嘘の吐き方(うそのつきかた)
人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。
 



何年前になるだろうか。
沈んでいくぼろい船の中で、眼が見えないままもがいている
意識が朦朧としている夢を見た。

いしきがもうろうとして、夢をみたのではない。

意識がもうろうとしている境遇の中に居る、
自分の夢を見た。

船は揺れていた。
灯りはついていなかった。

あのとき僕は、どこへ行こうとしていたのだろうか。
海賊船に乗って宝探しか?
いや、違うね。
船に乗ってアメリカに行きたかった?
それも違うね。

僕は、沈もうとしていたんだ。
沈んでいく船の中で、ただもがきながら、
どうしていいかわからずに、ずっと自分と葛藤していた。

沈んでいく船の中においてさえ、
自分がどこにいるのか、
自分だけで何を決断したらいいのか、
僕がここで何をしたらよかったのか、
迷って悩んで考えてばかりいたんだ。

割り切りは必要だと思うだろう。
でも、割り切れない事だってあるんだ。
例えば何度も持ち出す円周率、
あれは、いつ終わるんだ?
あの計算は、いつになったら終わるんだ?

数字が例え、世界を数えるほどの力が無く、
単に記されただけの比喩としての、悪魔の印に過ぎないとしても、
やはりあの円周率の並びには、
あれをアルファベットに置き換えた場合であったとしても、
そこには神秘的な力学のような配列魔法がかかると思うよ。

だってあれば、
まっすぐなものと、まるまっているものとの間に、
一体どれほどの深い溝があって、
僕らが人に対して、他人に対して、相手に対して、
どれくらい深刻な乗り越えがたい壁を持っているのかを、
とても端的に表した恐怖の努力数だからね。

だから僕は、円周率は、幼くて小さくて丸い顔をしている頃から好きだったんだ。

中学の時だったかな
世界一たくさんの円周率桁数を計算している人の本を読んだんだ。
千種図書館で借りて読んだ。

すごく難しい本だったけど、
すごくすてきな本だった。
髪の毛の数を、数えてしまいたいと思うほどにね。

とても、おかしな事が書いてあった。
その本には、不思議な事が書いてあったんだ。
「円周率が有理数なのか無理数なのか、私にはよくわかりません。
 ただ、いままでの結果を見てみると、どうやら無理数のようです。」

おもしろい。

とても面白い、一文だと思うよ。

世界一たくさん計算した人にさえわからない無理数と有理数の境界を彷徨う、
不思議な数である円周率を、
学校の先生は、いとも簡単に、「円周率は無理数です」と言い切るからね。

僕らはいったい、過去にどれほどの事を間違えて、
どれくらい慎重に生きてきたんだろう。
そしてまた、どれくらい大胆に間違いを認めて進んできたんだろう。

僕には今もわからないよ。
僕が誰かを好きなのか、そうでないのかさえも。

例えば君と手を繋ぎ、
ぶらぶら揺らしながら、
周り中から感じる知識の宝庫の本棚の視線を感じたとしよう。

なんだか難しい本がいっぱい並んでいる知識の宝庫を
何人と数えるのか
手を繋いでいる僕たちを何人と数えるのか
そんな簡単なことでさえ、
僕たちは、何かを決めないと、数える事すらできないんだ。

そんな簡単に、君の事を数えられないよ。

ふしぎなあやうさのなかにいる
いつだって僕は、ふわふわ浮いているバター飴だ。
君の熱で形をとかされて、水に触れると丸くきわだつ油の甘さで遊んでいる。

トーチカの朝が来た時に、
僕は君の前から逃げ出して跳ねた。

本当は、君に会いたかったんだ。
でも、怖くてできなかった。

ときどき君と話していると、僕は不安になる。
ただまっしろい、まるで頑なに閉じた自分を見ているようで、
おそろしくなる。
僕が話している言葉はすべて君のそばを流れていって、
本当の君には、君の中にいる君自身には、何も届いてないんじゃないかって
そんなふうに不安になる。

なんの言葉も届いてなかったとしても、
この胸のおもい息苦しさくらいは、きみに伝わっているんだろうか。
名前のないきみに。
名付けられた名前しか、名乗ることの出来ない君に。

僕はありふれた奇跡のなかにいる
いつでもそこにいて、いつも君の傍には居ない。
君が何かを投影した場所にしか、僕は映る事が無い。
それを君は、寂しいと感じるだろうか。
僕が居ない風景から、寂しさを過去と同じようにおぼろげでハッキリとした輪郭の刻みで、
【痛み】として、僕を思い出す事ができるだろうか。

ふわふわしていて、うつろいで、くるしくもなくて、
あぁ、そこになんかそんなひとがいたようなきがするなっっって
そんなふうに僕の傍をかすめとってはいないだろうか?

