最後に遺書を書いてから死ぬとしたら
じつはそんなたいそうな事は書けなくて
ひたすら謝罪文になりそうだな、とか
そんなことをふと思った。
どうしようもない押し付けの中で必死で我慢しながら生き抜いた人が
ただとつとつと食べ物と人の名前と感謝の言葉を述べている遺書を
僕はいつだったか読んだことがある。
それが誰のものだったのか、
そして本当にその人は死んだのか、
そもそも詳しいことは憶えていないのだけれど。
半ば本気で明日死ぬかもしれないと思っていても
実際にはその一歩をなかなか踏み出せないし
そもそも今の時点で自分が書き残せることなど
ほとんど何も無いのかもしれない。
けれどやっぱり、今書かなければもう後が無い、
と半ば強迫観念に近いかたちで
僕はいつも何かを書き殴っている
思考が全部テキスト化されれば、それで満足だろうか?
いや、おそらく僕は満足しないだろう
それはここに書かれたテキストが
ずっとなによりも孤独に、何よりも永遠に近い記号でありたいと願ったとしても
その恨みや願いが、読者と添い遂げる事が不可能であるように。
読者が居なければ配列に過ぎない
読者が居てもこの声は届かない
そして心はいつも書き切れていない
僕のテキストはいつも死んでいる
ずっとずっと なによりも死んでいる
偶然君が、今日、この文章を読んだとしても
それはもう、僕の言葉にならない
たぶんもう、君の言葉に変わっていく。
ものすごいはやさで!
読み取られないことが悲しいんじゃない
たぶん、どうしようもなく哀しい
そしてそれは、いつも届かないというそのことによって
常に証明され続ける
おそろしいね、テキストは。
僕には君の声が聞こえるのに
君には僕の声が聞こえない。
逆じゃないよ。
僕は読者の声をいつも聞いている。
ただ、作者の声はいつも聞こえない。
ときどき怖くなるんだ、そのことが。
ずっとずっと誰も居ない場所で、
塀に囲まれた長い長い細い部屋で、
物音も立てずに、息をかみ殺すように泣いている人の姿が見えたりするんだ。
それが作者かと思って手を伸ばしても、
もう影だけが蜃気楼のようにゆらゆらとゆれる今なんだ
触りたくても触れない
聞きたくても聞こえない
目を瞑った時にだけ聞こえる声が
僕には確かにあるんだよ
手を伸ばしても僕は触れられない
耳を塞いでも音はやまない
むしろ病んだ声となって
已んでいくんだと思う
考え事を、ずっと考えてた。
悩んでたのかもしれないし、迷ってたのかもしれない
そもそも思ってるばかりで ずっと何も決断してなかったのかもしれない。
その迷いの中で、僕はある日思ったんだ。
もしかして、この迷いがずっと続いてる間だけが生を許された冤罪で
答えが出た瞬間に罪となるんじゃないかと。
答えが出た瞬間、僕は罰をくらって消えるんじゃないかと。
そんなことを思ったんだ。
でも僕は迷いを打ち消しても
僕自身が消えたりはしなかった。
それはあの日君が僕を許してくれたおかげかもしれないし
じつはまだ迷ってるのかもしれない。
まだ、答えていないことは山ほどあるのだしね。
でも僕は死ぬよ
どうしても知りたいことがあるし
どうしても確かめたいこともあるしね
テキストを打つ手が止まった
もうすぐ僕は考えることができなくなると思う
完全に止まるよりも前には
テキストを書き上げなくちゃならない
それはたぶん、読者である君との約束のようなものだから。
じつはそんなたいそうな事は書けなくて
ひたすら謝罪文になりそうだな、とか
そんなことをふと思った。
どうしようもない押し付けの中で必死で我慢しながら生き抜いた人が
ただとつとつと食べ物と人の名前と感謝の言葉を述べている遺書を
僕はいつだったか読んだことがある。
それが誰のものだったのか、
そして本当にその人は死んだのか、
そもそも詳しいことは憶えていないのだけれど。
半ば本気で明日死ぬかもしれないと思っていても
実際にはその一歩をなかなか踏み出せないし
そもそも今の時点で自分が書き残せることなど
ほとんど何も無いのかもしれない。
けれどやっぱり、今書かなければもう後が無い、
と半ば強迫観念に近いかたちで
僕はいつも何かを書き殴っている
思考が全部テキスト化されれば、それで満足だろうか?
いや、おそらく僕は満足しないだろう
それはここに書かれたテキストが
ずっとなによりも孤独に、何よりも永遠に近い記号でありたいと願ったとしても
その恨みや願いが、読者と添い遂げる事が不可能であるように。
読者が居なければ配列に過ぎない
読者が居てもこの声は届かない
そして心はいつも書き切れていない
僕のテキストはいつも死んでいる
ずっとずっと なによりも死んでいる
偶然君が、今日、この文章を読んだとしても
それはもう、僕の言葉にならない
たぶんもう、君の言葉に変わっていく。
ものすごいはやさで!
読み取られないことが悲しいんじゃない
たぶん、どうしようもなく哀しい
そしてそれは、いつも届かないというそのことによって
常に証明され続ける
おそろしいね、テキストは。
僕には君の声が聞こえるのに
君には僕の声が聞こえない。
逆じゃないよ。
僕は読者の声をいつも聞いている。
ただ、作者の声はいつも聞こえない。
ときどき怖くなるんだ、そのことが。
ずっとずっと誰も居ない場所で、
塀に囲まれた長い長い細い部屋で、
物音も立てずに、息をかみ殺すように泣いている人の姿が見えたりするんだ。
それが作者かと思って手を伸ばしても、
もう影だけが蜃気楼のようにゆらゆらとゆれる今なんだ
触りたくても触れない
聞きたくても聞こえない
目を瞑った時にだけ聞こえる声が
僕には確かにあるんだよ
手を伸ばしても僕は触れられない
耳を塞いでも音はやまない
むしろ病んだ声となって
已んでいくんだと思う
考え事を、ずっと考えてた。
悩んでたのかもしれないし、迷ってたのかもしれない
そもそも思ってるばかりで ずっと何も決断してなかったのかもしれない。
その迷いの中で、僕はある日思ったんだ。
もしかして、この迷いがずっと続いてる間だけが生を許された冤罪で
答えが出た瞬間に罪となるんじゃないかと。
答えが出た瞬間、僕は罰をくらって消えるんじゃないかと。
そんなことを思ったんだ。
でも僕は迷いを打ち消しても
僕自身が消えたりはしなかった。
それはあの日君が僕を許してくれたおかげかもしれないし
じつはまだ迷ってるのかもしれない。
まだ、答えていないことは山ほどあるのだしね。
でも僕は死ぬよ
どうしても知りたいことがあるし
どうしても確かめたいこともあるしね
テキストを打つ手が止まった
もうすぐ僕は考えることができなくなると思う
完全に止まるよりも前には
テキストを書き上げなくちゃならない
それはたぶん、読者である君との約束のようなものだから。
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