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行政財産の有効活用について

2007-08-30 18:34:12 | Weblog
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 「行政財産である土地は,(中略)これを貸し付け,又はこれに地上権を設定することができる。(後略)」となっていた地方自治法第238条の4第2項は,昨年の改正により,「行政財産は,次に掲げる場合には,その用途又は目的を妨げない限度において,貸し付け,又は私権を設定することができる。」とあらためられ,建物の貸付けも可能となった。
記事にある旧役場へのケーブルテレビ会社の入居は,同項第4号の「行政財産のうち庁舎その他の建物及びその附帯施設並びにこれらの敷地(以下この号において「庁舎等」という。)についてその床面積又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において,当該普通地方公共団体以外の者(当該庁舎等を管理する普通地方公共団体が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。」にあたるのであろう。
なお,行政財産の「普通地方公共団体において公用又は公共用に供し,又は供することと決定した財産」という定義は従前どおり維持されている(地方自治法第238条第4項参照)。


地方自治法の関連条文

第一条  この法律は,地方自治の本旨に基いて,地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め,併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより,地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに,地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。

第一条の二  地方公共団体は,住民の福祉の増進を図ることを基本として,地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2  国は,前項の規定の趣旨を達成するため,国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務,全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い,住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として,地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに,地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて,地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。

(財産の管理及び処分)
第二百三十七条  この法律において「財産」とは,公有財産,物品及び債権並びに基金をいう。
2  第二百三十八条の四第一項の規定の適用がある場合を除き,普通地方公共団体の財産は,条例又は議会の議決による場合でなければ,これを交換し,出資の目的とし,若しくは支払手段として使用し,又は適正な対価なくしてこれを譲渡し,若しくは貸し付けてはならない。
3  普通地方公共団体の財産は,第二百三十八条の五第二項の規定の適用がある場合で議会の議決によるとき又は同条第三項の規定の適用がある場合でなければ,これを信託してはならない。

(公有財産の範囲及び分類)
第二百三十八条  この法律において「公有財産」とは,普通地方公共団体の所有に属する財産のうち次に掲げるもの(基金に属するものを除く。)をいう。
一  不動産
二  船舶,浮標,浮桟橋及び浮ドック並びに航空機
三  前二号に掲げる不動産及び動産の従物
四  地上権,地役権,鉱業権その他これらに準ずる権利
五  特許権,著作権,商標権,実用新案権その他これらに準ずる権利
六  株式,社債(特別の法律により設立された法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み,短期社債等を除く。),地方債及び国債その他これらに準ずる権利
七  出資による権利
八  財産の信託の受益権
2  前項第六号の「短期社債等」とは,次に掲げるものをいう。
一  社債等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号 に規定する短期社債
二  商工組合中央金庫法 (昭和十一年法律第十四号)第三十三条ノ二 に規定する短期商工債
三  信用金庫法 (昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の四第一項 に規定する短期債
四  保険業法 (平成七年法律第百五号)第六十一条の十第一項 に規定する短期社債
五  資産の流動化に関する法律 (平成十年法律第百五号)第二条第八項 に規定する特定短期社債
六  農林中央金庫法 (平成十三年法律第九十三号)第六十二条の二第一項 に規定する短期農林債
3  公有財産は,これを行政財産と普通財産とに分類する。
4  行政財産とは,普通地方公共団体において公用又は公共用に供し,又は供することと決定した財産をいい,普通財産とは,行政財産以外の一切の公有財産をいう。

(行政財産の管理及び処分)
第二百三十八条の四  行政財産は,次項から第四項までに定めるものを除くほか,これを貸し付け,交換し,売り払い,譲与し,出資の目的とし,若しくは信託し,又はこれに私権を設定することができない。
2  行政財産は,次に掲げる場合には,その用途又は目的を妨げない限度において,貸し付け,又は私権を設定することができる。
一  当該普通地方公共団体以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し,又は所有しようとする場合(当該普通地方公共団体と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において,その者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。
二  普通地方公共団体が国,他の地方公共団体又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合
三  普通地方公共団体が行政財産である土地及びその隣接地の上に当該普通地方公共団体以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付ける場合
四  行政財産のうち庁舎その他の建物及びその附帯施設並びにこれらの敷地(以下この号において「庁舎等」という。)についてその床面積又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において,当該普通地方公共団体以外の者(当該庁舎等を管理する普通地方公共団体が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。
五  行政財産である土地を国,他の地方公共団体又は政令で定める法人の経営する鉄道,道路その他政令で定める施設の用に供する場合において,その者のために当該土地に地上権を設定するとき。
六  行政財産である土地を国,他の地方公共団体又は政令で定める法人の使用する電線路その他政令で定める施設の用に供する場合において,その者のために当該土地に地役権を設定するとき。
3  前項第二号に掲げる場合において,当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下この項及び次項において「特定施設」という。)を当該普通地方公共団体以外の者に譲渡しようとするときは,当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けることができる。
4  前項の規定は,同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。
5  前三項の場合においては,次条第四項及び第五項の規定を準用する。
6  第一項の規定に違反する行為は,これを無効とする。
7  行政財産は,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
8  前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については,借地借家法 (平成三年法律第九十号)の規定は,これを適用しない。
9  第七項の規定により行政財産の使用を許可した場合において,公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき,又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは,普通地方公共団体の長又は委員会は,その許可を取り消すことができる。

(普通財産の管理及び処分)
第二百三十八条の五  普通財産は,これを貸し付け,交換し,売り払い,譲与し,若しくは出資の目的とし,又はこれに私権を設定することができる。
2  普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)は,当該普通地方公共団体を受益者として政令で定める信託の目的により,これを信託することができる。
3  普通財産のうち国債その他の政令で定める有価証券(以下この項において「国債等」という。)は,当該普通地方公共団体を受益者として,指定金融機関その他の確実な金融機関に国債等をその価額に相当する担保の提供を受けて貸し付ける方法により当該国債等を運用することを信託の目的とする場合に限り,信託することができる。
4  普通財産を貸し付けた場合において,その貸付期間中に国,地方公共団体その他公共団体において公用又は公共用に供するため必要を生じたときは,普通地方公共団体の長は,その契約を解除することができる。
5  前項の規定により契約を解除した場合においては,借受人は,これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる。
6  普通地方公共団体の長が一定の用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定して普通財産を貸し付けた場合において,借受人が指定された期日を経過してもなおこれをその用途に供せず,又はこれをその用途に供した後指定された期間内にその用途を廃止したときは,当該普通地方公共団体の長は,その契約を解除することができる。
7  第四項及び第五項の規定は貸付け以外の方法により普通財産を使用させる場合に,前項の規定は普通財産を売り払い,又は譲与する場合に準用する。
8  第四項から第六項までの規定は,普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)を信託する場合に準用する。
9  第七項に定めるもののほか普通財産の売払いに関し必要な事項及び普通財産の交換に関し必要な事項は,政令でこれを定める。

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