法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

最小規模の参拝について

2007-08-15 21:14:14 | Weblog
asahi.com 高市内閣府特命相が靖国参拝 小泉前首相も

 今年は随分静か。去年は,小泉首相が9月の退陣を前に公約通り終戦記念日に参拝。号外も出た。
小泉首相の靖國神社参拝については,政教分離原則(憲法20条3項)に違反するとしていくつか損害賠償請求訴訟が提起されている。平成13年8月13日の参拝については最判18年6月23日があり,請求者側の上告は棄却された。判示は以下のとおり。

 上告人らが侵害されたと主張する権利ないし利益(管理人註:「戦没者が靖國神社に祀られているとの観念を受け入れるか否かを含め,戦没者をどのように回顧し祭祀するか,しないかに関して(公権力からの圧迫,干渉を受けずに)自ら決定し,行う権利ないし利益」のこと)が法律上の保護になじむものであるか否かについて考える。人が神社に参拝する行為自体は,他人の信仰生活等に対して圧迫,干渉を加えるような性質のものではないから,他人が特定の神社に参拝することによって,自己の心情ないし宗教上の感情が害されたとし,不快の念を抱いたとしても,これを被侵害利益として,直ちに損害賠償を求めることはできないと解するのが相当である。上告人らの主張する権利ないし利益も,上記のような心情ないし宗教上の感情と異なるものではないというべきである。このことは,内閣総理大臣の地位にある者が靖國神社を参拝した場合においても異なるものではないから,本件参拝によって上告人らに損害賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったとはいえない。
したがって,上告人らの損害賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないものとして棄却すべきである(なお,以上のことからすれば,本件参拝が違憲であることの確認を求める訴えに確認の利益がなく,これを却下すべきことも明らかである。)。
以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。


判例検索システム 平成18年06月23日 靖国参拝違憲確認等請求事件


日本国憲法の関連条文

第二十条  信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も,国から特権を受け,又は政治上の権力を行使してはならない。
2  何人も,宗教上の行為,祝典,儀式又は行事に参加することを強制されない。
3  国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする