いつかれ、延長10回ついに力尽き5vs2で敗れた横浜。せっかく勝率5割に戻したものの、1日で借金生活に逆戻り。交流戦前最後の3連戦の緒戦を落とし、なおさらこの日は負けられない試合となったのですが…。結論から言うと、またしても8回に追いつかれ、延長12回9vs6で逆転負けとなりました。5時間16分、シーズンの命運を左右しかねない、ショックの大きい敗戦でした。
横浜スタジアム史上最高33,376人の観衆を集めたことも、舘ひろしさんと柴田恭兵さんが始球式を務めたことも、「そういえばそんなことあったな」と記憶の彼方に霞んでしまいました。
横浜の先発は、前回5月18日の中日戦で6回5安打2失点と試合を作り2勝目を挙げた、今や現役では4人という、希少なアンダースローの中川(颯)投手。
その立ち上がりですが、先頭の秋山選手にいきなりライト線際の二塁打を浴び、続く野間選手のファーストゴロの間に3塁とピンチを迎えます。
すると3番菊池選手にあっさりレフト前に運ばれ、失点。試合開始ものの10分もしないうちに先制点を許してしまいました。
一方、広島の先発は、今シーズン初登板の玉村投手。こちらは16球で三者凡退に抑える上々の立ち上がり。
2回表。野球に限らず、およそ相手のある勝負事というのは、いかに自分がしたいことをするかばかりでなく、いかに相手が嫌がることをするかが非常に大事だと思っているのですが、それがこの回の広島の攻撃に見られました。まず、坂倉選手がファーストゴロに倒れ、1死となってから矢野選手がライト前ヒットで出塁します。
すると、カウント3‐1となったところで矢野選手が盗塁。2回から走ってきたのは、伊藤捕手の肩(盗塁阻止率はあまり高くない)、そして中川投手がアンダースローであることを見越してのことだと思います。判定は当初アウトでしたが、リプレイ検証の結果、セーフに。次の打者が投手ですから、その前に得点圏に走者を進めることができました。そして8番打者の林選手は四球で出塁。これで1死2塁・1塁。
さらに9番玉村投手の打席の時、矢野選手が三盗を決めます。これで併殺のリスクを減らすとともに、1死3塁・1塁で、外野フライ、あるいは仮に内野ゴロでも1点が取れる可能性のある環境が整いました。つまり、2塁・1塁であればほぼ間違いなく送りバントで2死3塁・2塁となるシチュエーションに対し、よりオプションを拡げることに成功したわけです。すなわち、守備側はそれらのオプションを想定して守らなければなりません。その結果は、玉村投手のサードゴロの間に矢野選手が生還。これで2vs0。
昨日の流れを引きずる嫌な展開でしたが、2回裏、横浜にビッグイニングが巡ってきます。まず先頭の筒香選手がセンター前ヒットで出塁。
宮崎選手は8球粘ってランエンドヒットを成功させ、無死3塁・1塁。
大和選手は左肩に死球を受け、無死満塁。すると伊藤選手がすかさずセンター前ヒットを放ち、2vs1。なお無死満塁。
知野選手は四球で押し出し、同点。
すると前回登板時はホームランも放った、パ・リーグから移籍の中川投手がレフトにタイムリー。これで逆転。様々な事情を考慮してのことだと思いますが、広島の新井監督はここでよく堪えたなと思います。
しかし、蝦名選手もレフト前ヒットで続き、さらに2点追加。これで0vs5。
オースティン選手も続き、4度満塁。しかも未だ無死。ただ惜しむらくは、ここで3番、4番を迎えながら追加点を奪えなかったことです。タラレバになってしまいますが、ここで攻め切れていれば結果は変わっていたかもしれません。
3回は両軍無得点で終えましたが、4回表、2死から林選手がセンターフライ、センターの蝦名選手は最初前進してきますが、打球はぐんぐん伸び、後退した蛯名選手の頭を超え二塁打に。
そして玉村投手の代打、宇草選手にもレフトに二塁打を浴び1点を返されます。下位打線で2死までこぎつけてからの失点だったので、ひじょうに勿体なかったですね。
さらに悔やまれるのが5回表。先頭の野間選手をショートフライに討ち取り、続く菊池選手の強烈な当たりを同じくショートの大和選手がダイビングキャッチ。この投手を盛り立てる好守備に応えなければならなかったのですが、二死走者なしから小園選手にレフト前ヒットを浴び、
つづく末包選手にもライト前ヒット。2死2塁・1塁。
そして坂倉選手にはセンターに二塁打。これで2点が入り、ついに同点。
ただ横浜もその裏、広島の3番手中崎投手から宮崎選手がレフトへの2塁打で出塁すると、大和選手のセカンドゴロで1死3塁のチャンスを作ります。
ここで伊藤選手がレフト前にヒットを放ち、再び横浜が勝ち越し。5vs6。
6回、7回は、2番手坂本投手が36球とやや球数を要したものの1安打無失点に抑えます。野間選手のセカンドゴロがこの試合3回目のリプレイ検証で覆ったり、森選手が深いショートゴロを強肩を活かして刺したり、守備も健闘しました。
ただ6回裏、最後のファウルフライを1塁オースティン選手が捕球に行き、そのままカメラマン席に転落。アウトにはしましたが、オースティン選手は退場となりました。ようやく怪我から復帰し2週間も経っていないというのに、大事に至らないといいのですが…。本当に気がかりです。
