法律の周辺

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老朽マンションの建替え促進について

2007-08-31 17:14:33 | Weblog
築30年超の老朽マンション建て替え促進,阻害要因調査へ YOMIURI ONLINE

 区分所有法第62条第1項には「集会においては,区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で,建物を取り壊し,かつ,当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。」とある。
建替えに係る5分の4の賛成多数は,区分所有者の頭数の要件であると同時に,専有部分の床面積をベースにした議決権の要件でもある。

区分所有法は,平成14年の改正により,「老朽,損傷,一部の滅失その他の事情により,建物の価額その他の事情に照らし,建物がその効用を維持し,又は回復するのに過分の費用を要するに至った」という建替えの客観的要件が削除され,また,建替え前後の敷地の同一性の要件についても緩和がはかられた。
今後実施されるというアンケートやヒアリング調査の結果によっては,「区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数」という要件も緩和される可能性が出てきた。

なお,建替え決議成立後の具体的な建替え事業実施方法については,平成14年に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が制定されている。


「建物の区分所有等に関する法律」の関連条文

(建物の区分所有)
第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居,店舗,事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは,その各部分は,この法律の定めるところにより,それぞれ所有権の目的とすることができる。

(定義)
第二条  この法律において「区分所有権」とは,前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2  この法律において「区分所有者」とは,区分所有権を有する者をいう。
3  この法律において「専有部分」とは,区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4  この法律において「共用部分」とは,専有部分以外の建物の部分,専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5  この法律において「建物の敷地」とは,建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
6  この法律において「敷地利用権」とは,専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

(区分所有者の団体)
第三条  区分所有者は,全員で,建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し,この法律の定めるところにより,集会を開き,規約を定め,及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも,同様とする。

(共用部分の持分の割合)
第十四条  各共有者の持分は,その有する専有部分の床面積の割合による。
2  前項の場合において,一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは,その一部共用部分の床面積は,これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して,それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3  前二項の床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4  前三項の規定は,規約で別段の定めをすることを妨げない。

(集会の招集)
第三十四条  集会は,管理者が招集する。
2  管理者は,少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3  区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは,管理者に対し,会議の目的たる事項を示して,集会の招集を請求することができる。ただし,この定数は,規約で減ずることができる。
4  前項の規定による請求がされた場合において,二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは,その請求をした区分所有者は,集会を招集することができる。
5  管理者がないときは,区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは,集会を招集することができる。ただし,この定数は,規約で減ずることができる。

(招集の通知)
第三十五条  集会の招集の通知は,会日より少なくとも一週間前に,会議の目的たる事項を示して,各区分所有者に発しなければならない。ただし,この期間は,規約で伸縮することができる。
2  専有部分が数人の共有に属するときは,前項の通知は,第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは,共有者の一人)にすれば足りる。
3  第一項の通知は,区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に,これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には,同項の通知は,通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4  建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は,規約に特別の定めがあるときは,建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には,同項の通知は,その掲示をした時に到達したものとみなす。
5  第一項の通知をする場合において,会議の目的たる事項が第十七条第一項,第三十一条第一項,第六十一条第五項,第六十二条第一項,第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは,その議案の要領をも通知しなければならない。

(招集手続の省略)
第三十六条  集会は,区分所有者全員の同意があるときは,招集の手続を経ないで開くことができる。

(決議事項の制限)
第三十七条  集会においては,第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ,決議をすることができる。
2  前項の規定は,この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて,規約で別段の定めをすることを妨げない。
3  前二項の規定は,前条の規定による集会には適用しない。

(議決権)
第三十八条  各区分所有者の議決権は,規約に別段の定めがない限り,第十四条に定める割合による。

(議事)
第三十九条  集会の議事は,この法律又は規約に別段の定めがない限り,区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2  議決権は,書面で,又は代理人によつて行使することができる。
3  区分所有者は,規約又は集会の決議により,前項の規定による書面による議決権の行使に代えて,電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる。

(建替え決議)
第六十二条  集会においては,区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で,建物を取り壊し,かつ,当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2  建替え決議においては,次の事項を定めなければならない。
一  新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二  建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三  前号に規定する費用の分担に関する事項
四  再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
3  前項第三号及び第四号の事項は,各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
4  第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは,第三十五条第一項の通知は,同項の規定にかかわらず,当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし,この期間は,規約で伸長することができる。
5  前項に規定する場合において,第三十五条第一項の通知をするときは,同条第五項に規定する議案の要領のほか,次の事項をも通知しなければならない。
一  建替えを必要とする理由
二  建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三  建物の修繕に関する計画が定められているときは,当該計画の内容
四  建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6  第四項の集会を招集した者は,当該集会の会日より少なくとも一月前までに,当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7  第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は,前項の説明会の開催について準用する。この場合において,第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは,「伸長する」と読み替えるものとする。
8  前条第六項の規定は,建替え決議をした集会の議事録について準用する。

(区分所有権等の売渡し請求等)
第六十三条  建替え決議があつたときは,集会を招集した者は,遅滞なく,建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し,建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。
2  前項に規定する区分所有者は,同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。
3  前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は,建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。
4  第二項の期間が経過したときは,建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は,同項の期間の満了の日から二月以内に,建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し,区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても,同様とする。
5  前項の規定による請求があつた場合において,建替えに参加しない旨を回答した区分所有者が建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあり,かつ,建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさないものと認めるべき顕著な事由があるときは,裁判所は,その者の請求により,代金の支払又は提供の日から一年を超えない範囲内において,建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
6  建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には,第四項の規定により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は,この期間の満了の日から六月以内に,買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して,これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。ただし,建物の取壊しの工事に着手しなかつたことにつき正当な理由があるときは,この限りでない。
7  前項本文の規定は,同項ただし書に規定する場合において,建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつた日から六月以内にその着手をしないときに準用する。この場合において,同項本文中「この期間の満了の日から六月以内に」とあるのは,「建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつたことを知つた日から六月又はその理由がなくなつた日から二年のいずれか早い時期までに」と読み替えるものとする。

(建替えに関する合意)
第六十四条  建替え決議に賛成した各区分所有者,建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は,建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす。

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