授業料:入学辞退した場合…きちんと返還求める/要項見てもあきらめない MSN毎日インタラクティブ
平成18年度も残すところあと3日。授業料は納めたが入学を辞退するという方が大学等から授業料を返還してもらうには,原則,年度内に件の大学等にその旨意思表示をする必要がある。この点,お忘れなきように。
さて,記事にある昨年12月28日発出の通知「大学,短期大学,高等専門学校,専修学校及び各種学校の入学辞退に対する授業料等の取扱いについて」は,各大学等が入学者選抜に当たって留意すべき点として3点を掲げる。そのうち1と2は次のとおり。
1. 3月31日までに入学辞退の意思表示をした者(専願又は推薦入学試験(これに類する入学試験を含む。)に合格して大学等と在学契約を締結した学生等を除く。)については,原則として,学生等が納付した授業料等及び諸会費等の返還に応じることを明確にすること。
2. 1.にかかわらず,入学試験要項,入学手続要項等に,「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」などと記載している場合には,入学式の日までに学生等が明示又は黙示に在学契約を解除したときは,授業料等及び諸会費等の返還に応じることを明確にすること。
2はどういう理屈か?,と一瞬訝しく思ったが,例えば,最判H18.11.27(事件番号平成17(受)1437号)には次のようにある。
(前略),一般に,4月1日には,学生が特定の大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。そうすると,在学契約の解除の意思表示がその前日である3月31日までにされた場合には,原則として,大学に生ずべき平均的な損害は存しないものであって,不返還特約はすべて無効となり,在学契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には,原則として,学生が納付した授業料等及び諸会費等は,それが初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り,大学に生ずべき平均的な損害を超えず,不返還特約はすべて有効となるというべきである。
もっとも,要項等に,「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」などと記載されている場合には,当該大学は,学生の入学の意思の有無を入学式の出欠により最終的に確認し,入学式を無断で欠席した学生については入学しなかったものとして取り扱うこととしており,学生もこのような前提の下に行動しているものということができるから,入学式の日までに在学契約が解除されることや,入学式を無断で欠席することにより学生によって在学契約が黙示に解除されることがあることは,当該大学の予測の範囲内であり,入学式の日の翌日に,学生が当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されることになるものというべきであるから,入学式の日までに学生が明示又は黙示に在学契約を解除しても,原則として,当該大学に生ずべき平均的な損害は存しないものというべきである。
なるほど,筋が通っている。
11月27日は,公表されているだけで学納金返還に係る最高裁判決が5件出された。巷間,5件ともほぼ同趣旨などと言われているが,以前このブログで触れた同日の事件番号平成17(受)1158号の最判には上記通知の2に触れる部分はなかったような気が・・・(って,読み直せばいいのだが)。
文部科学省 大学,短期大学,高等専門学校,専修学校及び各種学校の入学辞退者に対する授業料等の取扱いについて(通知)
全国専修学校各種学校総連合会 会員校への入学辞退者に対する授業料等の取扱いについてのお願い(2007.01.24)
消費者契約法の関連条文
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は,当該各号に定める部分について,無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分
平成18年度も残すところあと3日。授業料は納めたが入学を辞退するという方が大学等から授業料を返還してもらうには,原則,年度内に件の大学等にその旨意思表示をする必要がある。この点,お忘れなきように。
さて,記事にある昨年12月28日発出の通知「大学,短期大学,高等専門学校,専修学校及び各種学校の入学辞退に対する授業料等の取扱いについて」は,各大学等が入学者選抜に当たって留意すべき点として3点を掲げる。そのうち1と2は次のとおり。
1. 3月31日までに入学辞退の意思表示をした者(専願又は推薦入学試験(これに類する入学試験を含む。)に合格して大学等と在学契約を締結した学生等を除く。)については,原則として,学生等が納付した授業料等及び諸会費等の返還に応じることを明確にすること。
2. 1.にかかわらず,入学試験要項,入学手続要項等に,「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」などと記載している場合には,入学式の日までに学生等が明示又は黙示に在学契約を解除したときは,授業料等及び諸会費等の返還に応じることを明確にすること。
2はどういう理屈か?,と一瞬訝しく思ったが,例えば,最判H18.11.27(事件番号平成17(受)1437号)には次のようにある。
(前略),一般に,4月1日には,学生が特定の大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。そうすると,在学契約の解除の意思表示がその前日である3月31日までにされた場合には,原則として,大学に生ずべき平均的な損害は存しないものであって,不返還特約はすべて無効となり,在学契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には,原則として,学生が納付した授業料等及び諸会費等は,それが初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り,大学に生ずべき平均的な損害を超えず,不返還特約はすべて有効となるというべきである。
もっとも,要項等に,「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」などと記載されている場合には,当該大学は,学生の入学の意思の有無を入学式の出欠により最終的に確認し,入学式を無断で欠席した学生については入学しなかったものとして取り扱うこととしており,学生もこのような前提の下に行動しているものということができるから,入学式の日までに在学契約が解除されることや,入学式を無断で欠席することにより学生によって在学契約が黙示に解除されることがあることは,当該大学の予測の範囲内であり,入学式の日の翌日に,学生が当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されることになるものというべきであるから,入学式の日までに学生が明示又は黙示に在学契約を解除しても,原則として,当該大学に生ずべき平均的な損害は存しないものというべきである。
なるほど,筋が通っている。
11月27日は,公表されているだけで学納金返還に係る最高裁判決が5件出された。巷間,5件ともほぼ同趣旨などと言われているが,以前このブログで触れた同日の事件番号平成17(受)1158号の最判には上記通知の2に触れる部分はなかったような気が・・・(って,読み直せばいいのだが)。
文部科学省 大学,短期大学,高等専門学校,専修学校及び各種学校の入学辞退者に対する授業料等の取扱いについて(通知)
全国専修学校各種学校総連合会 会員校への入学辞退者に対する授業料等の取扱いについてのお願い(2007.01.24)
消費者契約法の関連条文
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は,当該各号に定める部分について,無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には,それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について,その日数に応じ,当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分