不安だよ。僕は不安だ。
僕に形が無いように、君に形がなくなりそうで。

でもたぶん、言葉に出さずに信じる君は、
言葉に頼らなくても自分を想像できる君は
僕よりもずっと強い奇跡の中に包まれているね。
たとえそこに人が一人もいなかったとしても、君は生きていけるんじゃないかって
そんな妄想すら湧いてくるようだよ。

君と僕が出会う日が来ない限り、
僕はずっと、僕のままでいる。

それがつまり、僕の考えた、僕たちの間にある、暴力数。


コメント ( 19 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
怖い (Mizuki)
2008-04-08 01:26:11
どうして、こんなに不安なのかな・・・
 
 
 
んーと (はにゃ)
2008-04-08 12:04:33
経験から言うと、
人に別れを告げたり、
人を見限ったりした直後は、
自分がとても大切なモノ、あるいはこの世界の何もかも
世間の風のようなものから見捨てられたような感覚に陥ります。
 
 
 
ふーん? (花水木)
2008-04-09 00:06:31
誰に別れを告げたんだろう?
 
 
 
なんかよくわからんけど (はにゃ)
2008-04-09 14:44:42
ええと、便宜上、Mizukiと花水木を別々にレスします。

>Mizuki
考えるのを避けてる事があると、不安になる場合もあります。

>花水木
僕の場合は、ネットで知り合った友達とか、
僕を頼ってきた女性とか、
あるいはリアル友達の友達とか。
きちんとした別れで無くとも、
(もうこの人と関わるのは無理)
と思い込んだ場合も、似たような不安にかられます。
 
 
 
ディープすぎw (ハメ次郎)
2008-04-09 21:25:17
喉の奥まで咥えられるってあんなに気持ちいいんすねww
てか、反り具合がいいからって+2○○○○してくれたよ。。
イミフなんすけどwwwww( ´,_ゝ`)プッ
http://web-cafe.net/room/doldol/wxf5Lx1B.html
 
 
 
どうして (mizuki)
2008-04-09 22:18:51
「君」と会わないの?
 
 
 
え。 (はにゃ)
2008-04-09 22:44:35
僕が動いても、君が動くとは限らない場合もある、
ということではないでしょうか?

簡単に言うと月を眺めてる間はうさぎには逢わない
月と遭う事によって、
会うが統合されるってことじゃないですかね。
 
 
 
逢いたいのなら (mizuki)
2008-04-09 23:26:44
逢えばいいと思うよ?
 
 
 
ロケットが完成してない。 (はにゃ)
2008-04-10 00:08:56
それに、今はまだ 非同期なんですよ。
 
 
 
ふーーん? (花水木)
2008-04-10 00:28:32
ロケットは死ぬまでには完成するの?
 
 
 
わかんね (はにゃ)
2008-04-10 00:31:10
たぶん無理だと思うけど。
それでも期待せずに居られないほど、
とっくに馬鹿になってるんでしょう。

というか、もう今日は寝ますよ。

続きはまたいずれ、ちかいうち。
 
 
 
自殺は無期延期? (花水木)
2008-04-10 02:28:46
学校も6月には終わらないんでしょ?
 
 
 
難しいところだね。 (はにゃ)
2008-04-10 06:39:43
まぁ、学校ではその手の話題は振らないだろうね。
よっぽど奇妙な事態に陥らない限りは。
 
 
 
いずれ無期延期宣言が出される (花水木)
2008-04-10 10:12:56
予定日直前になって、何年かぶりに
新しいことを始めようという気持ちになったのは
やっぱり、「生」に対して、執着があるんだと思う。

いいことなんじゃない?
一気にロケットも完成させてしまえば更にいいと思うけど?
 
 
 
僕には (はにゃ)
2008-04-10 18:06:01
人の心を動かす力は無いよ。
今はただ、自分のすべきことをするだけ。

少し、忙しくなるんだ。
あんまり、頻繁にはここに書き込めないかも。

生にせよ、死にせよ、独自の拘りがあるからこそ、
何かを書いています。
それが閉じているのか、それとも開いているのか、
とても興味があるよ。
なにをやったとしても、結局自分の中の結論は、
変わらないのかもしれないけれど。

もっとも、花水木さんのために生を選ぶ事はありません。
たぶん、それと同じくらいの強さで、
ロケットは月にいけないよ。
 
 
 
そっか (花水木)
2008-04-10 21:32:06
じゃ、私ももう、ここへ来るのは止めるね。
4月から、新しい会社に就職したの。
今度はちゃんと居場所見つけるね。

はにゃさん、元気で頑張って。
 
 
 
うん。 (はにゃ)
2008-04-10 21:41:00
元気で頑張ってみる。

まぁ、書くのはやめないと思うけど。

ひとつ気付いたことはね、
自分の教室があって、
自分の席が固定されてるってのは、
たぶん恵まれた事なんだと思う。

家族が生きてるのと同じくらい、
当たり前の事として、恵まれてるんだと思う。

僕はそういう場所に居ることで寂しいのではなくて
みんなの中に居るから独りを感じるんじゃなくて

ずっとそこに居続けることは叶わないから、
儚いんだと思う。

僕はあと少しの間、僕の役目を果たすよ。

君の思ったとおりにも、僕の思ったとおりにもならないんだと思う。
もっと、違った別の何かなんだと思う。
それがなんであるか、言葉で書くことはできないかもしれない。

でもできるだけ、できる限りのことは書いて、
漸近線の嘘であろうと思うよ。

それでは。
 
 
 
Unknown (骸骨)
2008-04-17 12:57:37
い・・・・き¨
 
 
 
を? (はにゃ)
2008-04-19 00:36:34
その ぎ みたいな文字はどうやって入力したん?
 
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