さらに中盤守備で必死にこらえるも、7回裏の横浜は広島の4番手森浦投手の前に、宮﨑選手から三者連続三振を喫してしまいます。森浦投手は6回、7回を投げ、横浜の中軸打線を相手に5奪三振。坂本選手も良かったのですが、それ以上に森浦投手の好投が素晴らしかった。
8回表。横浜は4番手山崎投手が登板。矢野選手を三振、林選手を2球でショートゴロに討ち取ったところまでは良かったのですが、
森浦投手の代打、広島に何人かいる横浜の天敵の一人、石原選手に痛恨の同点ホームランを浴びてしまいます。時間は18時15分過ぎ位だったと思いますが、ちょうどこの時間帯の横浜スタジアムは風邪の影響でレフトポール際は結構怖い印象があります。この時の当たりもまさかホームランになるような当たりとは思えなかったのですが、入ってしまいました。
「試合に流れなどない」という人もいますが、僕はあると思っています。何故なら人の心理が影響するからです。試合中盤の展開に加えてこの1発が生まれたことにより、「流れ」は広島に行ってしまった、少なくとも、それを横浜が覆すのはかなり難しいと感じました。
8回裏、横浜は代打戸柱選手がヒットで出塁するも、後続が倒れ無得点。
9回表。森原選手が2奪三振を含むわずか10球で広島打線を抑えます。
さて、9回裏の広島は通算100Sに王手をかけている栗林投手が登板します。
広島の抑えの切り札栗林投手の前に、横浜は先頭の佐野選手が倒れますが(この試合、佐野選手は打撃面で良いところがありませんでした)、筒香選手がライト前にヒットを放ち、代走関根選手が送られます。
そして続く宮崎選手は、栗林投手にしては珍しい4球連続ボールの四球で出塁します。抑えのエースがくれたチャンスで1死2塁・1塁。勝ち越しのランナーが得点圏に進みます。
ただ解せなかったのは、ここで1塁走者宮崎選手に代走柴田選手を送ったことです。柴田選手が悪いというのではありません。9回裏です、2塁走者が生還すればそこで試合は終わりなのです。もちろん、足は速いとは言えず、かつその足の状態も宮崎選手は万全ではないのかもしれません。より考えられる理由として、併殺打のリスクを下げ、より1点が入る確率を高めたかったのかもしれません。
しかし、続く大和選手は、今シーズン打席数が少ない(32打席)とはいえ、併殺打は1回です。それより何より、こう言っては失礼かもしれませんが、このチームは打つか打たないかじゃないですか?それを併殺打が起こる確率、さらに走者の足の速さによってそれを防ぐことができるシチュエーションが起こる確率を考えたら、このまま延長戦に突入する確率の方がよほど高いと思います。その際、オースティン選手は既に下がり、筒香選手も下げ、宮﨑選手まで下げ、将棋でいえば飛車角香落ちのような打線で、対照的にほとんどスタメンを残している広島打線にどう伍するつもりだったのでしょうか?
2回表の攻撃の場面で、「いかに相手が嫌がることをするか」というお話をしました。何よりもこの交替を喜んだのは広島ベンチだったはずです。そして結果はどうだったのかというと、大和選手はレフトフライでしたが、これは末包選手の好守に阻まれたと言ってもよく、落ちる可能性も十分にありました(尤も、前に落ちた場合、2塁走者の生還は難しかったでしょうが)。そして伊藤選手は三振。サヨナラのチャンスは潰え、2試合連続の延長戦突入となりました。
それでも諦めない選手の気持ちは伝わってきました。10回から登板した徳山投手は、2イニングを投げ、打者7人に対し2安打無失点と踏ん張ってくれました。
徳山投手を野手陣も盛り立てます。1死1塁の場面で、二俣選手のバントを伊藤選手に代わってマスクを被った山本選手が拾い、ショート森選手との強肩による連携で見事併殺に切って取ります。これは非常に盛り上がるプレーで、ぜひこれを裏の攻撃に繋げたいところでした。
10回裏、その山本選手が矢崎投手からセンター前に弾き返し、出塁します。ところが、先ほど盛り上がったバント失敗による併殺を今度は横浜の林選手がやってしまいます。これで台無し。
11回裏は、開幕2戦目で危険球によりわずか3球で退場となった黒原投手が、関根選手に死球。身体の軸に近い位置だったので心配されましたが、関根選手は元気に還ってきました。しかし、結果としては、黒原選手の前にわずか12球で凡退。
再三出塁するもモノにできなければ、「流れ」も行ってしまうというものです。12回表、とうとう力尽きました。三嶋投手が2本の2塁打を浴びついに広島が勝ち越し。
さらに前日に続いて登板の石川投手(恐らくもう投手は残っていなかったはずです)もヒット3本を浴び、9vs6。
12回裏はベンチに残っていた最後の選手、桑原選手がヒットで出塁しますが、その他の選手がいずれも河野投手に三振に討ち取られ万事休す。この2試合で広島打線に16安打、19安打、計25安打を浴び、激しく競り合いながらも結局は力負け。13時開始のこの試合も、19時15分を過ぎていました。後で振り返った時、この試合は今シーズンの重要な意味をもつ試合になったかもしれません。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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