法律の周辺

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許可を受けない者による予報業務について

2007-08-17 19:55:05 | Weblog
がけ崩れ予測:ウェザーニューズ社に業務改善命令 気象庁 MSN毎日インタラクティブ

 予報業務の許可基準のひとつに「当該予報業務を適確に遂行するに足りる観測その他の予報資料の収集及び予報資料の解析の施設及び要員を有するものであること。」がある(気象業務法第18条第1項第1号)。許可を受けていない者については,予報業務に関して気象庁が設定する物的・人的態勢の基準をクリアしているという保証がない。
気象業務法制定の目的には「気象業務の健全な発達を図り,もつて災害の予防,交通の安全の確保,産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与する(こと)」が掲げられている(気象業務法第1条)。気象,地象,津波,高潮,波浪又は洪水の予報の業務を許可にかからしめる理由は,それらの予報が個人の生命,財産のみならず,広く公益に関係する点にある。
不適確な情報が伝播して混乱が生ずる可能性がある以上,違法な予報業務が「無料の試験的サービスだから」「利用者との合意があるから」「好評だから」で正当化されようはずがない。

ウェザーニューズ 中越沖地震被災地域を対象にした「がけ崩れ予測メール」試験期間終了繰上げについて


気象業務法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,気象業務に関する基本的制度を定めることによつて,気象業務の健全な発達を図り,もつて災害の予防,交通の安全の確保,産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与するとともに,気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「気象」とは,大気(電離層を除く。)の諸現象をいう。
2  この法律において「地象」とは,地震及び火山現象並びに気象に密接に関連する地面及び地中の諸現象をいう。
3  この法律において「水象」とは,気象又は地震に密接に関連する陸水及び海洋の諸現象をいう。
4  この法律において「気象業務」とは,左に掲げる業務をいう。
一  気象,地象,地動及び水象の観測並びにその成果の収集及び発表
二  気象,地象(地震及び火山現象を除く。)及び水象の予報及び警報
三  気象,地象及び水象に関する情報の収集及び発表
四  地球磁気及び地球電気の常時観測並びにその成果の収集及び発表
五  前各号の事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表
六  前各号の業務を行うに必要な研究
七  前各号の業務を行うに必要な附帯業務
5  この法律において「観測」とは,自然科学的方法による現象の観察及び測定をいう。
6  この法律において「予報」とは,観測の成果に基く現象の予想の発表をいう。
7  この法律において「警報」とは,重大な災害の起るおそれのある旨を警告して行う予報をいう。
8  この法律において「気象測器」とは,気象,地象及び水象の観測に用いる器具,器械及び装置をいう。

(気象庁長官の任務)
第三条  気象庁長官は,第一条の目的を達成するため,左に掲げる事項を行うように努めなければならない。
一  気象,地震及び火山現象に関する観測網を確立し,及び維持すること。
二  気象,津波及び高潮の予報及び警報の中枢組織を確立し,及び維持すること。
三  気象の観測,予報及び警報に関する情報を迅速に交換する組織を確立し,及び維持すること。
四  地震及び火山現象の観測の成果を迅速に交換する組織を確立し,及び維持すること。
五  気象の観測の方法及びその成果の発表の方法について統一を図ること。
六  気象の観測の成果,気象の予報及び警報並びに気象に関する調査及び研究の成果の産業,交通その他の社会活動に対する利用を促進すること。

(予報業務の許可)
第十七条  気象庁以外の者が気象,地象,津波,高潮,波浪又は洪水の予報の業務(以下「予報業務」という。)を行おうとする場合は,気象庁長官の許可を受けなければならない。
2  前項の許可は,予報業務の目的及び範囲を定めて行う。

(許可の基準)
第十八条  気象庁長官は,前条第一項の規定による許可の申請書を受理したときは,次の基準によつて審査しなければならない。
一  当該予報業務を適確に遂行するに足りる観測その他の予報資料の収集及び予報資料の解析の施設及び要員を有するものであること。
二  当該予報業務の目的及び範囲に係る気象庁の警報事項を迅速に受けることができる施設及び要員を有するものであること。
三  当該予報業務を行う事業所につき,第十九条の二の要件を備えることとなつていること。
2  気象庁長官は,前項の規定により審査した結果,その申請が同項の基準に適合していると認めるときは,次の場合を除いて許可しなければならない。
一  許可を受けようとする者が,この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であるとき。
二  許可を受けようとする者が,第二十一条の規定により許可の取消しを受け,その取消しの日から二年を経過しない者であるとき。
三  許可を受けようとする者が,法人である場合において,その法人の役員が第一号又は前号に該当する者であるとき。

(変更認可)
第十九条  第十七条第一項の規定により許可を受けた者が同条第二項の予報業務の目的又は範囲を変更しようとするときは,気象庁長官の認可を受けなければならない。
2  前条の規定は,前項の場合に準用する。

(気象予報士の設置)
第十九条の二  第十七条の規定により許可を受けた者は,当該予報業務を行う事業所ごとに,国土交通省令で定めるところにより,気象予報士(第二十四条の二十の登録を受けている者をいう。以下同じ。)を置かなければならない。

(気象予報士に行わせなければならない業務)
第十九条の三  第十七条の規定により許可を受けた者は,当該予報業務のうち現象の予想については,気象予報士に行わせなければならない。

(警報事項の伝達)
第二十条  第十七条の規定により許可を受けた者は,当該予報業務の目的及び範囲に係る気象庁の警報事項を当該予報業務の利用者に迅速に伝達するように努めなければならない。

(業務改善命令)
第二十条の二  気象庁長官は,第十七条の規定により許可を受けた者が第十八条第一項各号の一に該当しないこととなつた場合その他第十七条の規定により許可を受けた者の予報業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは,当該許可を受けた者に対し,その施設及び要員について同項各号に適合するための措置その他当該予報業務の運営を改善するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(許可の取消し等)
第二十一条  気象庁長官は,第十七条の規定により許可を受けた者が次の各号の一に該当するときは,期間を定めて業務の停止を命じ,又は許可を取り消すことができる。
一  この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。
二  第十八条第二項第一号又は第三号に該当することとなつたとき。

第四十六条  次の各号の一に該当する者は,五十万円以下の罰金に処する。
一  第九条の規定に違反した者
二  第十七条第一項の規定に違反して許可を受けないで予報業務を行つた者
三  第十九条の規定に違反して認可を受けないで予報業務の目的又は範囲を変更した者
四  第十九条の三の規定に違反して気象予報士以外の者に現象の予想を行わせた者
五  第二十一条(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による業務の停止の命令に違反した者
六  第二十三条の規定に違反して警報をした者
七  第二十六条第一項の規定に違反して許可を受けないで気象の観測の成果を発表する業務を行つた者

第四十九条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し,第四十四条,第四十六条又は第四十七条の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

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