法律の周辺

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災害派遣への切り替えについて

2007-03-26 18:47:14 | Weblog
防災相ら現地に・能登半島沖地震の状況把握 NIKKEI NET

 今日も大きな余震が続いているよう。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

 さて,記事には,概略,防衛省は地震発生直後に行われた「自主派遣」を石川県知事の要請を受け「災害派遣」に切り替えたとある。
自衛隊法第83条第1項には,「都道府県知事その他政令で定める者は,天災地変その他の災害に際して,人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には,部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。」とあり,また,同第2項には,「防衛大臣又はその指定する者は,前項の要請があり,事態やむを得ないと認める場合には,部隊等を救援のため派遣することができる。ただし,天災地変その他の災害に際し,その事態に照らし特に緊急を要し,前項の要請を待ついとまがないと認められるときは,同項の要請を待たないで,部隊等を派遣することができる。」とある。記事の「自主派遣」は,第2項ただし書きの「同項の要請を待たないで,部隊等を派遣することができる。」でいう「派遣」を指すものと思われる。
産経は,概略,地震発生直後に被害状況の確認等指示したとする安倍総理の談話を報じているが,冒頭の記事とを合わせ読む限り,総理自ら自衛隊法第83条の要請を行ったというわけではなさそうだ。

気象庁 Japan Meteorological Agency


自衛隊法の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,自衛隊の任務,自衛隊の部隊の組織及び編成,自衛隊の行動及び権限,隊員の身分取扱等を定めることを目的とする。

(自衛隊の任務)
第三条  自衛隊は,我が国の平和と独立を守り,国の安全を保つため,直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし,必要に応じ,公共の秩序の維持に当たるものとする。
2  自衛隊は,前項に規定するもののほか,同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において,かつ,武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において,次に掲げる活動であつて,別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。
一  我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動
二  国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動
3  陸上自衛隊は主として陸において,海上自衛隊は主として海において,航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。

(災害派遣)
第八十三条  都道府県知事その他政令で定める者は,天災地変その他の災害に際して,人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には,部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。
2  防衛大臣又はその指定する者は,前項の要請があり,事態やむを得ないと認める場合には,部隊等を救援のため派遣することができる。ただし,天災地変その他の災害に際し,その事態に照らし特に緊急を要し,前項の要請を待ついとまがないと認められるときは,同項の要請を待たないで,部隊等を派遣することができる。
3  庁舎,営舎その他の防衛省の施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合においては,部隊等の長は,部隊等を派遣することができる。
4  第一項の要請の手続は,政令で定める。
5  第一項から第三項までの規定は,武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第二条第四項 に規定する武力攻撃災害及び同法第百八十三条 において準用する同法第十四条第一項 に規定する緊急対処事態における災害については,適用しない。

(地震防災派遣)
第八十三条の二  防衛大臣は,大規模地震対策特別措置法 (昭和五十三年法律第七十三号)第十一条第一項 に規定する地震災害警戒本部長から同法第十三条第二項 の規定による要請があつた場合には,部隊等を支援のため派遣することができる。

大規模地震対策特別措置法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,大規模な地震による災害から国民の生命,身体及び財産を保護するため,地震防災対策強化地域の指定,地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより,地震防災対策の強化を図り,もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

(警戒本部の組織)
第十一条  警戒本部の長は,地震災害警戒本部長(以下第十三条までにおいて「本部長」という。)とし,内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは,そのあらかじめ指名する国務大臣)をもつて充てる。
2  本部長は,警戒本部の事務を総括し,所部の職員を指揮監督する。
3  警戒本部に,地震災害警戒副本部長,地震災害警戒本部員その他の職員を置く。
4  地震災害警戒副本部長は,国務大臣をもつて充てる。
5  地震災害警戒副本部長は,本部長を助け,本部長に事故があるときは,その職務を代理する。地震災害警戒副本部長が二人以上置かれている場合にあつては,あらかじめ本部長が定めた順序で,その職務を代理する。
6  地震災害警戒本部員は,次に掲げる者をもつて充てる。
一  本部長及び地震災害警戒副本部長以外のすべての国務大臣
二  内閣危機管理監
三  内閣府副大臣又は国務大臣以外の指定行政機関の長のうちから,内閣総理大臣が任命する者
7  地震災害警戒副本部長及び地震災害警戒本部員以外の地震災害警戒本部の職員は,内閣官房若しくは指定行政機関の職員又は指定地方行政機関の長若しくはその職員のうちから,内閣総理大臣が任命する。

(本部長の権限)
第十三条  本部長は,地震防災応急対策等を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは,その必要な限度において,関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長(第十五条において準用する災害対策基本法第二十八条の五 の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員及び当該指定地方行政機関の職員を含む。),関係地方公共団体の長その他の執行機関,関係指定公共機関並びに関係指定地方公共機関に対し,必要な指示を行うことができる。
2  本部長は,地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施するため,自衛隊の支援を求める必要があると認めるときは,防衛大臣に対し,自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第八条 に規定する部隊等の派遣を要請することができる。

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